不動産ニュース / 開発・分譲

2023/1/27

板橋に都内最大の“街づくり型”物流施設

左から三井不動産・三木氏、坂本 健板橋区長、ヤマト運輸常務執行役員・阿部珠樹氏、日鉄興和不動産・吉澤氏

 三井不動産(株)と、日鉄興和不動産(株)は26日、都内では最大級となるマルチテナント型物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」(東京都板橋区)の起工式を執り行なった。着工は2月1日の予定。

 都営三田線「西台」駅徒歩約10分に位置する日本製鉄(株)の工場跡地に開発。従業員の通勤利便性に優れ雇用確保の面で優位性を持つことに加えて、最寄りの首都高速5号池袋線「中台」出入口までは約2.7kmと都心部への配送にも適した希少性の高い立地。敷地面積約9万3,200平方メートル、鉄骨造免震構造地上6階建て、延床面積は都内最大の約25万6,100平方メートル。竣工は2024年9月の予定。

 日鉄興和不動産が21年6月に土地を取得し、板橋区と地域防災力向上に資するべく行政協議を重ねてきたが、事業規模等の理由から、三井不動産が参画を依頼。物流施設では両社初の共同事業を行なうこととした。「開発地は、日本製鉄が85年もの間、工場を操業してきた地。地域に貢献できるまちづくりに資する施設をつくりたいと考え、ベストパートナーを選んだ」(日鉄興和不動産代表取締役副社長・吉澤恵一氏)。

 倉庫は、ダブルランプ型のセンターバースを採用。ワンフロアの面積として全国でも最大規模の約1万1,000坪を提供し、最大8分割可能とした。市場拡大が見込まれる食品類Eコマースや、チルド配送のニーズ拡大に対応するため、1階は大規模冷凍冷蔵倉庫にも使用可能な床荷重2t/平方メートルを採用。BCP対策をはじめ、車番認証、入退館管理などオフィスビル同等のセキュリティ機能も確保している。

 1,000人超の雇用創出が見込まれることから、従業員向けの共用部を拡充。売店・カフェテリアスペース、ラウンジ、デッキテラス等を用意し、礼拝所やジェンダーレストイレも設置する。屋上に設置する太陽光発電設備約4MWによる再生可能エネルギーの供給や、屋内照明のLED化による省エネ等、環境に配慮したさまざまな取り組みも実施。「ZEB認証」および、DBJ Green Building認証最高位となる「5スター」の取得を予定している。

 また、物流業界の課題である労働力不足への対応等を視野に、将来的なドローン配送を見据えた賃貸用研究開発区画も整備。広大な敷地を生かしたドローン飛行用のフィールドと、倉庫の一部スペースをドローン事業者等への専用区画として用意し、ドローンによるラストワンマイル配送や災害時の支援物資搬送等、実証実験の場を提供する。将来的には、都心各地へアクセスが可能な立地を生かし、ドローンの飛行ハードルが低い河川上空を活用して、ドローンによる災害支援や物流配送拠点としての活用を検討する予定。

 テナントは、現時点でヤマト運輸(株)の入居が決定している。着工に伴い、同日、両社は板橋区・ヤマト運輸と「災害時等における防災施設整備等に関する4者基本合意書」を締結した。板橋区が目指す、河川氾濫時における水害に強い安心・安全なまちづくりの実現に向け、施設に隣接する「板橋区立・舟渡水辺公園」と一体となり、緊急着陸用のヘリポートとしても使用可能な高台広場、水害時の緊急一時退避場所や避難路等の防災上必要な公共施設を整備。地域住民1,000人の緊急一時退避場所を確保する。高台広場は約3万平方メートルの公開空地とし、新河岸川沿いの歩行空間と共に、地域住民にも開放する。防災イベント等の開催も予定している。

 三井不動産取締役専務執行役員ロジスティクス本部長の三木孝行氏は、「地域の方々や従業員の皆さんに利用していただけるよう、隣接する公園と一体となり、MFLP船橋の7,000坪をも凌ぐ9,300坪もの緑豊かな公開空地を整備する。唯一無二、都内最大の“街づくり型”フラッグシップ施設となる計画だ」なとど抱負を述べた。吉澤氏は「当社はオフィス、住宅事業が主ではあるが、近年、物流を中核事業として進めてきている。板橋のプロジェクトを通じてこれからも官民連携により地域課題を解決する施設をつくっていきたい」などと話した。

「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」外観完成予想図

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