不動産ニュース / 政策・制度

2024/6/25

不動産ID普及へ、日本郵便のデータを活用

 国土交通省は25日、「不動産ID官民連携協議会」をオンライン形式で開催した。

 同協議会は、土地や建物を特定するための共通コードである「不動産ID」を生かし、幅広い分野の成長や課題解決を実現するために設置されたもので、1回目の協議会は2023年5月30日に開催された。

 23年度に行なわれた「災害」「空き家対策」「不動産」「物流」への活用に関する実証事業の結果報告が行なわれ、「不動産」ではアットホーム(株)の太田裕介氏、「空き家対策」では、東京都市大学教授の秋山祐樹氏と(株)パスコが得られた成果や課題について述べた。さらに「災害」では三井住友会場火災保険(株)の北田康治氏とMS&ADインターリスク総研(株)の返町雄一氏、「物流」ではヤマト運輸(株)の多湖英明氏が報告した。

 24年度の検討内容について、同省不動産・建設経済局不動産市場整備課長の二井俊充氏が説明。同氏は23年度の実証結果で浮かび上がった課題について、(1)一筆に複数建物が存在する場合に対象の建物と登記を正確に結びつけることができない、(2)公営住宅などの未登記物件も対象にするべき、(3)新築・除却など変動する不動産の状況をなるべくリアルタイムで反映してほしい、(4)不動産ID検索時に入力する住所の表記ゆれがあっても検索できるようにしてほしい、といった4点を挙げた。それを踏まえ、24年度については建物に関する不動産ID(建物ID)については日本郵便(株)と連携し、同社が保有し日々アップデートするデータを活用して「建物ごと」にIDを付番する手法へと見直しを検討する。これにより、建物の「特定性」を確保するほか、すべての住所を把握できる「網羅性」、「最新性」の確保にもつながるとした。

 その上で、24年度は(1)日本郵便の保有データを用いた建物ID用データの作成試行、(2)国土交通省において「不動産IDシステム(仮称)」の施策・提供、(3)「1住所複数建物」の建物の特定方法の検討、(4)日本郵便によるデータ更新の建物IDへの反映方法・頻度の検討を行なっていくとした。

 また、不動産ID整備に向けた具体的な整備手法や検証事項などについて、専門的な知見から助言を得るための組織として「不動産ID官民連携協議会アドバイザリー会合」を設置することも明らかにした。

 最後に、「不動産IDを起点とした情報連携がもたらす社会」と題して、同省政策統括官付情報活用推進課長の矢吹周平氏が講話。同氏は、「不動産IDをキーとして、世の中のいろいろな情報を連携させていきたい。オープンデータであれば、国土数値情報やPLATEAUの3次元都市モデル、建築BIMなど。また、店舗の売り上げデータや賃料データ、行政手続きデータなど、民間や地方行政が持つクローズドなデータを連携させることで新たなサービスを生み出すなどといったことが考えられる」と話した。また、4月にオープンした「不動産情報ライブラリ」の利用状況等について紹介。運用開始から2ヵ月半の累計ページビューは670万を超え、システム連携サービスの利用者も1,854者となっていること等を紹介した。

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不動産ID

不動産を識別・特定するための番号。不動産データを効率的に活用するためのもので、個々の不動産に対して、共通のルールに基づいて付与される。

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