記者の目 / 開発・分譲

2008/5/12

ロハスな暮らしを実現する賃貸住宅

都市デザインシステム企画、「月光町アパートメント」が完成

 東京都目黒区に、ロハスな暮らしを実現する賃貸集合住宅「月光町アパートメント」(総戸数16戸、テナント2戸)が完成した。  月光町アパートメントは、東京電力(株)、トヨタ自動車(株)、松下電器産業(株)の3社で取り組む、「人・社会・環境」にやさしい、快適で持続可能な暮らし方ついて考える「lohas project(ロハスプロジェクト)」の一環として開発されたもの。東京電力の社宅跡地に、ロハスをテーマに賃貸住宅が建設された。住空間というハードと、暮らし方というソフトの両面から、人や社会、環境にも優しい住まいを提案するという。  今回は、見学会が開催されたので、その様子をレポートしたい。

賃貸集合住宅「月光町アパートメント」外観
賃貸集合住宅「月光町アパートメント」外観
目の前にある「林試の森公園」。道の先に見える建物が「月光町アパートメント」
目の前にある「林試の森公園」。道の先に見える建物が「月光町アパートメント」
各部屋には、照明の調節機能が付いている。気に入った光の明るさを記憶させることも可能
各部屋には、照明の調節機能が付いている。気に入った光の明るさを記憶させることも可能
「プライベートサロン」をコンセプトにした部屋。公園の緑が室内に美しく映える
「プライベートサロン」をコンセプトにした部屋。公園の緑が室内に美しく映える
食材が保管できる倉庫スペース。倉庫からはガーデンシンクの付いたルーフテラスに出ることができる
食材が保管できる倉庫スペース。倉庫からはガーデンシンクの付いたルーフテラスに出ることができる
最上階の屋根の上にある「ルーフガーデン」。ガーデニングやガーデンパーティを楽しむことができる
最上階の屋根の上にある「ルーフガーデン」。ガーデニングやガーデンパーティを楽しむことができる
セレクトショップのような「コーディネイト」をテーマにした部屋
セレクトショップのような「コーディネイト」をテーマにした部屋
「バーチャルウィンドウ」をテーマにした部屋。リビングに面したバスルームは、開放的なガラスの間仕切り
「バーチャルウィンドウ」をテーマにした部屋。リビングに面したバスルームは、開放的なガラスの間仕切り
ガレージは、子供の遊び場や、趣味を楽しむ空間としても使うことができる
ガレージは、子供の遊び場や、趣味を楽しむ空間としても使うことができる



エネルギーロスを抑えた設備

 月光町アパートメントは、東急目黒線「武蔵小山」駅から徒歩12分、閑静な住宅街にある。目の前には緑に囲まれた「林試の森公園」があり、近所の子供たちや散歩をする人たちで賑わっていた。
 鉄筋コンクリート造地上6階建て、敷地面積906.41平方メートル、延床面積1,999.67平方メートル。
 企画設計は(株)都市デザインシステム。今回の新築にあたり、梁が見えないようにするため「フラットスラブ構造」を採用。室内の空間をスッキリとさせることで、窓から見える景色をより楽しめるよう工夫したのだという。

 照明にもこだわりをみせている。各部屋の照明には、蛍光灯ではなく、白熱灯を設置し、必要なときに必要なだけ明かりが灯るよう、調光機能も付いている。必要以上に明るくしないことは、効率的で省エネになるというわけだ。
 確かに、白熱灯は光に温かみがあり、雰囲気もいいのかもしれないが、電球型の蛍光灯の方が寿命が長くて省エネ効果も高いのでは? という疑問も残った。

 住戸は、自然を取り込むために、窓の面積を大きく取りながらも、気密性、断熱性の高い建物とすることでエネルギーロスを抑えている。
 オール電化を採用し、入居者には、部屋ごとの使用電力量に基づき、エネルギーの上手な使い方をアドバイスするサービスも行なわれるという。毎日の暮らしの中にエコロジーの意識が生まれるようサポートしていくというわけだ。


