不動産ニュース / 開発・分譲

2024/10/2

東京・板橋にドローン実験場を併設した大規模物流施設

「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」外観
「板橋区災害時配送ステーション」。災害時に必要な飲料水や非常食等を保管するとともに、災害発生時には区内の避難所に支援物資を配送する拠点として活用する

 三井不動産(株)と日鉄興和不動産(株)は2日、「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」(東京都板橋区)をマスコミに公開した。

 日本製鉄(株)の工場跡地を日鉄興和不動産が取得し、同社と三井不動産で再開発したプロジェクト。東京23区内の工業専用地域に位置し、最寄りの首都高速5号池袋線「中台」ICまでは約2.7kmと、都心部への配送にも適している。また、都営三田線「西台」駅から徒歩10分と交通環境が良く、雇用確保の面でも恵まれた立地。

 敷地面積9万1,255.58平方メートル、鉄骨造地上6階建て。延床面積は25万6,157.63平方メートル、1フロアの面積は約3万6,000平方メートル。東西2つのダブルランプウェイ、45ftコンテナ車両等の国際基準の大型車両にも対応可能なトラックバースなど、最新鋭の設備・スペックを採用。共用施設では、テナント就労者向けラウンジ、ドライバー休憩室、有人コンビニ、ジェンダーレストイレ、礼拝室などを整備した。
 屋上には全面に約1万9,000平方メートル、約4MWの太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーを自家発電により創出。余剰電力については板橋区内の73の区立小中学校へ供給することで、区立小中学校のRE100化にも貢献する。

 官民連携による高台まちづくりも行なっており、緊急着陸用のヘリポートとしても活用できる高台広場と隣接する板橋区立舟渡水辺公園を一体的に整備したほか、地域住民約1,000人を収容する緊急一時避難場所を2~6階の車路の一部に用意した。さらに「板橋区災害時配送ステーション」も設置し、災害時に必要な飲料水や非常食等を保管すると共に、区内の避難所に支援物資の配送を行なう。
 その他、ボーネルンド監修の遊具を設置した「わくわく広場」や、「芝生広場」など複数の広場を整備し、地域にも開放。憩いの場や交流の場として活用してもらう。

 さらに、施設内にはドローン実証実験施設「板橋ドローンフィールド」を開設。ドローンを活用しての新産業の創出や社会課題の解決を支援するための“場”を整備したもので、約650平方メートルのドローン飛行用のネットフィールド、ドローン事業者が入居する単位用のR&D区画、ドローンの離発着場である「ドローンポート」、ドローン事業者が集う場としてのコワーキングスペースなどを整備。実稼働する施設を活用してのAGV(無人搬送車)との連携やドローンポートを生かした点検・配送等の実験などが可能で、ドローンによるラストワンマイル配送、災害時における支援物資搬送、インフラ点検など、社会の要請に基づく研究・実験のための場として運用していく。
 またKDDIスマートドローン(株)により「KDDIスマートドローンアカデミー東京板橋校」が開校。ドローンを扱う技術者、オペレーターを育成していく。さらに、会員制の「ドローンコミュニティ」の運営も本日よりスタート。セミナーやネットワークイベントを開催し、スタートアップやアカデミア、公的機関との連携を促し、ドローン産業におけるイノベーションを後押ししていく。

 三井不動産執行役員ロジスティクス本部長・篠塚寛之氏は、「板橋フィールドを活用していただくことで、実験や研究が進めにくいという課題を解決することにつながる。この施設で検証されたドローン技術が広く活用され、人手不足をはじめとする社会課題の解決、イノベーションの創出につなげていけたら」と語った。

 リーシング状況については、すでに9割ほどが契約済み、残りの区画についても多数の引き合いを得ており、「ほぼ満床の状態」(同氏)だという。

5面がネットで覆われ飛行申請が不要な「ドローンネットフィールド」。ドローン操縦時以外はフットサルコートとして地域の人に利用してもらう
「ドローンラウンジ」。大型モニタ付きのミーティングスペースも併設しており、商談、セミナー、ネットワーキングイベント等に活用する計画

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物流施設

貨物の保管・仕分けなどのための施設。物流センター、倉庫などであるが、保管機能だけでなく流通加工の機能を備えたものもある。必要な設備は貨物の性質や施設の用途によってさまざまで、その立地は、輸送方法や用途に応じて選定される。倉庫事業者が施設を建設し、賃貸する方法で運営されている場合が多い

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