
三菱地所レジデンス(株)代表取締役社長の宮島正治氏が29日、会見し、現下の分譲マンション市場動向や自社のマンション供給方針等について明らかにした。
現在の分譲マンション市場について宮島氏は「2025年上期も契約数が10%増。来場者数も落ちていない。金利上昇が懸念されるが現場の声を聞くとさほど大きな問題とはなっていない。価格上昇も、インフレ率と同等ならば問題ない」としながらも、「需給バランスが悪いエリアが散見されるようになっている。広域集客が減り地元中心となった。原価率が高い郊外マンションで特長がないものは作ってはいけない」とした。また、同社が得意とする富裕層向け市場では、マンション購入を投資と捉え、資産のバランスシートに組み込み、ローンも組まずに購入し買い替えていく「パワーファミリー」層が存在感を見せ始めているとした。
供給戸数は、「戸数を追うと商品がブレる。需要溜まりがある需給バランスのいいエリアへ厳選投資し、年間2,000~2,500戸を供給していく。5年後あたりから、現在力を入れている再開発や建て替え案件が加わってくる」とした。建築費高騰の影響を抑えながらスケジュール通りに建設を進めていくためにゼネコンとの関係を強化。「ゼネコンが着工できるスケジュールに合わせて、建築費の上昇分を織り込みながら土地を買っていく」という。供給エリアについては「当社のブランド価値が生かせる都心部の方が勝機がある。再開発も含め取り組んでいく」とした。
また、「分譲マンション事業はボラティリティがある」としながらも、それを補完するため、事業の多角化を推進。「ザ・パークハビオ」ブランドの賃貸住宅事業や、有料老人ホーム・学生マンション開発事業、ホテルコンドミニアム事業などを展開する。「物件開発ノウハウのない運営事業者をマッチングしていく。分譲マンションで利益の6割、これら周辺事業で利益の4割を確保していく」とした。