不動産ニュース / 政策・制度

2021/1/27

「残置物の処理等に関するモデル契約条項」でパブコメ

 国土交通省は27日、「残置物の処理等に関するモデル契約条項(案)」に関する意見募集を開始した。

 単身高齢者が住居を賃借する場合、賃借人の死亡時に居室内に残された動産(残置物)を円滑に処理できるように、賃借人と受任者との間で(1)賃貸借契約の解除、(2)残置物の処理を内容とした死後事務委任契約を締結する方法について検討を進めてきた。今回の案は、賃借人が死亡した場合に残置物を円滑に処理できるようにすることで残置物リスクを軽減し、賃貸用建物の所有者の不安感を払拭することを目的としている。

 (1)賃借人が賃貸借契約の存続中に死亡した場合に賃貸借契約を終了させるための代理権を受任者に授与する委任契約、(2)賃貸借契約の終了後に残置物を物件から搬出して廃棄する等の事務を委託する準委任契約、(3)賃貸借契約に(1)(2)の(準)委任契約に関連する条項の案を示した。(1)(2)は委託される事務の内容が異なることから、分けて条項案を示しているが、同一の受任者との間で締結する場合には、その形式も1通の契約書として差し支えないとした。(3)は賃貸借契約の一部であるから、賃貸人と賃借人との間での締結となる。

 (1)(2)の受任者は、推定相続人が適しているが、それが難しい場合は社会福祉法人や民生委員などの第三者にすることが望ましく、利害関係のある賃貸人は避けるべきであるとした。管理業者にすることは直ちに無効であるとはいえないものの、賃借人の利益のため誠実に対応する必要があるとした。(3)では、賃借人は(1)(2)の契約が終了した場合や新たに締結した場合、賃貸人に対してその旨を通知しなければならないとした。また、賃貸人は、賃借人が死亡した場合には(1)の受任者に、賃貸借契約が終了した際には(2)の受任者に対し、速やかに通知しなければならないとしている。

 これらは、賃借人による財産の管理に一定の制約を課する面があるため、契約条項を利用するためには、賃借人がその内容を十分に理解した上で任意に同意していることが必要であると注記。個人の保証人がいるなど、残置物リスクに対する賃貸用建物の所有者の不安感が生ずるとは考えにくい場面で使用した場合、民法第90条や消費者契約法第10条に違反して無効となる可能性があることも言及している。

 詳細はパブコメ募集ページを参照。意見募集は2月25日まで。

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