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2023/1/18

組織レベルでコンプライアンス浸透を/推進C

「コンプライアンスとは、単に法令を遵守することだけではなく、組織が社会の要請に応えること」などと定義する郷原弁護士

 (公財)不動産流通推進センターは18日、「不動産業におけるコンプライアンス(職業倫理)確立」をテーマとする講演会を損保会館(東京都千代田区)で開催した。

 不動産業界における「コンプライアンス(職業倫理)」徹底に取り組む同センターでは、2020年より、主に「公認 不動産コンサルティングマスター」「宅建マイスター」に向けて、「倫理規程」を改訂し、登録・更新の際の「誓約書」提出の義務化、「倫理審査会」の設置などを手掛けてきた。21年には、周知対象を経営者層から消費者サイドまで拡大し、消費者の苦情相談窓口設置などを行なっている。

 講演会に先立ち挨拶した同センター理事長の坂本 久氏は、「本年は、これまでの個人の心持ちに対するコンプライアンス推進活動から一歩踏み込み、組織レベルへの浸透を推進することに取り組んでいく。本日の講演会はそれを念頭に、組織のコンプライアンス問題を取り上げた」などと話した。

 基調講演では、郷原総合コンプライアンス法律事務所弁護士の郷原信郎氏が「コンプライアンスの基本的視点と経営者個人の不祥事」をテーマに登壇。同氏はコンプライアンスとは、単に法令を遵守することだけではなく、広義に捉え、“組織が社会の要請に応えること”と定義。その困難性や、組織の変質や社会の環境変化への不適応が不祥事発生の要因になるとし、組織におけるコンプライアンスの基本的な枠組み、内部通報など、不祥事を意思決定者が把握するため仕組みなどがうまく機能しない要因などを説明した。そのほか、コンプライアンスの観点から見た経営者個人の不祥事をテーマに、(株)吉野家ホールディングス、ENEOSホールディングス(株)、(株)スノーピークの事例を交えて解説。「環境変化への適応は、会社としてだけではなく経営者個人としても必要。また“世の中がどう反応し、どういう事態が生じるか”を予測した慎重な対応も求められる」などと締め括った。

 そのほか、「正直不動産」原案者の夏原 武氏、 消費者機構日本会長の中山弘子氏へのインタビュー(いずれも動画上映)、住宅評論家・(株)住宅新報顧問の本多信博氏がコーディネーターを務めたパネルディスカッションも実施。パネリストとして(株)アトリウム代表取締役会長の竹井英久氏、東急リバブル(株)常勤監査役の橋本明浩氏らが参加し、「不動産プレイヤーに求められる基本的資質」「個人と組織、両面でのコンプライアンス意識醸成」などをテーマとするディスカッションが行なわれた。

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