記者の目

2009/5/1

相続した親の家もあるけれど、都心にも住みたい場合は?

定期借地権付分譲マンション「パークコート神宮前」竣工

 原宿・竹下通りからほんの数百mのところに、喧騒からはかけ離れた緑の茂る静寂な一角があるのをご存知だろうか。  東郷神社の社の森と旧・鳥取藩主池田家(池田侯爵邸)の屋敷林が織り成す緑の一帯。その環境を享受できる住まいが、今、50年限定で誕生した。三井不動産レジデンシャル(株)と東電不動産(株)が分譲するマンション「パークコート神宮前」だ。

定期借地権付分譲マンション「パークコート神宮前」外観
定期借地権付分譲マンション「パークコート神宮前」外観
「パークコート神宮前」のエントランスはラグジュアリーホテルさながらの雰囲気
「パークコート神宮前」のエントランスはラグジュアリーホテルさながらの雰囲気
シックな「パークコート神宮前」のロビーラウンジ
シックな「パークコート神宮前」のロビーラウンジ
著名なガラス作家の作品を展示したアートサロン。ロビーで待ち合わせしている際にでも、ふらっとのぞいてもらうといいかも
著名なガラス作家の作品を展示したアートサロン。ロビーで待ち合わせしている際にでも、ふらっとのぞいてもらうといいかも
高層棟屋上のエアーデッキからは、神宮外苑の花火大会も観覧できるのだとか
高層棟屋上のエアーデッキからは、神宮外苑の花火大会も観覧できるのだとか
低層棟の居室から見える保存林の緑
低層棟の居室から見える保存林の緑
旧・池田公爵邸の屋敷林を保存した遊歩道「フォレスト イン フォレスト」には、原宿の喧噪とはほど遠い静けさが
旧・池田公爵邸の屋敷林を保存した遊歩道「フォレスト イン フォレスト」には、原宿の喧噪とはほど遠い静けさが
ハウスウェディングができる「ル アール東郷」。外装デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所が担当
ハウスウェディングができる「ル アール東郷」。外装デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所が担当

50年限定の定期借地付分譲マンション「パークコート神宮前」

 「パークコート神宮前」(東京都渋谷区、総戸数385戸)は、東京都がPFI事業として実施した「神宮前一丁目民活再生プロジェクト」の一環として、このほど竣工した地上16階地下3階建ての定期借地権付分譲マンション。
 「神宮前一丁目民活再生プロジェクト」は、都心に残された広大な都有地約2.4haに、老朽化した原宿警察署を移転・改築するとともに、商業・居住等の機能を有する民間施設を整備するものである。
 その民間施設としてこのたび誕生したのが、定期借地権付分譲マンション「パークコート神宮前」とオフィス・商業棟である「神宮前M-SQUARE」だ。

 民間施設の事業運営期間は、建設期間を除いて50年。PFI事業に参加する民間事業者は警察施設を設計、建設した後に施設の所有権を東京都に移転、事業期間中の施設の管理・運営を担う。
 期間終了後、商業棟やマンションなどの民間施設は取り壊され、東京都に更地返還される。
 「パークコート神宮前」を「50年限定」と表現したのは、そうした事情からだ。

実際、目にしてみると、「ブランド立地」に納得

 同事業やマンションの概要等については、同コーナーの過去の記事(「ブランド立地をどう調理するか?(4)三井不動産他『パークコート神宮前』の場合」)で詳細に紹介しているため、一切割愛させていただくが、実際に竣工したマンションを見学してみると…、「都心生活」でありながら「緑」も享受できるこの立地と企画はやはり秀逸といえるものだろう。

 同マンションは、低層棟(200戸)と高層棟(195戸)がエントランスやロビーラウンジ、アートサロンなどがある共用部でつながる構造になっており、低層棟は旧・池田侯爵邸の屋敷林であった保存林に面しているため緑を、高層棟は眺望をそれぞれ楽しめる。
  
 実際、内覧に訪れた購入希望者も「緑をとるか、眺望をとるか(低層棟にするか高層棟にするか)、どちらもいいねえ」と選択を楽しんでいるという。ちなみに住戸の方角にもよるが、高層棟からも代々木公園や明治神宮のこんもりとした緑が目に入る。
 しかも隣は原宿警察署。これといってお世話になる予定は特になくても、なんだか心強い。

