不動産ニュース / 開発・分譲

2025/5/21

東建、日本橋にデジタル金融施設を開所

「FIAN」エントランスロビー。かつて茶人のイノベーションの場だった茶室をイメージしたアート(垂直茶室)。奥は会員の交流の場となるラウンジ
会員が自由に利用できるシェアオフィスを設置。会員企業が個別契約する個室も4室設けた
 

 東京建物(株)は21日、同社の企画運営で26日に開所するデジタル金融施設「FIAN(東京フィナンシャル庵:フィアン)」(東京都中央区)を報道陣に公開した。金融業界の次世代リーダー候補者にAI活用を中心としたデジタル金融の最先端プログラムを提供する。同社が参加組合員として開発中の大規模再開発「呉服橋プロジェクト」(同、2029年度竣工予定)に開設する「高度金融人材サポート施設」の先行施設と位置付ける。

 同施設は、大手金融機関や証券会社が集積する永代通りに面した「東京建物日本橋ビル」11階に開設したもの。AI分野における技術革新、規制緩和、エコシステムの拡張など金融市場を取り巻く環境が変化する中、デジタル分野に精通した高度金融人材の需要が増大。その教育・リスキリングの重要性も高まっている。そこで同施設は、国内金融機関の次世代リーダー向けに、非学位型実践的教育プログラム「エグゼクティブ・プログラム」を提供。金融業界のDXやAIX(AI技術を活用して、ビジネスプロセスや製品サービス等を根本的に変える取り組み)を促進する。

 フロア面積は443平方メートル。各種セミナーやイベントを行なうスペースと、金融機関や会員を入居対象とした個室4室・コワーキングスペース・会議室のあるシェアオフィス、会員の交流を促すラウンジで構成する。

 事前に金融機関各社へヒアリングを行ない業界ニーズを取り込みつつ、オックスフォード大学や東京大学の教授陣、シンガポール国立大学等とも提携して、最先端の理論知見と実践力を体系的に習得できる教育プログラムを提供。第1期(2025年度)は、東京大学大学院経済学研究科教授・柳川範之氏を座長とする「AIと金融の未来研究会」を設置。同プログラムの開催に加え、各種分科会の開催、プログラムに参加する会員間の交流促進活動などを展開していく。

 第1期は、大手金融機関など8社がプラチナ会員として参加。それら含め10社25名が入会済み。3年で20社まで会員を増やし、今後はエグゼクティブ・プログラム以外の賛助会員も含め300社まで会員を増やす。

 同日会見した同社代表取締役副社長執行役員の和泉 晃氏は「金融機関とグローバルなエコシステムの最前線プレーヤーとの実践的な交流促進を通じて、デジタル金融分野におけるイノベーション創出を支援していく。ここでの取り組みを“高度金融人材サポート施設”として呉服橋プロジェクトに機能移転する。当社がYNKエリアで手掛ける各種イノベーション施設とも連携し、新たなイノベーションを生み出しエリアを活性化していきたい」と抱負を語った。
 また、AIと金融の未来研究会座長となる柳川氏は「AIの研究ならネットでできるじゃないかという声もあるかもしれないが、金融機関が集積するこの立地で直接会って交流してこそ、新たなビジネスやイノベーションが生み出せる。最先端の知見を活用した学びを提供し、高度金融人材を育てていく。金融機関や金融庁、日銀、国土交通省などの縦割り構造も打破し、幅広い交流を促したい」と語った。

「呉服橋プロジェクト」建設地。金融機関の集積地「永代通り(金融軸)」に面することから、低層部に「高度金融人材サポート施設」を設ける。「FIAN」はその先行施設としてノウハウを積み上げ、最終的に同施設に機能を移す

この記事の用語

市街地再開発事業

都市計画で定められた市街地開発事業の一つで、市街地の合理的で高度な利用と都市機能の更新を目的として実施される事業をいう。既成市街地において、細分化されていた敷地の統合・共同化、共同建築物の建設、公共施設の整備などを行なうことにより、都市空間の高度な利用を実現する役割を担う。

続きはR.E.wordsへ

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2025/5/12

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