国税庁が1日に発表した「令和6(2024)年分路線価」について、業界団体のトップから、以下のようなコメントが発表された(順不同)。
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 坂本 久氏
(公社)全日本不動産協会理事長 中村裕昌氏
(一社)不動産協会理事長 吉田淳一氏
令和6年分の路線価は、標準宅地の評価基準額では全国平均は3年連続で上昇しているものの、都道府県ごとの状況では16県が依然として下落し、地価の2極化が顕著となっている。これら16県の空き家率は、先般の住宅・土地統計調査の全国平均13.8%をいずれも上回っている。
こうした折に国土交通省では、「不動産業による空家対策推進プログラム」を発表し、空き家等を含む低額な物件の媒介報酬制度の見直しを中心として、空き家管理業のガイドライン、空き家のコンサルティング業務等、宅建業者を通じた流通活性化策により、空き家対策をさらに推し進めるものと認識している。
我々ハトマークグループは、宅建協会への管理活用支援法人指定への支援、各地における空き家相談体制の整備、担い手の育成に向け積極的に取り組むことにより、社会的な課題である空き家、空き地等の解消を図り、全国的な地域活性化に向け取り組んでいきたい。
この度発表された令和6年の路線価では、評価基準額の対前年変動率全国平均値が3年連続して上昇しており、かつ上昇率も上向いている。都道府県庁所在都市の最高路線価についても上昇地点が前年の29都市から37都市へと増加したほか、4市あった下落地点が1市のみとなった点も地価全体の回復基調を示す指標といえる。
他方、福井市において北陸新幹線の延伸への期待を反映して最高路線価の対前年変動率が8.6%上昇しているなど、個別的事情も見て取れるところである。
本会でも令和9年に福井県において全国不動産会議を開催することが決定している。そうした中、本日より改正報酬額告示が施行されるなど、目下、国土交通省も新たな空き家対策プログラムを打ち立てて傾注しているところであるが、空き家・空き不動産の利活用と地方創生は政策的に密接な関係を有するといえる。
本会としても、こうした観点から全国不動産会議等を通じて全国の自治体又は地方本部の成功事例を横展開するなど、オールジャパンである「全日」ならではの空き家対策を推進して参る所存である。
今回発表された路線価では、標準宅地の評価基準額の対前年変動率の全国平均が3年連続で上昇した。上昇率は前年よりも大きくなり、下落が継続している地域においてもそのほとんどで下落幅が縮小するなど、我が国経済の緩やかな回復が地価に反映されたものと認識している。一方、ウクライナや不安定な中東情勢等を背景とした資源・エネルギー価格の動向、金利・為替の変動、海外経済の下振れ懸念等、経済の先行きは非常に不透明な状態にあり、今後の地価動向について十分に注視していく必要がある。
他方、頻発化・激甚化する自然災害への対応や急速に進展する少子化・人口減少等の課題にも直面している。こうした課題に立ち向かいながら、我が国経済がデフレから完全脱却を実現し、成長型の新たなステージへと移行していくには、様々な社会課題の解決を成長につなげるとともに、構造的・継続的な賃上げや生産性の向上等を通じて、経済の好循環を実現していかなければならない。
そのためには、都市の国際競争力の向上やレジリエンスの強化、まちづくりGX及びDXの加速等に資する都市再生の推進に加え、多様化する住宅ニーズに対応し環境性能に優れた良質な住宅ストックの形成、不動産市場の活性化を進めていくことが重要である。