国土交通省は29日、「全国二地域居住等促進官民連携プラットフォーム(PF)」のキックオフイベントおよび記念シンポジウムを開催。全国の地方公共団体関係者や不動産業界、移住等支援機関など、約200人がオフラインで出席。オンラインでも約600人が視聴した。
同PFは、「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」の施行を11月1日に控え、地方公共団体を中心に構成していた「全国二地域居住等促進協議会」を、官民連携によって二地域居住を強力に推進するために改組したもの。民間団体も会員に加え、10月29日時点の会員数は906団体(官709団体、民197団体)。長野県・和歌山県田辺市・栃木県那須町・ANAホールディングス(株)・(一社)シェアリングエコノミー協会が共同代表を務め、運営事務局は栃木県那須町に置く。
主な活動内容は、二地域居住に関する(1)事例の共有と情報交換、(2)具体的な課題等に対する対応方策の協議・検討、(3)促進に向けたノウハウ等の周知・普及による機運醸成、(4)官民のマッチング促進や出会いの場の提供など。オンライン・オフラインの両面からイベント等を行なっていく。
同日行なわれたキックオフイベントの冒頭では、斉藤鉄夫国土交通大臣が挨拶。「わが国は少子高齢化など、地方の生活・なりわいに影響を与える多くの課題に直面している。二地域居住は地方創生に大きく寄与するものであり、石川県では地震や豪雨の被災地において二地域居住による復興が掲げられているなど期待は大きい。二地域居住のより一層の推進のためには、行政だけでなく民間の力が不可欠。官民が双方向で情報共有と連携・発信、新たなビジネスの創造などを行ない、国土交通省としても今後のPFの活動にできる限り支援していく」などと述べた。
共同代表のシェアエコ協代表理事の石山アンジュ氏は、「コロナ禍を経て、人々のライフスタイル・働き方が変わり、企業や地方のあり方が見直されてきた。二地域居住は都市と地方をつなぐ架け橋として、新しい豊かさをもたらすものと期待している。官民の力を生かすことができれば、二地域居住は加速度的に拡大するのでは」などと述べた。
キックオフイベントの後に開催された記念シンポジウムで挨拶した、同じく共同代表の栃木県那須町・平山幸宏町長は「テクノロジーの進展や生活志向の変化などにより地方回帰の動きが加速している。リモートワークやワーケーションの環境も整ってきており、二地域居住が一層活発化すれば、過疎や担い手不足といった地方の課題の解決につながっていくはず。PFを通じて各地の特徴や成功事例を共有していきたい」などと話した。
シンポジウムではこのほか、「WIRED」日本版編集長の松島倫明氏による基調講演や、国土交通省・観光庁・総務省・農林水産省による二地域居住等推進に関する施策の紹介、「仕事・はたらく」「住まい」「コミュニティ」といったテーマでの官民の取り組みに関するパネルトークが行なわれた。