国土交通省は16日、住宅税制のEBPMに関する有識者会議(座長:清水千弘・一橋大学ソーシャルデータ・サイエンス学部教授)の4回目の会合を開き、中間とりまとめ案について議論した。EBPMとは、明確なエビデンスに基づいた政策立案のことを意味する。
中間とりまとめ案では、(1)住宅ローン減税、(2)新築住宅に係る固定資産税の減額措置、(3)リフォーム促進税制、(4)空き家の譲渡所得3,000万円特別控除について、概要やこれまでの改正経緯、措置の目的、国・地方の減収額に対する効果などについて各種調査結果などを通じて効果検証を実施。それぞれについて考察を付与している。
住宅ローン減税に関しては、一定の負担軽減効果や住宅購入等への影響が見られ、税収減と同等以上の住宅投資額の押し上げ効果が認められたことが示唆された。また、省エネ性能の高い住宅や子育て世帯等の借入限度額上乗せ措置に関しても、政策目的にかなう一定の効果が発現していると結論付けた。また、空き家の譲渡所得3,000万円控除については、空き家やその敷地の売り出し促進効果や、それによる空き家の減少・増加の抑制といった効果が発現しているとされた。
各税制措置、いずれも一定の効果は見られたという。検証の結果について同省では、「データの制約等から、補助制度等のほかの支援措置による影響を排除した効果の検証は困難だった。今後は住生活基本計画(全国計画)の見直しにおける議論と整合した税制の在り方を検討していく」などとした。
この議論については継続的に行なっていく方針で、出席した委員からは今後の方向性として「『制度の存在による行動変容』を調査するには、今後、制度の認知を問うことが重要になるのではないだろうか」「分析手法は日進月歩で続いている。外部のデータ分析の専門家との連携も必要になるのでは」などといった声が聞かれた。
国交省では、今回の会合で得た意見を反映した中間とりまとめを6月中に発表する見通しで、8月ごろには令和8年度の税制改正要望に反映する計画。2026年1月以降、5回目の有識者会議を実施する予定。