コンセプト・間取りが異なる16タイプ

 居室部分の専有面積は42.84~96.96平方メートル、賃料は18万円~55万円と幅広い。部屋ごとにそれぞれ異なるコンセプトを設け、間取りは16タイプを用意。
 見学会では、そのうちの5つの部屋が公開された。

●501号室 テーマ「プライベートサロン」
 仲間とのつながりが生まれる暮らしを提案している部屋で、面積は93.55平方メートル、賃料は55万円。
 メゾネットタイプで、最上階の屋根の上には、「ルーフガーデン」がある。土を盛った小さな植栽スペースや備え付けのテーブルもあり、集合住宅に住みながら戸建て感覚で、ガーデニングやガーデンパーティを楽しむことができる。

●403号室 テーマ「お台所」
 キッチンを中心に、家族が集まってコミュニケーションが生まれるしかけづくりをしている部屋で、面積は73.67平方メートル、賃料は34万円。
 玄関からつながる土間には、オープンキッチンがあり、そのすぐ後ろには、食材が保管できる倉庫スペースが設けられている。倉庫からはガーデンシンクの付いたルーフテラスに出ることができ、そこでつくった野菜を、泥付きのまま土間に置いておくこともできる。

●203号室 テーマ「コーディネイト」
 オシャレが日常とつながる暮らしを提案している部屋で、面積は42.84平方メートル、賃料は18万円。
 セレクトショップのような空間で、玄関とリビングをつなぐ土間スペースでは、ガラス製のディスプレイ棚と全身鏡が目を惹く。リビングには収納式のカウンターやクローゼット、壁には収納式のシングルベッドがあった。たくさんの服をきれいに“見せながら”収納できるため、お気に入りの洋服やアクセサリーに囲まれて暮らしたい女性にはお薦めだと思った。

●202号室 テーマ「バーチャルウィンドウ」
 壁一面に65インチの大画面TVが備え付けられた部屋で、面積は44.24平方メートル、賃料は20万円。
 部屋全体に防音が施されており、音量を気にせずに、ホームシアターが楽しめる。テレビは、インターネット接続にも対応。リビングに面したバスルームは、ガラスの間仕切りで、浴室スピーカーも付いているため、バスタイム中でも大画面の画像と音声を楽しむことができる。

●101号室 テーマ「クルマ」
 ガレージを持つメゾネットプラン。車とつながる暮らしを提案しており、面積は96.96平方メートル、賃料は39万4,000円。
 玄関がある1階は、引き戸の付いたガラスの壁を挟み、ガレージと土間になっている。ガレージは、子供と遊んだり、趣味を楽しむスペースとしても使うことができる。さらに、1階にはサブキッチンもあり、友達とホームパーティをする時など大変便利だ。
 目の前にガレージがあることで、大きな荷物の出し入れが楽だし、雨の日でも乗り降りで濡れずに済むから便利だと思った。ただ、ハイブリッドカーじゃないと、室内の空気が汚れてしまいそう…。好きな車を間近に置いておけるので、車好きの人にはたまらない部屋だろう。


緑と建物をつなぐ

 月光町アパートメントに訪れてみて、まず、その自然環境に驚いた。建物の目の前に広がる「林試の森公園」は、都心では珍しく緑が生い茂り、芝生やグラウンド、池などもある大きな公園だった。
 この公園の自然を生かして、緑と建物が上手くつながっていたと思う。公園に面した南面のほとんどを、床から天井までのハイサッシュとすることで、緑が部屋の内側に自然と取り込まれていた。

 1階の共用ガレージは、大きな吹き抜けが設けられていることで、とても明るく開放的な印象。複数の棟をつなげたような複雑な構造は、縦・横方向に抜ける空間があちこちに設けられ、光や風が心地よく通るように工夫されていた。

 「ロハス」という価値観を創造し、新しい暮らし方を提案した「月光町アパートメント」。自然への優しさと、暮らしやすさを両立するロハスな暮らし方がこれから定着していくのか、注目していきたい。(さ)

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