不動産ニュース / 調査・統計データ

2006/6/13

「不動産取引と信託法制に関する研究会」が報告書/いかに消費者の理解を得るかが課題

 国土交通省は9日、「不動産取引と信託法制に関する研究会」(座長:道垣内弘人東京大学大学院法学政治学研究科教授)が整理した研究結果を報告書としてまとめ、公表した。

 同研究会は、同省総合政策局不動産業課と、主催者である(財)不動産適正取引推進機構を事務局として、学識経験者、事業者団体および行政関係者で構成。不動産流通・管理の分野で関心が高まっている信託について、想定される取引形態を勘案しながら、法理論に照らして特質、問題点、課題等を整理・分析することにより、新たな制度やビジネスモデル等を設計するうえでの理論的な基礎を固めることを目的に、これまで10回にわたる研究会を開催してきた。

 報告書では、不動産投資市場における「信託」は、「金融商品」と「不動産投資のビークル」という2つの面から評価できるとし、金融商品としての信託に関し、証券取引法の改正に伴う宅建業法の改正により、原資産の情報開示が義務付けられたことは重要であり、宅建業者にはこの新たなルールに適応し積極的に使いこなしていくことが求められるとしている。
 また、信託受益権分譲マンションの用地取得・開発段階から、販売・流通段階、マンション管理、建替えにいたるまで、分譲マンションのライフステージに即した信託の活用の検討なども盛り込まれた。

 なお今後、信託を活用したビジネスフィールドの拡大が予想される中で、特に不動産取引の分野における信託の有用性は高いとしており、投資目的で分譲されるワンルームマンションやリゾートマンションなど、賃貸収益、またはキャピタルゲインの享受を目的とするケースにおいては、権利保有形態として信託受益権を活用することには合理性があると分析。その一方で、信託受益権が消費者に理解され、消費者ニーズを引き出せる商品となり得るかが問題であり、信託行為のフレキシビリティを利用して受益権の内容をいかに消費者ニーズに盛り込んでいけるかということがビジネス戦略上の課題となるとまとめている。
 このほか、ビジネスモデル考察として、居住用マンションの信託活用例についても取上げている。

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