不動産ニュース / 調査・統計データ

2021/10/6

戸建住宅の防犯対策、スリット窓や高窓が効果的

 旭化成ホームズ(株)くらしノベーション研究所はこのほど、自社で過去に実施した戸建住宅の開口部等の修理記録を元に、過去15年間の侵入被害について調査、その結果を公表した。調査時期は2006~20年、ヘーベルハウスの修理依頼・履歴から侵入被害を抽出・集計。調査対象数は833件(うち侵入件数637件、未遂件数196件)。

 被害にあった住宅の敷地と接道について調べると、中間画地(敷地の1辺のみが道路に面している土地)に被害の約6割が集中していることが明らかとなった。このうち1階からの侵入で、侵入開口部の場所が特定できたものについて、建物を正面、側面手前、側面中央、側面奥、背面の5つに区分して集計。5年ごとの侵入件数平均データからは、道路から見えにくい建物奥に侵入経路が集中する傾向が見られるものの、近年は数が大幅に減少していることが分かった。同社では、建物側面に、「ゾーンディフェンス」(奥に不審者を入れないように計画)を提案してきた効果だとする一方で、建物奥への集中が薄まるにつれて他の場所からの侵入の比率が高くなってきていると分析。

 また今回の調査では、エリアごとに侵入された開口部の分布に特徴あることが明らかとなった。中部エリアは、車社会のため犯罪者が車で乗り付け、道路から近い開口部から侵入し、犯行に及んだあと車で逃走する事例が多発。対策として、敷地奥に侵入されないための「ディフェンスライン」の設置に加え、建物側面からの侵入を防ぐために、側面を道路側から建物奥に向かって照らす「フォワードライティング」の提案、またカーポート手前で侵入を防ぐ「カーポートバリア」の提案がエリアの特性に合わせて必要だとした。

 侵入手段別の分析では、防犯ガラスの普及でガラス割りの被害が減少した一方、こじ開けの比率が高まっていることが明らかとなった。また、人が通れない幅のスリット窓や、地盤面から高さ2mを超える高窓からの侵入被害も極めて少ないことが分かり、防犯対策への有効性が確認できた。

 勝手口からの侵入被害状況では、格子付きの上げ下げ窓が開いている(無施錠)状態での被害が多く、これを狙った未遂例も多かった。また、面格子付き窓への侵入リスクは面格子がない場合と比較して3分の1程度だったが、浴室で面格子があるが窓自体が開いている状態での侵入が特に多い状況だったことから、格子付きでも窓は閉めるといった、居住者側の行動の啓発が大切であるとした。

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一戸建て

独立した一軒の家屋がひとつの住戸となっている住宅。「戸建て」も同じ意味である。これに対して、複数の住戸で構成される建物を「集合住宅」「共同住宅」という。

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