海外トピックス

2023/11/1

vol.410 世界初、「〇〇ブランド」のレジデンス【UAE】

ペルシャ湾に浮かぶ、もう一つの「ルーヴル美術館」

 フランス・パリにある世界で最も”有名な”美術館、といえば、やはりこの名が浮かぶだろう。ルーヴル。この本家から遠く離れたアラビア半島に、世界でただ一つ同じ冠を名称に掲げることを許された“もう一つ”のルーヴル美術館「ルーヴル・アブダビ(Louvre Abu Dhabi)」がある。

 エメラルドブルーの海面に浮かぶ真っ白な美術館の建物。ダヴィンチ、ゴッホ、ピカソやモネなどの世界的名画・美術品を所蔵し、UAEの観光名所として外せない人気スポットだ。人々を惹きつけてやまない理由は、世界的建築家ジャン・ヌーヴェルの設計によるところも大きい。「鳥の巣」のようなドーム型屋根から注がれる中東の眩しい光が、美術館に足を運ぶ人々の頭上に揺れる。

鳥の巣のような屋根が特徴の「ルーヴル・アブダビ」<写真提供:Louvre Abu Dhabi、Photography:Mohamed Somji>

文化開発特区が注目の「サディヤット島」

 ルーヴル・アブダビは、市街地と橋でつながる「サディヤット島」(Saadiyat Island)に位置する。この島にある文化地区(Cultural District)には多くの教育・文化施設が集まり、ルーヴル・アブダビもその一つ。ニューヨーク大学アブダビやバークリー音楽院アブダビ、さらにグッゲンハイム美術館アブダビやザイード国立博物館などは今まさに建設が進んでいる。あの日本のクリエイティブ集団・チームラボによる体験型施設「チームラボ・フェノミナ・アブダビ」も、同じくサディヤット文化地区に来年完成予定という。市の中心地から車で約10分、アブダビ国際空港から車で約25分とアクセスが良く、海外からの観光客からも注目を浴びるホットスポットである。

サディヤット文化地区一帯は今開発ラッシュだ(2023年4月撮影)

世界初、「ルーヴル」ブランドのレジデンス

 そんな大注目のサディヤット文化地区で今、国内外からの熱い視線を集めているのが「ルーヴル・アブダビ・レジデンス」だ。UAE最大のディベロッパーであるアルダール・デベロップメント社(Aldar Development)がルーヴル・アブダビと世界初のパートナーシップを結び開発がスタートした。

 アパートメントタイプの間取りは、限定5戸の高級ペントハウスを含む約400戸。内装は世界的な有名ブランドから選ばれたインテリアや備品・ビルトイン家電で洗練されたデザインに仕上げられた。他にも居住者用のラウンジ、プライベートシアター、ジムやサウナルーム、ヨガや瞑想に使えるマルチスペース、子供用の屋内プレイルーム、ウェルネスセンターなどを兼ね備える。だがなんといってもこのレジデンス最大の魅力は、床から天井までの全面窓から見渡すアラビア湾。そしてルーヴル・アブダビの象徴的な”あの“ドーム屋根”を眼下に望む暮らしが手に入るということだろう。

ルーヴル・アブダビを一望するロケーション。無機質なステンレスを多用したモダンな佇まいの美術館には、どこかアラブの国らしい神秘的な雰囲気が感じられる<写真提供:Aldar Properties>

世界の名画同様に、綿密にキュレーションされた内装

 ロビーや共有スペースに飾られるアートや彫刻は、ルーヴル・アブダビと共にセレクトしたもの。日常の生活空間は美術館さながら、さらに居住者へはパーソナルスタイリストやショッパーサービス、犬の散歩などのペットシッターサービスなど、5つ星ホテル並みにオーダーメイドされた多様なコンシェルジュサービスを提供する。

 美術館に展示された名画同様に、居住空間や居住者一人ひとりのライフスタイルに合わせてキュレーションされたルーヴル・アブダビ・レジデンス。あらゆる場所に居住者の好奇心を満たし、日々を刺激的に過ごすためのさまざまなストーリーや体験が散りばめられている。

 オーナーや居住者へのエクスクルーシブなサービスは他にも、ルーヴル・アブダビの展覧会やイベント、ブランド商品、個人的なアート相談やサービスなどを利用できる限定メンバーシップなどがある。

芸術・文化・デザインの最高峰を。文化的価値を発信する新たな試みとして

 「ルーヴル・アブダビ・レジデンスは、世界的に有名な美術館などに四方を囲まれた比類のない場所に位置する。目の肥えたオーナーや居住者のためにカスタマイズされた、世界的に有名な美術館と建築の傑作にふさわしい究極のライフスタイルの提案をする」と話すのは、アルダール社のCEOジョナサン・エメリー氏。

 ルーヴル・アブダビ・レジデンスがある「サディヤット・グローブ(Saadiyat Grove)」は、アルダール社が100億AED(約1.6兆円)を投じて開発を進めており、約24万2,000平方メートルの敷地内には、さまざまなショップ・エンターテインメント施設、約3,000戸の住宅やホテル、さらにはスタートアップ企業などのシェアオフィススペースを含む複合施設などで構成する。

 2025年には、現在建設中のサディヤット文化地区の施設が次々とオープンする。ルーヴル・アブダビ・レジデンスの居住者への引き渡しも25年の予定だ。アブダビの居住先・投資先としての魅力や世界的な観光地としてのポテンシャルがあることを反映し、今後もこのエリアからますます目が離せない。

海からからみたルーヴル・アブダビ<写真提供:Louvre Abu Dhabi、Photography:Roland Halbe>

シュハリ マキコ(しゅはり・まきこ)
UAE在住ライター。海外での教育事業やリテールプロダクト関連ベンチャーを経て、現在はSDGs分野でのコンサルティング業にも従事。今ハマっているのは自家製みそや納豆作り。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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