国土交通省は13日、国土審議会推進部会(部会長:増田寛也日本郵政(株)取締役兼代表執行役社長)の4回目の会合を開いた。今回は、かねてより検討を進めてきた「地域生活圏専門委員会」のとりまとめ報告書等について報告、意見交換を行なった。
同専門委員会は2024年9月の同部会において設置が決定。同年10月に初回の会合を開いて以降、ワーキングや5回の会合を経て25年5月28日にとりまとめ案が提示されていた。今回、とりまとめ報告書「地域生活圏~人口減少社会の処方箋―『人との国土のリデザイン』~」として、同部会において公表された。
とりまとめ報告書では、少子高齢化・人口減少の中において、これまでと同様の地方公共団体による公共性の高い生活サービスの提供は、「行政主導のみでは限界」と指摘。可能な限り民間主体に活動・サービスを委ねていく「民主導の官民連携」による地域経営の発想の転換が必要だとした。
そこで、生活に身近なコミュニティを基礎的な単位としつつ、市町村界にとらわれない官民パートナーシップによって暮らし必要なサービスが提供される「地域生活圏」を形成することが大切だとしている。そのためには、地域の資源を最大限活用して地域経済の循環を構築する担い手として、地域課題解決と事業経営を両立しつつ日常生活サービスの提供を長期的に担う民間の事業主体「ローカルマネジメント法人」を創出することが重要であるとした。
ローカルマネジメント法人の先行事例についても報告書で紹介しており、その事例を事業スタイル別に(1)共同体(コモンズ)形成型、(2)地場企業牽引型、(3)産業イノベーション創出型に分類。そうした事例の共通項を抽出し、地域課題の解決・地域生活圏の形成には「共助・共創文化の創出」「外部資源(人材、資金、ノウハウ等)の戦略的活用」「デジタル技術の戦略的活用とデータ連携」などの要素が必要だとした。地域課題に対して単に行政サービスを補完するだけではなく、住民や企業等が主体となって多様な主体と連携することがポイントになるとしている。
とりまとめの最後には、「地域生活圏形成に必要な要件」として、民間事業者による地域課題解決の評価や、人材(担い手の育成・確保)、国等の支援などが求められるとした。
これに対して委員からは、「社会性と経済性の両立についての評価軸をつくっていく必要がありそうだ」「担い手確保が今後より難しくなってくる。民間企業による普段の業務と地域貢献を関連付けた展開も求めたい」などといったコメントが挙がった。
国土交通省では、今回のとりまとめをベースに関係省庁と連携しながら政策立案に役立てていくとした。
また今回の会合では、広域地方計画の策定や地域居住の促進、国土の管理構想の取り組み状況といった課題に対する政策進捗状況等も報告された。