記者の目 / 開発・分譲

2008/4/4

戸建てでもなくマンションでもない、新しい集合住宅

全戸メゾネットの大京「LAYERS HOUSE杉並 善福寺川公園」

 「メゾネット」――ご存じのとおり、複層構造の集合住宅を意味する。その最大の特長は、集合住宅であるのに、立体的で開放感溢れる住まい方ができることだろう。  (株)大京と(株)関電工は、「LAYERS HOUSE杉並 善福寺川公園」(東京都杉並区、総戸数:14戸)を、3月27日に竣工した。「一戸建てでもなく、従来のマンションでもない、“新発想”の集合邸宅」をコンセプトに、全戸をメゾネット型の住戸としたのが特徴だ。内覧会が開催されたので、その様子をレポートしたい。

「LAYERS HOUSE杉並 善福寺川公園」外観。周辺のまち並みとの調和を図り、白で統一した外観デザイン
「LAYERS HOUSE杉並 善福寺川公園」外観。周辺のまち並みとの調和を図り、白で統一した外観デザイン
中庭にはさまざまな木々が植栽されている
中庭にはさまざまな木々が植栽されている
リビングの中央にある螺旋階段。スペースの有効活用とともにデザイン性を高めた
リビングの中央にある螺旋階段。スペースの有効活用とともにデザイン性を高めた
玄関先に土間を設けた住戸。白を基調としたシンプルなデザイン
玄関先に土間を設けた住戸。白を基調としたシンプルなデザイン
吹き抜けに設けられた螺旋階段はルーフバルコニーにつながっている
吹き抜けに設けられた螺旋階段はルーフバルコニーにつながっている
厚肉床壁工法を採用したことで、サッシを天井いっぱいまで設けることに成功
厚肉床壁工法を採用したことで、サッシを天井いっぱいまで設けることに成功
緑溢れる周辺環境
緑溢れる周辺環境

周辺環境との調和を図る

 同物件は、京王井の頭線「西永福」駅から徒歩16分の、第一種低層住居専用地域の高台に位置。同物件が建つ以前は、関電工の社員寮であった。当初は「ミニ戸建て」を建築するという案もあったそうだが、この土地の規模を生かせるのはメゾネット型の集合住宅であると判断し、計画に至ったのだという。
 最寄り駅から徒歩16分では「交通が至便」とは言い難い。しかし、和田堀公園や善福寺川緑地が近いため、周辺環境の緑の豊かさがそのマイナス要因をカバーしている。記者が内覧会に行った日は、善福寺川沿いの桜が満開。近隣の住宅も植物の手入れがいき届いており、モクレンやマーガレットなどが見事に咲いていた。16分という道のりを感じさせない、魅力溢れたまちであるといえる。

 さて、肝心の物件は、鉄筋コンクリート造地上3階地下1階建ての、全戸が2層ないしは3層の複層構造のメゾネット型住戸。周辺のまち並みとの調和を考慮し、外観のデザインは白で統一した。さらに、光の当たる箇所には陰影がつくよう設計し、デザインに表情をもたせた。共用部分である中庭には、ソメイヨシノやケヤキといった四季を味わえる植栽を施すなど、まちの緑と連動した植栽計画がなされている。

“光”と“風”の通り道を重視

 住戸の専有面積は70~120平方メートル台で、平均94平方メートルを確保。同物件はあくまで「ハコ」を提供するという考えで設計されているため、つくりはいたってシンプル。内装も、外観と同じく“白”を基調としており、入居者の好みのライフスタイルを実現できる、柔軟性の高い住戸なのだ。
 また、同物件の設計に当たって重視したのは、「光と風の通り道」だという。そのコンセプトを実現させるため、室内に柱や梁が出ない厚肉床壁工法を採用。サッシを天井の高さいっぱいまで設置できるため、上からの日差しを採り入れられる、広々とした明るい空間構成を可能とした。
 さらに、同物件は吹き抜けや小窓など、至る所に開口部を設置し、風の通り道を確保。車の通りが少ない環境であるため、窓から流れてくる心地よい風が味わえるつくりとなっている。

 今回公開された1つ目の住戸は、ルーフガーデンや吹き抜けを設置した2層メゾネット。間取りは2LDKで、専有面積は93平方メートル。360度の眺望が得られるルーフガーデンは、2人ほどがくつろげるスペースを用意した。各階に設けられた吹き抜けからは、彩光も得られるため、白を基調とした住戸に反射して、住戸内を明るくさせることに成功。また、有効面積が減少するなど、メゾネットでネックになる「階段」は螺旋階段としたことで、スペースの有効活用とともにデザイン性も高めた。
 2つ目の住戸は、玄関先の土間とルーフガーデンがある3層メゾネット。接面道路から直接出入りできる土間は、約10畳もの広さがあるため、オートバイ置場や趣味の空間など、さまざまな用途に使用できる。そのほか、光の透過性を意識し、半透明の間仕切りを階段部分に採用。上の階の光が下の階に落ちるつくりとなっているため、節電効果も期待できる。

 また、セコムと連携した防犯システムや24時間監視対応型の防犯カメラなど、セキュリティも万全。マンション並みのセキュリティで戸建感覚が味わえるのも、メゾネットの魅力の一つだ。さらに、住戸へのアプローチを1~2戸で専有できる設計のため、独立性にも優れている。

多様なライフスタイルに対応できる住まい

 販売価格は5,980万円~1億300万円で、すでに6戸が成約済み。現在、問い合わせは630件ほどきており、年齢層は40代が主だという。しかし、最近は徐々に年齢層が下がりつつあるとのこと。若い世代の多様なライフスタイルに応えられる住環境が、この物件にはあるということだろう。
 残念な点を挙げるとすれば、エントランスにスロープが設置されていない、螺旋階段の採用など、バリアフリー仕様ではないことだ。しかし、同物件のデザイン性の高さ、柔軟性の高さ、また周辺環境の豊かさに着目するのであれば、そうしたマイナス要因をカバーできるだろう。
 「図面を見ただけでは、この物件の魅力は伝わりません。この立体感のある住まいを、ぜひ体感してほしい」と語る、大京東京支店 営業部 担当課長の小町 誠氏。立体感のある設計は、ゆとりを生む。そのゆとりをどう活用していくか、これから自分がこの物件をどのように味付けしていくか、想像の膨らむ住戸といえる。住まいにも差別化を図りたい個性派にはぴったりの住宅ではないだろうか。(May)

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