不動産ニュース / 調査・統計データ

2008/9/19

住宅地は下落幅が拡大、商業地も下落に転じる/2008年都道府県地価調査

 国土交通省は19日、2008年7月1日時点の「都道府県地価調査(基準地価)」を発表した。

 2007年7月以降の1年間の地価変動率は、全国平均で住宅地は▲1.2%とわずかに下落幅が拡大。商業地は▲0.8%と、上昇から下落に転じた。

 三大都市圏は、平均で住宅1.4%、商業地が3.3%上昇したが、住宅地、商業地ともに上昇幅は縮小した。各圏域とも、都心部の上層傾向は続いているものの、景気の減速等を背景に需給バランスが調整された結果、上昇幅が大幅に縮小。全体では、下落地点が増加した。

 都心部は、ブランド力の高い地域や高級住宅地、高度に商業・業務機能が集積した地区において、10%を超える上昇を示す地点があったが、前回に比べ上昇基調が鈍化。半期ごとの地価動向をみると、2008年に入って上昇率が低下した地点や下落地点が大半を占めている。

 東京圏の住宅地では、平均で1.6%上昇したものの、上昇幅は大幅に縮小した。都区部では、不動産市況の悪化の影響を受け、すべての区において平均で上昇幅の大幅縮小または下落となった。高級住宅地を有する千代田区では、平均で7.7%と比較的高い上昇率を維持したが、前年まで20%前後の上昇率を示した渋谷区、品川区、港区、目黒区が下落に転じた。都下郊外部でも、全市町の平均で上昇幅の縮小または下落を示しており、前回高い上昇を示した中央線沿線の武蔵野市、三鷹市の上昇幅の縮小は大きく、国立市では下落に転じた。また、西武拝島線沿線の東大和市および武蔵村山市では住宅需要が減退し、下落に転じた。なお、川口市、鎌倉市、藤沢市においてはわずかではあるが上昇幅が拡大している。

 東京圏の商業地は、平均で4.0%上昇したものの、上昇幅は大幅に縮小。都区部はすべての区において平均で上昇幅の大幅縮小または下落となったが、ブランド力の高い「銀座」を有する中央区、「副都心線」の開通効果が高い新宿区では、平均で10%前後の上昇率を維持、20%前後の高い上昇率を示す地点も見られた。一方で前回30%を超える高い上昇率を示す地点のあった港区および渋谷区では、街路条件や画地規模など、投資対象として劣る条件下にある土地で下落傾向が見られた。これは、ファンド等の市場参加者らの投資環境が変化したことによる影響を受けたことが一因。なお、都下の郊外部でも全市町で上昇率の鈍化または下落となったが、地域の中心として集積の高い商業地を有する立川市、八王子市は5%を越える上昇率を維持した。
 なお、圏域辺縁部では、下落幅は縮小傾向にあるものの依然として下落が続いている地域が多く、これは大規模商業施設の郊外進出等の影響により、既存商業地の集客力の相対的減退等が進んでいるため、としている。

 大阪圏の住宅地では、1.0%上昇したが、前回からは上昇率が鈍化した。
 しかし、伝統的な高級住宅地を有する阪神地域においては、芦屋市が平均で6%台の上昇を示すなど、比較的高い上昇率となった。また、京都市近隣の向日市、宇治市、長岡京市は3年連続の上昇。木津川市では大規模商業施設の進出もあり17年ぶりに上昇に転じた。奈良県でも、生駒市、奈良市が2年連続して平均で上昇。圏域縁辺部では依然として下落傾向にあるものの、下落幅は縮小傾向を示した。

 大阪圏の商業地では、平均で2.8%上昇したが、前回から上昇幅が鈍化した。
 大阪市では依然として上昇傾向にあるものの、中心6区では中央区を除いて平均で10%未満の上昇率に留まった。しかし、大阪駅周辺や御堂筋沿いの地域では、依然として15%を超える上昇を示す地点も見られ、市場における物件の選別が顕著になった。京都市では急激な地価上昇への警戒感を背景とする需給バランスの調整により、中京区、下京区等の中心5区の上昇率はいずれの区でも3%未満までに減少した。しかし、中心商業地である四条通り沿いの地域では依然として10%程度の上昇を示す地点もみられた。神戸市では3年連続の上昇となった。

 地方圏の住宅地は▲2.1%、4年連続して下落幅が縮小したものの引き続き下落。商業地も▲2.5%と下落幅は縮小したものの、5年連続して下落した。

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