国土交通省は7日、「社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会」(委員長:齊藤広子横浜市立大学国際教養学部教授)の初会合を開催した。
建物と居住者の「2つの老い」が進行するマンションにおいて、建物・設備の老朽化、管理組合の担い手不足、建て替え等の合意形成の困難さ等の課題が顕著になっていることから、ストック時代における新たなマンション政策のあり方を検討していく。
冒頭、国土交通省住宅局長の楠田幹人氏が挨拶。「前回の小委員会のとりまとめから4年半が経過した。その間、“2つの老い”はますます進行し、総会運営の困難、役員の担い手不足、修繕積立金の不足など、さまざまな課題が深刻化している。このような状況を踏まえ、マンション維持管理の適正化や再生の円滑化に向けた取り組みの検討を幅広く進めていく必要がある。議論すべきテーマや課題や山積しているが、地方公共団体の関与の強化も含め、委員の先生方にはさまざまな視点からご意見をいただきたい」と話した。
今後の検討の方向性・論点について事務局が説明。(1)マンション管理適正化を促す仕組みの充実、(2)多様なマンション再生のニーズに対応した事業手法の充実、(3)地方公共団体によるマンション管理適正化・再生円滑化への関与の強化・充実、の3つを検討事項に挙げた。
(1)では、「管理計画認定制度のさらなる普及」「管理組合役員の担い手不足への対応」を論点として提示。(2)については、「区分所有法の見直しへの対応」「多様な建て替えニーズへの対応」を、(3)では「地方公共団体の権限強化・体制強化の必要性」を挙げた。
引き続き、東京都、横浜市、京都市が、マンション管理適正化・再生促進のための取り組みを発表。東京都は、「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」について説明。都、管理組合、事業者等の責務・役割を明確化するとともに、管理状況に応じた助言・支援等を実施することにより、良質なマンションストックの形成等を図っていくとした。横浜市は、マンション管理適正化には「着実に実態把握が行なえるシステムの構築」「住民がマンション管理運営に係る仕組みの構築」等が必要とし、再生促進のためには「管理不全未然防止に向けた積極的誘導策」「総合支援が行なえる専門家の育成」等が課題であると言及。京都市は、支援にあたっての課題として「マンション管理情報公開のルール化」「区分所有関係解消に向けた財政支援」「マンション除却の備えのルール化」等を挙げた。
今後の議論の方向性について、委員からは「解体・除却費用が敷地売却費用を上回るケースに対する支援策の検討が必要」「各マンションの状況を的確に把握するため、管理計画認定の届け出を義務化してはどうか」「都心と地方都市とではマンションが抱える問題は異なり、行政の役割も変わってくる。その点に関する議論を行なっていくべきでは」「行政の支援にも限界がある。マンション間で情報交換するなど連携を図り、横のつながりを構築していくのはどうか」といった意見が寄せられた。
今回を含め4回の会合を開き、マンション政策のあり方についてとりまとめを行なう。とりまとめは、2025年1月下旬~2月上旬の予定。