森トラスト(株)は17日、訪日外国人の動向に関するメディアミーティングを開催。訪日外国人の動向や観光業界が抱える課題などについて代表取締役の伊達 美和子氏が解説した。
訪日外国人客数は2019年に約3,188万人だったところ、24年は約3,450万人に達すると推計されている。これは23年比で38%の大幅な伸びだという。また、訪日外国人旅行消費額については、同社の推計によると、29年は4兆8,135億円だったところ、23年には5兆3,065億円と5兆円を突破し過去最高を記録。24年は6兆9,200億円と予測しており、「後半の伸び次第では7兆円も視野に入ってくる」(同氏)と説明した。
さらに、世界では人口増加が進み、中間所得層が増えていることから、海外旅行者数は今後も増加すると見込まれており、日本政府が「観光立国推進基本計画」に掲げた30年訪日外国人数6,000万人の数字も、「不可能ではない数字」(同氏)との見立てを示した。
一方、日本の観光産業が抱える課題として、「労働力の確保」「二次交通の確保」「財源確保(オーバーツーリズム対策)」を指摘。これらの解消により観光GDP(国内で生産した観光サービスのうちの付加価値額)を伸ばすことができると語り、そのためには、外国人受け入れ体制の構築、「年収の壁問題を解消して、労働しない人にインセンティブが働く状態から、労働する人にインセンティブが与えられる制度」(同氏)に改めることの必要性について指摘した。さらに宿泊税を全国的に導入し、さらに定率制とすることで、観光税収入を増やし、それを地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりに活用する必要性についても説明した。
森トラストでは現在32のホテルを運営しており、さらに22のホテルプロジェクトが進行中。リニューアルを進めていた万平ホテル(長野県北佐久郡軽井沢町)も8月16日より一部をソフトオープンするが、予約状況は「大変順調」だという。
運営ホテルの稼働率は、軒並みコロナ禍前の19年並みに回復しており、リゾートホテルについては19年以上の高稼働となっているという。
なお同社運営ホテルでは、首都圏では宿泊客の約7割、地方では約2~3割をインバウンドが占めているという。