不動産ニュース / 開発・分譲

2025/5/30

野村不、物流事業を拡大。3年間で3,400億円投資

 野村不動産(株)は、「Landport」のブランド名で展開している高機能型物流施設の開発・運営事業の拡大を図る。2026年3月期~28年3月期の3年間で、約3,400億円を投資して15棟を開発。施設の大型化、好立地化に加え、関西圏や中部圏、九州圏など地方でも展開する。

 同社は、06年から物流事業に参入。施設開発後は系列のREITに売却、運営収益を得ながら新たな施設を開発していく資産回転型の事業手法で、25年3月末までに首都圏を中心に45施設・約70万坪の物流施設を開発、70社超のテナント企業に賃貸してきた。累計投資額は約4,600億円。

 ここ数年は、競合を含めた施設の大量供給で空室が増えてはいるものの、年間50万坪の需要は継続すると予想。消費地近郊や関西エリア・九州エリアは需要が堅調であることから、消費地近接・幹線道路の結節点など「プライムエリア」に、フロア別で仕様を変えることにより多様な使途に対応する「カテゴリーマルチ型」の物流施設を展開。延床面積も、これまでの平均1万5,000坪を3万坪以上に拡大。テナント企業の事業拡大や季節波動に対応する幅広い賃貸借区画も提供していく。

 事業エリアも全国に拡大する。向こう3年間で関西圏で2棟(約7万5,000坪)、中部圏2棟(約10万6,000坪)、九州圏5棟(約8万3,000坪)、東北圏2棟(約1万8,000坪)を開発する。今後も、年間1,000億円ペースで事業量を確保し、28年3月期までに約8,000億円、31年3月期までに1兆3,000億円を投じ、持続的な成長を図る。

 荷主・物流企業のDX化支援や地域連携など、ソフト面の取り組みも強化する。21年4月から取り組んできた物流現場の課題解決に向けた共創型プログラム「テクラム」は、物流機器メーカーなど116社が参画。自動化・省人化による課題解決への提案件数は153件と実績を積み上げてきた。24年10月には「Landport 習志野」に設けた実証実験拠点兼ショールームを刷新。より物流工程や特性を踏まえたプレゼンテーションを行なうことで、さらなる提案数の積み上げを図る。

 開発地周辺でのエリアマネジメントの取り組みにも注力。既存の施設で行なってきた「広場の開放」「イベントの開催」「自治体との防災協定」「屋上菜園の運営(地域への開放)」などを、開発中の施設へ横展開。地域コミュニティ活動の促進による雇用創出や物流施設の魅力向上を図る。

 30日に会見した同社常務執行役員都市開発第二事業本部長の井戸規昭氏は、「06年の事業開始以来、トップグループの一角を占めることができている。オフィス事業、住宅事業に続く新たな成長事業と位置付け、今後も重点的に投資していく。物流施設は、われわれの生活になくてはならない重要な社会インフラとなった。テナント企業の課題解決に応え、地域に受け入れてもらえるような施設を増やしていく。同業他社や業界団体とも連携して、物流施設業界を盛り上げていきたい」と抱負を語った。

「物流施設は重要な社会インフラ。地域に受け入れられる施設を増やしていく」と抱負を語る、常務執行役員都市開発第二事業本部長の井戸規昭氏

記事のキーワード 一覧

動画でチラ見!

座談会「事故物件に立ち向かう」

掲載誌はこちら

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2025年6月号
本業に意外な効果!?不動産事業者のサイドビジネス
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2025/5/12

記者の目を公開しました

「シロアリ被害、発見できるのは今!」を更新しました。
知らずに進行するシロアリ被害…放置すると建物強度が低下。また、気が付かずに売却をしてしまえば契約不適合責任に当たることも…!? 早期発見が望まれますが、普段は床下でうごめいていて自分で見つけるのは難しいものです。しかし春から夏はシロアリが発見しやすくなるチャンスタイムだとか…?専門事業者を取材しました。