(一社)不動産流通経営協会は29日、2024年度の「不動産流通業に関する消費者動向調査」結果を発表した。ファミリー層の住宅取得行動等を把握する目的で1991年から実施しており、今回で29回目。調査対象は、首都圏1都3県において2023年4月1日~24年3月31日に購入した住宅の引き渡しを受けた世帯。有効回答数は1,348件。
既存住宅購入者のうち「既存住宅のみ探した」「主に既存住宅を探した」の合計は45.4%(前年調査:50.0%)とやや減ったが、「新築・既存にはこだわらなかった」が50.3%(同:46.4%)の過半数に。
住宅購入資金の内訳は、「前住居の売却金」が新築購入者は平均3,683万8,000円(同:4,026万5,000円)、既存購入者は3,223万3,000円(同:2,830万円)と、既存住宅のみ上昇した。「親からの贈与」の利用率は新築が19.7%・既存が9.9%で、平均額は新築776万3,000円(同:915万8,000円)・既存752万9,000円(同:734万4,000円)となった。
自己所有していた住宅から現在の住宅に住み替えたのは470世帯(同:306世帯)。このうち、71%に当たる334世帯(同:211世帯)が従前の住宅を売却した。従前住宅の購入額と売却額の回答があった305世帯(同:206世帯)の売却差額をみると、マイナスの差額になっているのは32.8%(前回調査比4.6ポイント減)、プラスの差額が発生したのは59.7%(同2.4ポイント増)。1995年以降では、同年の86%に次ぐ高さ。住宅価格の高騰から、プラスの売却差額世帯は、緩やかに増え続けている。
平均売却差額はプラス426万3,000円(前回調査:プラス316万8,000円)と増加。売却した住宅の築年数別に平均売却差額を算出すると、築5年以内がプラス1,017万3,000円(同:プラス823万8,000円)、築5年超~10年以内がプラス1,431万9,000円(同:プラス590万円)、築10年超~15年以内がプラス706万1,000円(同:プラス727万1,000円)、築15年超~20年以内がプラス8446,000万円(同:プラス882万2,000円)、築20年超~25年以内がプラス90万9,000円(同:プラス596万8,000円)、築25年超がマイナス271万1,000円(同:マイナス438万9,000円)。築25年以内の各築年帯で売却益が出る一方、25年超では売却損が発生している世帯が過半となっている。また、売却差額発生世帯の平均売却損は1,164万3,000円(同:1,112万7,000円)とさらに拡大している。
また住宅ローン減税制度が「住宅購入に大きく影響した」とする回答は、新築で28.2%(同:29.3%)、既存住宅で16.4%(同:17.3%)とやや低下した。一方で、住宅ローン減税制度から受けた具体的影響については「住宅を購入することができた」41.7%(同:選択肢なし)、「住宅ローンの返済計画が立てやすくなった」31.1%(同:43.2%)、「住宅の購入時期を早めた」25.3%(同:34.2%)、「自己資金を少なくできた」16.7%(同:31.5%)。住宅ローン減税制度の廃止が議論されているが、これらの結果を踏まえ同協会では「住宅購入を支援する意味は大きい」としている。