(一財)澄和(理事長:村石久二氏)は27日、東京會舘(東京都千代田区)において「第5回澄和Futurist賞」表彰式を開催した。
同賞は、「平和を願い、自然と調和し、和む世界を目指す」とする同財団の理念に沿う「環境保護」「社会貢献」「非戦・平和関連」などをテーマとした活動を継続する個人・団体を毎年表彰するもの。2020年は、五輪金メダリスト・高橋尚子氏、牡蠣養殖業者・畠山重篤氏、劇団こまつ座(代表・井上麻矢氏)の3名が選ばれた。
高橋氏は、五輪金メダリストとして、全国各地のマラソン大会にゲスト参加しており、市民ランナーと伴走し、ゴールでは一人ひとりをハイタッチで迎えている。延べ135万人にも及ぶ人々と直接触れ合い、走ることの楽しさを伝えてきた。また、日本から余った運動靴を途上国に寄贈する「スマイル アフリカ プロジェクト」に取り組み、10年間で10万足以上を現地に届け、子供たちの足を怪我から守り、夢や希望を与えた。
畠山氏は、牡蠣養殖業を営む傍ら、森と川と海との重要性を説き30年以上にわたって、植林活動「森は海の恋人運動」に取り組み、汽水域の自然環境を大きく改善した。また、子供たちへの海辺の自然体験教室や講演執筆など、幅広い活動によって、環境問題への意識を目覚めさせてきた。
劇団こまつ座は、日本国憲法の良さを伝えることを一生の仕事とした、作家・井上ひさし氏が旗揚げした劇団。平和へのメッセージを込めた作品を37年間上演し、日常を奪われていく人々の想いやたくましく生きる姿を演劇に凝縮、見る人の心に訴え続けている。
高橋氏は、「靴とは楽しく走るだけでなく、命を守るための防具なんだと、現地の状況を見て涙したことを覚えています。活動を続けるうちに、子供たちが夢を持つことの大切さや走ることの楽しさを教わったと、だんだん変わっていったことが嬉しかった」と話した。
畠山氏は、「川と海の水が交じり合う汽水域が重要で、川の流域の森林が壊れると、いい牡蠣がとれなくなる。日本には3万5,000の川が流れている。自然の川の流域の環境に目を向けていただきたい」と述べた。
井上氏は、「コロナ禍で今年は121公演がすべて中止になってしまった。その中で、改めて演劇という文化を絶対に絶やすことなく、続けていくことが私たちの使命だと思った。これからも井上ひさしの思いを受け継いで、演劇を通して平和活動を行なっていきたい」と語った。
村石理事長は「コロナ禍に見まわれ、一層厳しい変化に対応を強いられる時代だが、人の和、自然との調和を大切にしながら、経済活動に取り組むことが、結果として真の豊かさ、幸せをもたらしてくだるのだと思っている。澄んだ心で和む世界をという澄和の理念と思いが、企業社会で生きる方々をはじめ、より多くの方に共感していただけるよう、引き続き努力していきたい」と挨拶した。
会場には、政界、スポーツ界、芸能界、メディアなどの関係者が多数参加し、盛会となった。