不動産情報サービスのアットホーム(株)は29日、45回目となる「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2025年1~3月期)の結果を発表した。
同社加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち、5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層を対象に、居住用不動産流通市場の景気動向をアンケート。北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京都は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアで前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出した(DI=50が前年並み)。調査期間は25年3月13~25日。有効回答数は1,905店。分析はアットホームラボ(株)。
当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏が54.0(前期比4.7ポイント上昇)、近畿圏が47.8(同3.1ポイント上昇)といずれも2期連続で上昇した。首都圏がDI=50を上回ったのは3期ぶり。前年同期との比較では、首都圏は1.0ポイントマイナス、近畿圏は1.1ポイントプラス。
エリア別では、14エリア中10エリアで前期比上昇となった。首都圏では埼玉県を除く4エリアでDI=50を超えた。また、都下は54.0と、本調査を開始した2014年I期以来の最高値となった。不動産店からは、単身者の問い合わせ・契約の増加や外国人需要の継続をうかがわせるコメントのほか、「退去者が少なく、新たに紹介できる物件が少ない」(東京都世田谷区)など物件の供給不足を指摘する声も見られた。
売買仲介の業況DIは、首都圏が44.9(同0.5ポイント上昇)、近畿圏が42.1(同1.6ポイント下落)。前年同期と比較すると、首都圏は0.7ポイントマイナス、近畿圏は3.2ポイントマイナスと共に下落した。エリア別では14エリア中9エリアで前期比下落となったが、都下は3期連続で上昇し、14エリアで唯一DI=50を超えた。
25年4~6月期の見通しDIは、賃貸仲介が首都圏46.9(今期比7.1ポイント下落)、近畿圏43.6(同4.2ポイント下落)。売買仲介では、広島県以外の13エリアで下落を見込む。
今回の調査結果について、アットホームラボ(株)執行役員データマーケティング部部長の磐前淳子氏は、「賃貸では学生をはじめとする単身者の需要が旺盛で、予算を上回る家賃での成約も多く見られるなど、業況は全般的に好調」と分析している。