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2024/1/31

住宅確保要配慮者の住まい探しをテーマにシンポジウム

シンポジウムの様子

 東京弁護士会は30日、弁護士会館(東京都千代田区)にて、「『外国人・障害者・LGBTQ+、って怖いからアパート貸せません。』これって違法じゃないんですか、弁護士さん?! ~だれも排除されない社会のために必要なことは何か~」と題したシンポジウムを開催した。

 シンポジウムでは、同会 外国人の権利に関する委員会副委員長の李 世燦氏が、「外国人であることを主たる理由として契約締結を拒否することには何ら合理的な理由がない」「肌の色を執拗に問いただすことは人格的利益を毀損する違法な行為」として、原告に対する損害賠償が認められた事案を紹介。
 同会多摩支部 高齢者・障害者の権利に関する委員会委員の幡野博基氏は、「障害者に対し賃貸人の約7割が拒否感を持っている」と言及し、「障害者差別に関する相談はなくなっていない。真に多様な人が共生できるよう、障害者に限らず、さまざまな分野横断的な差別解消法制が必要ではないか」と述べた。

 LGBTQ+の事例は、同会 性の平等に関する委員会委員の土屋裕太氏が紹介。当事者が感じる困難や、当事者が入居を希望した場合の大家の意識、当事者と住宅確保に関する政策について説明した。「LGBTQ+当事者は、賃貸物件に入居するにあたり、さまざまな困難を感じているという現実がある。法律や条例から、民間の賃貸物件についての明確なルールが導かれているわけではないが、貸し主側の契約の自由ないし経済活動の自由も、一定の限界があるというべき」と話した。

 引き続き、住宅確保要配慮者の住宅確保に取り組む事業者として、(株)三好不動産の対応を披露。より多くの外国人へ賃貸住宅を提供するためには、「実績やノウハウのある外国人対応事業者の力を借り、外国籍のスタッフを採用すると良い」(同社資産管理部シニアマネージャー・葛 叢氏)と言及。高齢者・障害者に賃貸住宅をあっせんしている、介護賃貸住宅NPOセンター事務局長の安田 豊氏は「高齢者に対しては、医療・介護・住宅改修といった目配りが必要。障害者に提供できる物件は少ないが、家主の理解を深めるとともに、セーフティネット住宅の改修補助や家賃低廉化の活用を提案したい」とした。
 8年間、LGBTQ+の住まい探しに取り組む同社職業紹介事業部マネージャーの原 麻衣氏は、「同性カップルで入居できる部屋は少なく、保証人や入居審査の問題も立ちはだかる。管理会社のスタッフは、LGBTQ+に対する正しい知識と理解を深め、オーナーに交渉していただきたい」と話した。

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住宅確保要配慮者

高齢者、低額所得者、子育て世帯、障がい者、被災者等の住宅の確保に特に配慮を要する者をいう。外国人やドメスティック・バイオレンス被害者なども住宅確保要配慮者である。

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