三菱地所(株)と国立大学法人一橋大学は、データ駆動社会における空間価値創造に関する共同研究に基づく取り組みの一環として、同大学キャンパス内にインキュベーション・交流拠点を整備すると発表した。
同大学は、社会科学に関する知見とデータサイエンス技術を融合し研究する「ソーシャル・データサイエンス学部・研究科」を4月に開設。統計学や情報、AIといったデータサイエンス技術を用いてビジネス革新や社会課題解決を図ることのできる人材の養成に取り組んでいる。三菱地所は、国内外のプロジェクト・事業を手掛けており、それらの空間に関わるさまざまなデータを保有しているほか、スタートアップ・エコシステムの形成を進めるために、大丸有エリアで複数のイノベーション拠点を整備・運営している。
この両者が共同研究を進めることで、社会課題の特定・解決を図る。その活動のための場づくりとオープンイノベーション促進に向け、同大学東本館の1階・2階の一部をインキュベーション・交流拠点として整備する。
建物は、1929年築。「教室としては一番古い建物」(同大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科教授・七丈直弘氏)で、登録有形文化財の指定も受けている。ここに、学部の枠を超えて多様な人が集える「Common area」、研究拠点となる「Laboratory area」、外部の人との話し合いや打ち合わせなどもしやすい「Lounge area」などを設置する計画。オープンは9月の予定。
同大学学長の中野 聡氏は、「72年ぶりの新学部を創設した。データサイエンス分野で新学部を創るのは画期的なこと。事業を通じて時代が抱える社会課題解決に取り組む三菱地所と共同研究ができるということに、大きな期待を抱いている」と述べた。また同社取締役社長の中島 篤氏は、「まちの進化にはデータの活用が不可欠。当社は大丸有を含め多くのデータを蓄積しており、一橋大学との連携し、一緒に社会課題の解決に取り組んでいきたい」と語った。