記者の目 / 開発・分譲

2008/10/27

「永く愛される家」をリーズナブルな価格で

ミサワホーム、ハイブリッドの新商品をリリース

 ミサワホーム(株)は、鉄骨系ハイブリッド住宅の新商品「HYBRID ADEAR」(ハイブリッド エイディア)の発売を10月10日に開始、それに合わせて8日に、報道陣に向け、同社が分譲するオーナーズヒル『船橋日大前』(千葉県船橋市)に建設した同商品を公開した。  商品名の“ADEAR”とはアルファベットのスタートである「A」と、「DEAR(=親愛なる)」を掛け合わせた同社の造語で、「親愛なる我が家」という意味を持たせているという。  さてどのような商品か、レポートしたいと思う。

オーナーズヒル『船橋日大前』内に完成した「HYBRID ADEAR」(A-Style)
オーナーズヒル『船橋日大前』内に完成した「HYBRID ADEAR」(A-Style)
新提案の「タタミコーナー」(写真上)。太鼓障子で仕切ることも、写真のように開け放ち、解放的に使用する事も可能。なお、小上がりとなっているため、腰掛けて団らんするにももってこい(写真下)
新提案の「タタミコーナー」(写真上)。太鼓障子で仕切ることも、写真のように開け放ち、解放的に使用する事も可能。なお、小上がりとなっているため、腰掛けて団らんするにももってこい(写真下)
「タタミコーナー」のタタミの下は、すべて収納スペースとなっている。写真では分かりづらいが、かなりの収納量
「タタミコーナー」のタタミの下は、すべて収納スペースとなっている。写真では分かりづらいが、かなりの収納量
2階の1室は、将来のライフスタイルの変化に対応できるよう、2ドア設計となっている。ドアも窓も2つ設置されているため、間仕切りして2室として使用することができる。もちろん写真のように1室で使うのも可能だ
2階の1室は、将来のライフスタイルの変化に対応できるよう、2ドア設計となっている。ドアも窓も2つ設置されているため、間仕切りして2室として使用することができる。もちろん写真のように1室で使うのも可能だ
大屋根下にはゆとりの収納スペースが
大屋根下にはゆとりの収納スペースが

エコロジー&エコノミー

 同社は、木質系住宅と鉄骨系ハイブリッド住宅を供給しているが、今回は後者の新商品。ハイブリッド住宅とは、複数の鉄骨ユニットで建物を構成する「鉄骨ラーメン構造」と、硅石や石灰石などの天然資源を主原料とした「ニューセラミック」の外壁材を融合したもの。耐久性や耐震性、断熱性、省エネルギー性などの基本性能に優れており、かつユニット構法の採用により、大空間設計を可能にしているのが特徴だ。

 昨今の原油価格や建築資材の高騰といった経済環境の変化に対応すべく、新技術「スリットジョイント」工法を開発。ユニット同士を離して配置しながらも、建物全体の強度を維持しながらジョイント。鉄骨使用量を削減し、環境負荷を減らしながらコスト上昇を抑制した。基本性能も、これまでの商品と変わらない。

 今回見学した物件は、東葉高速鉄道「船橋日大前」駅徒歩6分の地で同社が分譲している「オーナーズヒル『船橋日大前』」内(全35区画)の一区画、敷地面積225.68平方メートル、延べ床面積144.88平方メートル、4LDK+納戸の物件。

「マルチスペース」を提案、和室を多角的に利用

 「HYBRID ADEAR」は、葺き下ろしのダイナミックな大屋根シルエットが印象的な「A-Style」、規律間屋根に瓦型の太陽光発電システムを搭載、南面外壁に暖房補助システム「ソーラースパンドレル」を設置するなどエコアイテムに対応した「E-Style」、1階にアウトリビング、2階に3室からアクセスできるビッグバルコニーを設置、好みの色を組み合わせることができるツートンカラーの外壁が特徴の「F-Style」を用意。
 3タイプとも「『永く愛せる 永く愛される家』をテーマに、奇をてらわず、オーソドックスで飽きのこない商品を作る、ということで開発を進めた」(取締役常務執行役員:西平 均氏)とのことで、先進的なデザインではないものの、陳腐化の恐れが少ないオーソドックス、かつ落ち着いた外観デザインとなっている。

 見学したのは「A-Style」。1階はスーパービーム工法(接合部の柱を省略、1階ユニットの天井梁と2階ユニットの床梁の接合部を高強度鋼製梁[スーパービーム]で補強、一体化できるボルトで接合するもの)により実現した大空間。その空間を最大限に生かすべく、「LDK+M」という空間を提案している。
 「M」とは「Multi(マルチ)」のM。リビング・ダイニングとの一体空間として活用でき、太鼓障子を閉めれば和室として成立する、マルチな空間「タタミコーナー」を設置。リビングとはあえて高低差をつけることで、縁に座ってくつろげるよう工夫した。畳の下は大容量の収納スペースとなっている。

 2階は2室。主室は3方向から採光するため大変明るい部屋となっており、もう一室は将来のライフスタイルの変化に対応できる2ドア1ルーム設計を採用している。

 なお、今回の商品の特徴としてユニット同士を離して設置する、とあるが、完成したものをみると、分離して設置してあるのか、つながれて設置してあるのか、見ただけではまったく分からない。コストを下げるためにある機能はあきらめる・目をつむる、というのが通常だが、今回は性能ダウンも見た目の変化もないのは素晴らしい。「逆に言うと、これまでの工法には無駄があったと言えるかもしれません(笑)」とは担当者の弁。

 A・E・Fの3つの建物スタイルで、それぞれ14プラン・20プラン・48プラン(反転プラン含む)を用意。販売価格は寄棟屋根のベーシック仕様が49.9万円/坪、グレードアップ版の切妻屋根のカスタム仕様は59.6万円/坪から。
 オーナーズヒル『船橋日大前』にて分譲される本物件は6,250万円。東葉高速鉄道「船橋日大前」駅まで徒歩6分、駅からは「大手町」駅まで直通45分(通勤時)という立地を考えれば、高い反響が期待できよう。

 高い品質の住宅へのニーズは、依然として高い。しかし原価アップ=販売価格アップという状況を理解し、購入をためらわないという層は、収入アップが望めない現在の環境を考えれば、そう厚くはないはず。
 今回の「企業努力」が、動きのにぶくなったマーケットをどう刺激するか。楽しみである。(RN)

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