不動産ニュース / 開発・分譲

2024/7/11

物流施設の付加価値向上の取り組みを強化/三井不

三井不動産の今後のロジスティクス事業戦略などについて説明した、同社執行役員ロジスティクス本部長の篠塚氏

 三井不動産(株)は11日、同社のロジスティクス事業について記者説明会を開催。同社執行役員ロジスティクス本部長の篠塚寛之氏が、今後の事業戦略、開発物件などを説明した。

 今後の事業戦略については、長期経営方針「& INNOVATION 2030」に基づき、物流施設の付加価値向上に取り組む。具体的には、コア事業の成長、事業領域の拡大、ESGへの取り組み強化を掲げた。

 コア事業の成長として、引き続き「街づくり型物流施設」の開発推進、サプライチェーンの改革支援に取り組むことを説明。
 「街づくり型物流施設」では、9月末にマルチテナント型物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」(東京都板橋区)を竣工予定。1,000人規模の緊急一時避難場所、緊急着陸用のヘリポートとしても使用できる高台広場、ドローンの実証実験フィールドを設けるなどで付加価値を創出するとともに、エリア価値の向上につなげていく。
 サプライチェーンの改革支援では、「2024年問題」への対応として、4月に新たに、EC事業者に対して「&LOGI Sharing」の提供を開始した。これは、従量課金制で自動倉庫を貸し出すほか、注文受付や配送手配、在庫管理などのサービスも担うもので、「立ち上げて間もないが、半分以上の稼働率で、現在30社以上と商談中だ。従量課金制の倉庫シェア事業は、今後伸びていくだろう」(篠塚氏)。

 事業領域の拡大としては、冷蔵・冷凍倉庫の開発、データセンター事業の強化、工場・インフラストラクチャー事業への参入について説明。冷蔵・冷凍倉庫では、食品スーパーや卸売業をターゲットに、現時点で4物件の開発を決定していると公表した。ESGに関する取り組みでは、同社グループが北海道に保有する約5,000haの森林の木材を構造材や内装、仕上げ材などの一部に使用した「MFIP海老名」(神奈川県海老名市)を開発していく。

 今後の国内での開発については、マルチ型冷凍冷蔵倉庫「(仮称)MFLP杉戸」(埼玉県北葛飾郡、2026年12月竣工予定)など計6物件と、データセンター事業として「日野DC計画」「相模原DC計画」の2物件を発表。これら施設を含め、国内外開発施設は計75物件、総延床面積は約600万平方メートル、累計総投資額は約1兆2,000億円となる。

 篠塚氏は、「現在、仙台や大阪、関西の方で物流施設の開発をしており、今後も関西、東北エリア、名古屋など中部地方での開発を進めていきたい。さらに、2024年問題の関係では、例えば盛岡や岡山などでの事業機会を確保していく。冷凍冷蔵倉庫は、企業との強いリレーションを生かしながら、適切な場所に配置をしていく」と話した。

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