不動産ニュース / 調査・統計データ

2025/12/4

23区のシングル向きマンション、平均家賃が10万円超

 不動産情報サービスのアットホーム(株)は4日、プレスセミナーを開催。「2025年の賃貸市場における4大ニュース」を発表した。

 不動産情報サイト アットホームで登録・公開された居住用賃貸マンション・アパートのデータを基に、アットホームラボ(株)が調査・分析した。入居者が1ヵ月に支払う「賃料+管理費・共益費等」を「家賃」と定義。30平方メートル以下を「シングル向き」、30~50平方メートルを「カップル向き」、50~70平方メートルを「ファミリー向き」としている。

 同社が選んだ4大ニュースは、(1)東京23区のシングル向きマンション、平均家賃が10万円超に、(2)「築古」「アパート」など低家賃物件に注目が集まる、(3)福岡市が躍進。家賃上昇率トップ3の常連に、(4)賃貸市場で外国人の存在感が高まる。

 (1)の東京23区におけるシングル向きマンションの平均家賃は、25年5月に初めて10万円を超え、25年9月まで16ヵ月連続で15年1月以降最高値を更新している。25年9月時点で平均家賃が10万円を上回ったのは、23区中13区と過半数に達した。家賃が上昇している理由は、建物の建築や維持管理に掛かる費用の高騰、賃貸需要に対する供給不足など。

 (2)では、家賃高騰に伴い「築30年超」の築古物件に注目が集まり、直近では家賃の上昇幅が大きくなっている。アパートの家賃がマンションより2~4割程度安いため、5年以内の築浅でも7万円台で借りることが可能。1物件当たりの反響率指数も、24年時点ではマンションの反響が高かったが、25年はアパートが逆転した。

 (3)は、平均家賃の前年同月上昇率トップ3にランクインしたエリアの中でも、福岡市はシングル・カップル・ファミリー向きの3タイプすべてで毎月トップ3にランクインしており、家賃上昇が顕著。2000年以降は人口の転入超過が進んでおり、地域の成長力が住宅需要を喚起し家賃上昇につながっている。

 (4)については、人手不足や企業の積極的な採用を背景に在留外国人が増加しており、不動産会社の業況にも好影響を与えている。外国人との取引方針について、不動産会社からは「日本語が話せれば問題ない」「多様なお客さまに対応したい」といった前向きな声も。契約時の丁寧な説明や入居後のフォロー、受入体制の工夫によって、よりスムーズな対応が広がる可能性がある分析した。

 26年の家賃動向について、アットホームラボ執行役員データマーケティング部部長の磐前淳子氏は、「物価やマンション売買価格が上昇する限り、家賃の上昇は26年も続く」と予想。「ただし、家賃は投資ではなく実需であるため、賃上げを含む所得の推移がどうなるかも今後の重要な注目点」と話している。

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