三井不動産(株)は11日、同社のロジスティクス事業について記者説明会を開催。同社執行役員ロジスティクス本部長の篠塚寛之氏が、今後の事業戦略、開発物件などを説明した。
今後の事業戦略については、長期経営方針「& INNOVATION 2030」に基づき、物流施設の付加価値向上に取り組む。具体的には、コア事業の成長、事業領域の拡大、ESGへの取り組み強化を掲げた。
コア事業の成長として、引き続き「街づくり型物流施設」の開発推進、サプライチェーンの改革支援に取り組むことを説明。
「街づくり型物流施設」では、9月末にマルチテナント型物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」(東京都板橋区)を竣工予定。1,000人規模の緊急一時避難場所、緊急着陸用のヘリポートとしても使用できる高台広場、ドローンの実証実験フィールドを設けるなどで付加価値を創出するとともに、エリア価値の向上につなげていく。
サプライチェーンの改革支援では、「2024年問題」への対応として、4月に新たに、EC事業者に対して「&LOGI Sharing」の提供を開始した。これは、従量課金制で自動倉庫を貸し出すほか、注文受付や配送手配、在庫管理などのサービスも担うもので、「立ち上げて間もないが、半分以上の稼働率で、現在30社以上と商談中だ。従量課金制の倉庫シェア事業は、今後伸びていくだろう」(篠塚氏)。
事業領域の拡大としては、冷蔵・冷凍倉庫の開発、データセンター事業の強化、工場・インフラストラクチャー事業への参入について説明。冷蔵・冷凍倉庫では、食品スーパーや卸売業をターゲットに、現時点で4物件の開発を決定していると公表した。ESGに関する取り組みでは、同社グループが北海道に保有する約5,000haの森林の木材を構造材や内装、仕上げ材などの一部に使用した「MFIP海老名」(神奈川県海老名市)を開発していく。
今後の国内での開発については、マルチ型冷凍冷蔵倉庫「(仮称)MFLP杉戸」(埼玉県北葛飾郡、2026年12月竣工予定)など計6物件と、データセンター事業として「日野DC計画」「相模原DC計画」の2物件を発表。これら施設を含め、国内外開発施設は計75物件、総延床面積は約600万平方メートル、累計総投資額は約1兆2,000億円となる。
篠塚氏は、「現在、仙台や大阪、関西の方で物流施設の開発をしており、今後も関西、東北エリア、名古屋など中部地方での開発を進めていきたい。さらに、2024年問題の関係では、例えば盛岡や岡山などでの事業機会を確保していく。冷凍冷蔵倉庫は、企業との強いリレーションを生かしながら、適切な場所に配置をしていく」と話した。