国土交通省は3日、国土審議会計画部会(部会長:増田寬也日本郵政(株)取締役兼代表執行役社長)の16回目の会合を開催。新たな国土形成計画(全国計画)の基本構成(案)等を検討した。
同案では、新たな国土の将来ビジョンを示した。時代の重大な岐路に立つ中、豊かな自然や文化を有する多彩な地方からなる国土を次世代に引き継ぐための未来に希望を持てる将来ビジョンが必要であるとした。
目指す国土の姿の「キーコンセプト」として、「デジタルとリアルの融合による活力ある国土づくり」「巨大災害、気候危機、緊迫化する国際情勢に対応する安全・安心な国土づくり」「世界に誇る美しい自然と多彩な文化を育む個性豊かな国土づくり」を設定した。
国土構造の基本構想 の「キーコンセプト」としては、「広域的な機能の分散と連結強化」「生活圏の再構築」を挙げた。中枢中核都市を核とした広域圏の自立的発展と広域圏間の交流・連携の強化、三大都市圏が一体化した新たな交流圏域の形成による地方活性化、国際競争力強化、生活に身近な地域コミュニティの再生、地方の中心都市を核とした市町村界にとらわれない新たな発想からの地域生活圏の形成が求められる。
また、基本構想の実現に向けては、デジタルの徹底活用による場所や時間の制約を克服した国土構造へ転換していく。東京一極集中の是正や、国土の多様性(ダイバーシティ)、持続性(サステナビリティ)、強靱性(レジリエンス)の向上も進めていく必要があるとした。
国土の刷新に向けた重点テーマとして、「デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成」「人口減少下の国土利用・管理」等を掲げた。
地域生活圏の形成に向けては、「地方の豊かさ」と「都市の利便性」の融合、地域の生活・経済の実態に応じた市町村界にとらわれない地域間の連携・補完(規模の目安:1時間圏内10万人程度以上)、デジタルの徹底活用によるリアルの地域空間の質的向上を掲げた。ウォーカブルなまちづくり、デジ活中山間地域、転職なき移住・二地域居住など、デジタル活用を含めたリアル空間での利便性向上が求められる。
人口減少下での対策として、地域管理構想等による国土の最適利用・管理、災害リスクを踏まえた住まい方、地理空間情報等の徹底活用による国土の状況の見える化等を通じた国土利用・管理DXを示した。
委員からは「危機感を持って取り組むべき内容。KPIのようなものがあってもいいのではないか」「地域生活圏が目玉ではないのか。その場合それが分かるような書きぶりが必要」「地域が変わり続けるための体制づくりとマネジメントが重要」「行政だけでなく民間企業や一般市民等、誰にでも関係のある内容であることを強調すべき」等の意見が挙がった。
今後は、3月7日に計画骨子案を、4月14日に計画素案を検討し、5月26日に計画原案をとりまとめる。その後、パブリックコメント等を実施し、6月以降に国土審議会に報告。同審議会から計画案の答申が行なわれる予定。新たな国土形成計画の閣議決定は2023年夏を見込む。