森ビル(株)は11日、「2025年 東京23区オフィスニーズに関する調査」結果を公表した。同日、虎ノ門ヒルズステーションタワー(東京都港区)で記者説明会を開催。同社オフィス事業部営業推進部部長の平野文尉氏が、その内容について説明した。
同調査は、オフィスマーケットの需要動向を把握することを目的に2003年より実施。主に東京23区に本社が立地する企業で、資本金上位1万253社(同社テナント除く)を対象に、25年9月にアンケート調査を行なった。有効回答数は1,749社(回収率17.1%)。
新規賃借予定のある企業の割合は27%(前年調査比2ポイント上昇)。うち、面積について「拡大予定」が60%(同2ポイント上昇)と、5年連続で増加した。「変更なし」は22%(同2ポイント低下)、「縮小予定」18%(同横ばい)。新規賃借の予定時期は、2年以内が45%を占めた。
新規賃借する理由について、直近3年間(23~25年調査)の回答割合の平均値を見ると、1位「立地の良いビルに移りたい」(33%)、2位「新部署設置、業容・人員拡大」(26%)、3位「設備グレードの高いビルに移りたい」(25%)に。コロナ禍の3年間と比較すると、「賃料や価格の安いビルに移りたい」が25%(20~22年調査比7ポイント低下)、「働き方の変化に応じたワークプレイスの変更」は21%(同7ポイント低下)となり、「コロナ禍で見られた、景況悪化や、リモートワークへの対応等を背景としたオフィス移転の動きは収束に向かっている。近年は、企業成長を見据えた立地・ビルグレードの改善が主な理由に挙げられている」(平野氏)。
過去1年間の賃料改定の有無について聞くと、20%が「賃料改定はあった」、7%が「現在交渉中」と回答。うち、「賃料増額」は89%(前年調査比16ポイント上昇)で、過去3番目の高さに。許容できる値上げの範囲は「5~9%」が38%、「10%以上」28%。同氏は「物価の上昇、そして例年に比べオフィスの供給が低位で推移していることが、値上げの許容につながっていると見ている」と話した。
本社オフィスの存在意義や求められる機能・役割については、「社内コミュニケーション・コラボレーションの強化」が74%(同3ポイント上昇)で1位に。2位が「従業員のエンゲージメント向上」で52%(同3ポイント上昇)。従業員が300人以上の企業では、前者が90%、後者が75%にまで比率が上がり、企業規模が大きくなるにつれ、オフィスが従業員に与える影響を重視する姿勢が顕著となった。
