不動産ニュース / 決算・業績・機構改革

2023/2/15

米国事業好調で増収増益/住林22年12月期

 住友林業(株)は15日、2022年12月期決算(連結)の説明会を開催した。

 当期(22年1月1日~12月31日)は、売上高1兆6,697億700万円(前期比20.5%増)、営業利益1,582億5,300万円(同39.2%増)、経常利益1,949億9,400万円(同41.6%増)、当期純利益1,086億7,200万円(同24.7%増)。米国を中心とした海外住宅・不動産事業が損益に貢献したほか、円安の影響もあり、経常利益、当期純利益とも過去最高益を更新した。

 木材建材事業は、輸入木材・国産材が高値圏で推移したことによる流通事業の増益や、海外製造事業の収益性改善で、売上高は2,737億3,300万円(同26.2%増)、経常利益は148億7,800万円(同49.0%増)で増収増益となった。
 住宅・建築事業は、販売単価上昇等により売上高が伸長した一方、木材など建築資材コスト上昇の影響が大きく、売上高5,335億600万円(同4.4%増)、経常利益158億9,900万円(同19.1%減)となった。戸建注文住宅の販売金額は3,579億円(同6.6%増)、棟数は8,300棟(同0.6%減)と、単価上昇や工事数量増加により金額が前期を上回るも、資材高の影響で売上総利益は減少。受注金額は3,526億円(同1.6%減)、受注棟数は8,031棟(同7.3%減)と、コロナ禍の戸建住宅需要の一巡や、21年9月の住宅ローン減税制度の見直しに伴う駆け込みがあった影響で、棟数・金額ともに前期を下回った。

 海外住宅・不動産事業は、米国の戸建住宅事業において、金利上昇に伴う受注の減少等により販売戸数は減少したものの、効果的な値上げの実施で販売単価・利益率とも上昇。円安の進行もあり、売上高8,487億2,400万円(同31.7%増)、経常利益1,613億1,700万円(同54.6%増)と、大幅な増収増益となった。米国の戸建住宅の販売戸数は1万244戸(同8.8%減)と工期長期化の影響で前期を下回ったものの、販売金額は6,839億円(同34.1%増)、販売単価は6,680万円(同47.1%増)といずれも前期比増に。顧客の様子見姿勢の強まりや解約の増加で受注戸数は6,056戸(同44.8%減)と、前期比で大幅に減少した。受注残は2,899戸(同59.1%減)と、建売物件が主流だったコロナ禍前並みの水準。

 次期の業績は、売上高1兆5,980億円(同4.3%減)、営業利益1,015億円(同35.9%減)、経常利益1,200億円(同38.5%)、当期純利益770億円(同29.1%減)を予測。利益の大部分を占める米国で住宅市況が悪化していることを踏まえ、前年比で減収減益の計画とした。

 なお、次期よりセグメントの組み替えや名称を変更する。建築事業を「住宅・建築」から「海外住宅・不動産」に移管。従来の「住宅・建築」を「住宅」に、「海外住宅・不動産」を「海外住宅・建築・不動産」に変更した。

 木材建材事業では、国産材の活用、木質バイオマス発電燃料の供給拡大、建物のCO2排出量見える化ソフトウェア「One Click LCA」の普及推進を図る計画。住宅事業では、LCCM住宅、ZEH住宅、オリジナル部材「PRIME WOOD」など付加価値の高い商品を拡販する。DX導入、外構一体契約、施工合理化を推進。営業から施工のすべてにおいて構造改革を行なうイノベーション推進部を設置し、既存業務を見直す。賃貸事業の拡大、オーナー情報の最大活用等によりグループでの収益拡大を図る。

 海外住宅・建築・不動産事業は、米国の戸建住宅事業において、効果的なインセンティブの提供で契約を確保するとともに、過剰在庫とならないように着工をコントロールし、販売戸数9,000戸を実現。賃貸管理事業にも新規参入する。また、建築事業の移管によって、これまで海外で先行していた中大規模木造建築の開発を国内でも推進する。

 同社代表取締役社長の光吉敏郎氏は「世界的な金利上昇が、ここ数年当社業績の伸長に大きく寄与してきた米国住宅・不動産事業に大きな影響をもたらしている。日本経済はインバウンド需要や内需の回復などが見られる一方、円安による資源高、金利上昇懸念もあり、国内住宅市場は不透明な状況が継続している状況だ」と述べた。

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