
国土交通省および業界6団体は、「宅地建物取引業リスキリング協議会」を創設。17日、初会合が開かれた。
同協議会は、不動産業界におけるリスキリングの推進による不動産業従事者全体の資質の向上と業務の適正な運営を通じ、安全・安心な不動産流通を実現することを目的に設立したもの。(公財)不動産流通推進センターが事務局を務め、国土交通省、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会、(公社)全日本不動産協会、(一社)不動産協会、(一社)不動産流通経営協会、(一社)全国住宅産業協会で構成される。
冒頭挨拶した国土交通省不動産・建設経済局不動産業課長の倉石誠司氏は「不動産業界を盛り上げるためにも、リスキリングによりその担い手がキャリアアップ・スキルアップを図っていくことは大切だ。当省としても議論を後押ししていきたい」と話した。同センター副理事長の田尻直人氏は「当協議会で、各団体が研修事業などで蓄えてきた知見を“見える化”し、業界におけるリスキリングのスタンダードを作っていければ」と抱負を述べた。
会合では、同センターが不動産業界におけるリスキリングの必要性について説明。人口減少や少子高齢化、働き方改革などの社会環境の変化に加え、不動産取引に関わる重要法令の改正が近年相次いでいること、リスキリングにより個々の企業の信頼性を高めることが不動産業界全体の地位向上および人材確保につながると指摘。説明に当たった同センター総括参事の富永 剛氏は「これらの課題に対応するため、各業界団体が連携をし、業界全体でリスキリングを体系的に推進していくことが不可欠であるという認識だ」などと述べた。
その後、各団体が取り組んでいる教育メニューやその実施状況を紹介。質疑応答・意見交換では「中小・零細企業がリスキリングに取り組む際のガイドのようなものが作れると良いのではないか」「企業が補助金を受けやすい仕組みづくりが必要なのでは」「AIの進化を踏まえ、先を見据えたメニューの整備も求められる」などといった意見が挙がった。
今後は、同センターが、リスキリングの現状把握のための各事業者へのアンケート調査、業界全体のリスキリングプログラムを体系化した「リスキリングマップ」を作成する。半年後には成果を同協議会と共有し、それを踏まえさらに議論を深めていくとした。