不動産ニュース / 仲介・管理

2022/8/29

インフレ想定した修繕計画で100年マンション目指す

「我孫子ビレジ」全景

 東急不動産(株)は26日、同社が開発を行ない、(株)東急コミュニティが1977年の竣工時から管理を続けている大規模マンション「我孫子ビレジ」(千葉県我孫子市、総戸数994戸)での、管理組合と連携した建物維持修繕への取り組みについて、報道陣へ説明を行なった。

 同物件は、JR常磐線「我孫子」駅徒歩15分に立地。地上5~14階建て、20棟の住棟と銀行やスーパーなどの生活利便施設が入る店舗棟で構成される。当時の東急不動産の若手社員がヨーロッパの集合住宅を視察した成果を採り入れ、円形広場(提供公園)を取り囲むように建物を配置。棟の間は生活路を兼ねた緑道や、遊水路を配置するなど緑地率は40%を確保した環境の良さと、戸当たり平均専有面積が78平方メートルと供給当時ではゆとりあるつくりがウリ。現在の入居率は94%。

 高層棟は鉄骨鉄筋コンクリート造とPC部材を組み合わせ、中層棟はPC部材による壁式工法を採用。二重床やセントラル給湯によるパネル暖房も採用されており、高層棟はスケルトンリフォームも可能。外壁180mm、内壁150mmを確保し、現行の耐震基準も満たすなど高い建物性能であったことがから、これまでも管理組合と東急コミュニティが連携し、それらの維持保全に注力してきた。

 これまで3度にわたる大規模修繕を実施し、建物塗装、屋上防水の強化、共用給排水・給湯管の交換、建物間通路や公園の整備・バリアフリー化などを実施。専有部の給排水管についても、専有部内の特別管理として積立金制度を導入し全戸更新した。防災力強化と省エネ性能向上を目的に、給湯システムの改修、受水槽・加圧給水設備の改修、住戸サッシのLow-E複層化、玄関扉の改修、共用部照明の全LED化、井戸の掘削も実施。緑豊富な住環境が差別化になるとして、造園業者と長期契約し、生育不良植樹の植え替えや補植も行なっている。管理組合には専門知識をもった専任理事を置き、機動的な修繕計画を可能とするため営繕部会を補佐する「営繕タスクフォース」も常設している。

 また、3回目の大規模修繕(2019年・20年)を契機に、建て替えを行なわず建物を長期維持していくことを目的にした周期18年、2回分(36年間)の長期修繕計画を策定。10年計画に展開し、5年ごとに見直す。計画には年率1%の物価上昇と消費税率20%までのアップを織り込み、現行の修繕積立金(月額1万2,000~1万5,000円)を値上げすることなく、36年間黒字を維持することで、マンション管理適正化法のマンション管理計画認定制度の認定要件を満たす。

 これらの取り組みが評価され、22年2月、「第31回BELCA」のロングライフ部門を受賞。今後は、マンション管理計画認定制度での情報公開(我孫子市の基準公表待ち)、(一社)マンション管理業協会「マンション管理適正評価制度」への登録を目指すほか、9月にはマンション管理センター「マンションみらいネット」での情報公開を予定。若年家族にアピールしていく。
 同日会見した我孫子ビレジ団地管理組合法人専任理事の田中裕実氏は「居住者の過半は70~90歳台だが、向こう36年間の修繕計画は積立金の値上げがないことも評価されている。管理費等の滞納率も0.4%と低い。この維持修繕計画で、マンション管理適正評価制度の最高評価である★5つを目指したい」などと語った。

受水槽ポンプ室。大規模修繕により防災性能が高められ、非常用発電機と組み合わせ停電後7時間の稼働が可能
ボイラー室。セントラル給湯機器の更新と併せ、ボイラー技士の常駐の必要がなくなり、省エネ・コストダウンを実現
棟間をはしる游水路には井戸から汲みあげた地下水を流す。防災のため敷地内3ヵ所で掘削したもので、災害時は非常用水として使う

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長期修繕計画

分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、管理組合が作成する分譲マンションの長期的な修繕計画のことである。長期修繕計画は、一般的に10年から30年程度の期間を対象として、マンションの各箇所に...

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