政府は4日、区分所有法やマンション建替え円滑化法、マンション管理適正化法といったマンション関連法の改正を盛り込んだ「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。
総数が700万戸を超えたマンションについて、重要な居住形態となった一方で、建物と区分所有者のいわゆる「二つの老い」の進行により、例えば外壁の剥落等による危険や、集会決議の困難化などが指摘されている。今回の法律案は、それらの改善を図るため、マンションの新築から再生までのライフサイクル全体で管理・再生の円滑化を図っていくための制度整備を目的とする。
法律案は、主に(1)マンション管理の円滑化等、(2)マンションの再生の円滑化等、(3)地方公共団体の取り組みの充実、の3点について規定。(1)では、分譲事業者による管理計画の作成・管理組合に引き継ぐ仕組みの導入や、マンション管理業者が管理組合の管理者と工事の受発注者を兼ねる場合は、自己取引等についての区分所有者への事前説明を義務化するなどといった規定を盛り込んだ。また、修繕等の決議については、これまでの全区分所有者の多数決から集会出席者の多数決によることを可能とした。
(2)では、「建物・敷地の一括売却」「一棟リノベーション」「建物の取り壊し」等については、建て替えと同様に多数決(4/5)決議を可能とするほか、隣接地や底地の所有権等を建て替え後のマンションの区分所有権に変換することができるようになる。
(3)については、外壁剥落等の危険があるマンションに対する報告や助言指導・勧告、あっせん等を措置したのに加え、区分所有者の意向把握や合意形成の支援等の取り組みを行なう民間団体登録制度を創設することが盛り込まれた。