マンション低層部にはレストランやバーが

 プロジェクト全体の開発コンセプトにも「賑わいのある街づくり」が盛り込まれているが、同マンションを特徴づけているのが、低層部に入居するレストランなど3つの店舗「Restaurant Ⅰ」「BAR Espion」「ル アール東郷」の存在である。

 特に「ル アール東郷」は、ミシュランで3年連続星を獲得しているフレンチレストラン「KEISUKE MATSUSHIMA」のオーナーシェフである松嶋啓介氏がプロデュースする注目のウェディングハウスだ。
 同ウェディングハウスをめざして、マンション脇の保存樹木の遊歩道を、盛装を凝らした参列者が歩いていく。さぞ、華やぎのある光景となるだろう。

 分譲マンションは引渡し後にどのように管理されていくかで、その姿・形までもが変わっていくが、こうした界隈が華やぐ仕掛けがあれば、寂れていく心配はなさそうだ。

気になる反響は?

 専有面積は37.10~169.94平方メートルと幅があるが、そのほとんどは1LDK~2LDKの間取り。
 販売価格2830万~2億9000万円だが、最多価格帯は4,000万~5,000万円、地代は1坪あたり約3,600円、解体準備金を含む管理費・修繕積立金等は1平米あたり約550円(一時金を除く)という同物件、気になるのは反響と販売状況だ。

 都心を中心に広範囲から集客しているそうで、販売を始めた08年10月からの来場者は2,800名を越えた。
 そして発売した190戸のうち、9割方はすでに契約済みだ。
 購入者は30~50歳代のシングルやディンクスが中心。いわゆる「士族」が多いという。
 
存分に活用できる、パフォーマンスの高いライフスタイルは?

 本当に勝手ながら、同物件がもっとも高いパフォーマンスをみせるには、どのようなライフスタイルがいいのか、筆者は考えてみた。

 イギリスの貴族階級の人々は、田舎に広大な敷地と大邸宅、いわゆるカントリーハウスを持ち、基本的にはそこを生活の拠点にするが(ちなみにアメリカでのカントリーハウスは別荘の意)、ロンドンで議会などが開催されている期間は、ロンドン市内にある“タウンハウス”に住むという(ちなみに日本では低層の連棟式建物を“タウンハウス”と呼ぶことが多いようだが、これとはまったく別のもの)。

 そうしたタウンハウスの現代版としても大活躍するだろうし、クリエイティブな人々にとっても便利な住まいとなりそうだ。
 日本有数のトレンド最先端の商業地、原宿や表参道の真っ只中。個性あるショップや商業施設も多い。神宮前一丁目であれば、仕事や接待で遅くなっても、ジャズクラブで夜遊びしても、タクシーすらほとんど使わずに帰ることができる。
 マンションのロビーラウンジは、簡単な打ち合わせであれば済ませられるし、エアーラウンジやエアーデッキ、アートサロンは遊びにきた来客に自慢できそうだ。

 と、こんなライフスタイルであれば、思いっきり住まいを活用できるため、定借マンションだということは気にならない。むしろ、土地取得費がかかっていないし、固定資産税も安い分、生活を謳歌できそうだ。収益物件として考えてみても、周辺の賃料相場や既存物件と比較して、競争力は十分すぎる。

 少子化で、親や親類縁者の不動産を次々に相続したけれども、売るに売れないし、自宅はすでにあるし、どう扱ったらいいか…という話を近頃よく耳にするが、そうした場合や、いずれ相続で実家の家を取得することになっているので、ゆくゆくは実家に戻るけれども、それまでの間は…という場合にもむしろ最適な所有形態かもしれない。

 なんて考えていたら、ライフスタイルだけは自分や悪友たちにもいいかもと、妄想した次第。(ひ)

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【関連記事】
「ブランド立地」をどう料理するか?(4)(2008/12/02)
【関連ニュース】
PFI事業による定借マンション「パークコート神宮前」発売/三井不動産レジデンシャル他(2008/11/20)

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