不動産情報サービスのアットホーム(株)グループでデータ解析事業を手掛けるアットホームラボ(株)は5日、2024年度人工知能学会全国大会において、「Stable Diffusionによる部屋間取りを保持したホームステージング画像生成」についての研究発表が優秀賞を受賞したと発表した。
同大会は、人工知能に関する研究の進展と知識の普及を図り、学術・技術ならびに産業・社会の発展に寄与することを目的として設立された(一社)人工知能学会主催の学会で、5月28~31日に浜松市で開催された。特に優秀な研究を発表した者に優秀賞が授与される。11月1日に受賞者が発表された。
従来の画像生成AIで生成した場合、建物の梁や設備などが保持されず、部屋の構造や間取りを無視した家具配置になってしまうという課題に対し、それらを解決するため、画像生成AI「Stable Diffusion」をベースに、家具の配置をしやすくするファインチューニングモデル(家具配置LoCon)と、部屋の間取り構造を維持しやすくするネットワーク(間取り保持ControlNet)の技術を組み合わせた。
これにより部屋の構造を忠実に保持した状態で、違和感のない家具配置を自動生成することが可能に。また、「家具配置LoCon」は、さまざまなホームステージング画像を学習しており、これにより正確でバランスの取れた家具配置も可能となる。一方、「間取り保持ControlNet」は、部屋の構造を保つために、梁や窓、ドアといった直線的な要素を画像から抽出し、それを基に部屋の間取りを保ちながら画像を生成することができる。
これらの技術は時に相反する性質を持つこともあるため、プロンプトやパラメータを調整することで、この相反する要求をバランスよく制御し、より自然なホームステージング画像を生成できるようにした。さらに「家具配置LoCon」は、特定の部屋スタイルに合わせてモデル自体をカスタマイズすることも可能としている。
同社は、同技術を応用したさまざまなAIモデルを検討しており、消費者の快適な住まい探し環境の提供および不動産会社の業務効率化など、さまざまなシーンで役立つ研究を進めていくとしている。