シービーアールイー(株)(CBRE)は、2024年第3四半期の投資市場動向を発表した。
当期の国内事業用不動産の取引額(10億円以上が対象。土地取引・JREITのIPO時の取得物件は除外)は1兆2,070億円(前年同期比24%増)と、100億円以上の大型取引の件数は前年同期に比べて倍増した。ホテルの取引額が最も多く、3,350億円(同72%増)。ホテル取引の四半期実績が3,000億円を超えるのは08年第1四半期以来となった。オフィス取引額は3,040億円(同78%増)となり、当期までの累計額が約1兆2,000億円となるなど、23年の通年実績を上回っている。
JREIT投資額は3,946億円(同24%増)と、JREITによるホテル取得が引き続き活発だった。一方で売却額は1,362億円と、前年の2.2倍となった。特にオフィスセクターで築年数の経過や将来の修繕費負担増に伴う競争力・収益性の低下が懸念される物件を売却する動きがみられた。
また、同社が実施している投資家アンケートによると、当期の東京のプライムアセットの期待NOI利回りは、オフィス(大手町)で8期連続の横ばい。ホテル(主要5区)も前期からの変化はなかった。賃貸マンションはワンルームタイプ(主要5区)が2bps、ファミリータイプが3bps低下。商業施設(銀座中央通り)も5bps低下しており、いずれも過去最低値を更新した。一方、物流施設(首都圏沿岸部)の期待利回りは前期から6bps上昇し、1年前の水準に戻した。
さらに、当期の投資状況を占めるCBRE短観指数によると、オフィスの「投融資取組スタンス」がプラス7ppと反転し、大幅に改善。「NOI」もプラス12ppの改善となり、オフィスに対する見方が全体として改善していることが分かった。一方、物流施設についてはほぼすべての項目が悪化し、「不動産取引量」がマイナス7pp、「賃料」がマイナス12ppだった。