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(一社)日本女性ビジネスネットワーク協会(WBN)は21日、「東南アジア、米国の不動産市況と女性活躍」をテーマに、すまい・るホール(東京都文京区)でシンポジウムを開催。約120名が参加した。
同協会は、女性がより快適に仕事に従事し、活躍できる環境を考えることで、ビジネスの場や社会全体の在り方を根本から改善していくことを目的に、2016年1月に設立されたもの。
冒頭、同協会理事長の三橋博巳氏が「当協会は設立から来年で10周年を迎える。この間の女性活躍は目覚ましいが、諸外国に比べるとまだまだ促進の余地はある。今後10年、20年と女性活躍の推進に取り組んでいく」と挨拶。
来賓を代表し、国土交通省不動産・建設経済局不動産業課長の倉石誠司氏は、「日本の不動産市況は、人口減少の進展、働き方・暮らし方の価値観の変化などにより、大きな転換期を迎えている。そうした中、女性の活躍をますます推進していかなくてはならない。貴協会の取り組みで、女性活躍の機運を高めていただけることをうれしく思う」と話した。
Keller Williams Tokyo 不動産エージェントの森田 まゆみ氏は、「海外富裕層による日本の不動産への需要」をテーマに講演。海外富裕層が日本の不動産を選ぶ理由について、「英語圏の富裕層の間では、政治・経済・通貨リスクを“分散”する動きが強まっている。その中で日本は、政治的安定性や法制度の透明性、生活の安心感に加え、『穏やかでストレスの少ない社会』という独自の価値によって資産を守る国、として選ばれている」と説明。「われわれ不動産エージェントは、日本の魅力ある不動産を提供する“アンバサダー”であるべき。誠実な対応で、海外富裕層の方々に安心・信頼される取引を行なっていく」と締め括った。
Property Access(株)代表取締役CEOの風戸裕樹氏は、東南アジアの不動産市場について解説。「現在6億6,000万人の東南アジアの人口は今後も増え続け、60年には8億400万人に達すると予測される。成長戦略として東南アジアを開発・投資の“主戦場”とする日系大手ディベロッパーも少なくない」と述べた。そのほか、東南アジア不動産法制度や新築コンドミニアムの平均単価、不動産取引の概略について説明した。
同協会専務理事の三澤剛史は、「トランプ政権と米国不動産+女性活躍」をテーマに講演。住宅市場の成長を拒む要因について、「高金利・モーゲージ金利の上昇により取引量が減少し、市場の流動性が低下している。また、住宅価格の伸びが所得の伸びを大幅に上回り、アフォーダビリティは過去最低の水準。レンタル市場でも家賃上昇が続き、貯蓄が困難となって住宅購入がさらに遠のくという状況に。住宅需要の基盤そのものが弱体化している」と説明した。
全米リアルター協会(NAR)における女性活躍についても言及。女性会員が全体の約3分の2を締め、女性リアルターは住宅不動産分野で圧倒的多数を占め高い業績を上げていることを伝えた。「性別による報酬や機会の差は小さく、むしろ女性の方が顧客対応力・信頼構築力で優位にあるケースも多い」とした。
