不動産ニュース / その他

2009/1/5

「2009年 年頭挨拶」(業界団体)

(社)全国宅地建物取引業協会連合会会長・(社)全国宅地建物取引業保証協会会長・伊藤 博氏
(社)不動産協会理事長・岩沙弘道氏
(社)不動産流通経営協会理事長・岩崎芳史氏
(財)日本賃貸住宅管理協会会長・北澤艶子氏 
(順不同)

■(社)全国宅地建物取引業協会連合会会長・(社)全国宅地建物取引業保証協会会長・伊藤 博氏

 謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年の世界経済は、米国のサブプライムローン問題に端を発した100年に1度と言われるほどの金融恐慌が世界中に広がり未曾有の経済危機に陥りました。我が国においても、大都市圏で一部上昇に転じていた地価も再び下落傾向が見え始め、Jリートにおいては破綻する会社も出てくるなど混迷しております。

 本会では、差し迫った危機を打開するために土地住宅税制改正において、住宅ローン控除制度や適用期限を迎える各種特例措置等について、重点的に対策を講じるよう関係各方面に対して要望活動を展開してまいりました。その結果、12月の税制改正大綱では、各種特例措置の適用期限延長をはじめ、住宅ローン減税の大幅な拡充及び所得税額が年間の減税額より少ない場合の住民税からの減税制度や土地取引における登録免許税の現行税率1%の維持、さらには土地譲渡益課税に係る特例措置の創設等が改正案に盛り込まれるなど多大な成果を得ることができました。これは、ひとえに皆様方が各地域において熱心に要望活動を展開していただいた結果であり、感謝申し上げる次第です。

 一方、本会の組織運営面では、全宅連、全宅保証、都道府県協会が一体となり引き続き宅建業の健全な発達を図り、消費者保護を推進するための事業を進めていく所存です。折しも昨年12月には公益法人制度改革関連法が施行されており、各組織一丸となり適切に対処してまいります。

 流通面では、月間アクセス300万件、物件数30万件を誇る「ハトマークサイト」の更なる利用促進を図るため、昨年12月に検索システムをリニューアルし、皆様のお役に立つようにいたしました。また不動産関連4団体の統合サイトである「不動産ジャパン」についても、国土交通省指導の下、4月から消費者のための「公的サイト」となるべく改良に協力してまいります。

 さらにより公正で迅速な取引の場として「不動産取引所」の構築を目指し、引き続き研究していく所存であります。
賃貸不動産管理については、管理業の独立性・健全性及び社会的信用の確保を図るため、「賃貸不動産経営管理士」制度を引き続き推進してまいります。

 本会は、本年も不動産業界最大の団体として業界をリードするとともに国民生活の一翼を担う「基幹産業」として社会に貢献する旨、決意を新たにしております。

■(社)不動産協会理事長・岩沙弘道氏

 昨年来、世界経済は未曾有の危機にあります。米国発の金融危機は世界中に拡大し、先進国の実体経済を押し下げ、その影響は新興国や資源国にも及び、世界経済が安定する兆しは見えないまま新しい年を迎えることとなりました。

 日本経済も、厳しい状況にあります。世界的信用収縮の影響を受けた金融機能の低下に加え、株式市場は昨年10月下旬にバブル崩壊後の最安値を更新し、その後も現在まで低迷が続いています。為替も急激に円高が進行し、実体経済全体への影響が出ております。また、雇用情勢についても急激に悪化しています。

 わが国の不動産市場、不動産投資市場も、きわめて厳しい一年でした。特に分譲マンションは、供給量が大幅に減少する中、契約率は低水準で推移し、販売在庫も増加しました。オフィスビルや賃貸住宅は、昨年までは堅調だったと言えますが、今後については景気動向をふまえますと、決して楽観はできないと思います。

 金融機能の低下に伴い、企業の資金環境も厳しいものとなっています。黒字経営にもかかわらず資金繰り難で破綻する不動産会社が相次ぎました。さらに不動産投資市場においては、その根幹をなすJリートの投資口価格の低迷に加え、初の破綻事例が出るなど、大変憂慮すべき事態となりました。また、住宅ローンを含めた資金環境の改善も急務となっています。
 
 こうした中、昨年末「与党税制改正大綱」がまとめられました。平成21年は、数多くの住宅・不動産税制が期限切れとなる節目の年でしたが、当協会で要望しておりました全ての項目について延長が認められることとなりました。

 その中で、「住宅ローン減税の過去最大規模への拡充」が具体化されました。今回の改正では、住宅を購入されるお客様にとって実効性の高い制度となるよう、住民税からの控除が認められることとなったことは意義深いものといえます。また「長期優良住宅や省エネ・バリアフリー改修の投資減税の創設」、「住宅に係る登録免許税の軽減税率の延長」など、内需拡大の柱としての住宅投資の活性化に繋がる施策も打ち出されています。土地税制においても「事業用資産の買い換え特例」および「都市再生促進税制」の延長が認められたことに加え、「個人・法人の土地譲渡益課税の特例」の創設や、「土地の売買等に係る登録免許税の税率の据置き」がなされ、土地取引の活性化や地域活性化につながる手立てが講じられることとなりました。

 さらに、金融の円滑化については、「金融機能強化法の改正」など安定化のための施策が進みつつあります。昨年12月15日には、総理の指示を受け、金子一義国土交通大臣より、「住宅・不動産市場の活性化のための緊急対策」が発表されました。
 
 需要サイドに対しては、税制改正や「優良な住宅取得支援制度の拡充と金利優遇期間の延長」などの施策が打ち出されました。さらに、供給サイドに対しては、「住宅金融支援機構による事業資金の調達円滑化支援」や、「日本政策金融公庫の資金繰り支援」、「大型都市再生プロジェクトへの資金支援」などの施策がとりまとめられました。

 需要、供給の両面から、これまでにない思い切った緊急対策が幅広く打ち出されたことは、当業界にとって歓迎すべきことであります。

 今般の税制改正や「住宅・不動産市場の活性化のための緊急対策」は、厳しい現状を大きく改善する力となるものでありますので、政策の実現のため、関係法案や予算の早期成立に向けて、与野党挙げて取り組んでいただくことを期待いたします。

 政府から対策が示された今、今後は、実際に事業に携わる我々不動産業界が期待に応えていかなければなりません。景気は来年も引き続き厳しい状況にあると思いますが、事業者として、政府による対策を有効に活用し、お客様のニーズ、ウオンツに応える安全、安心で質の高い住宅の供給と、都市・地域再生に取り組むことが重要であります。
 
 今後の日本経済は、輸出を中心とした経済運営だけでは限界があり、「内需創造型」の経済成長モデルの構築によって経済構造を強くしていく必要があります。従来型の内需拡大に留まらず、これまで捉えきれていないニーズを掴むことにより新たな需要を創造して、持続的な成長を実現していかなければなりません。都市・地域の再生や住宅の分野で、こうした取り組みを進め、不動産業が内需関連産業の主要分野として成長のエンジンとなり、日本経済を強力に牽引していくことが求められております。

 今後も官民が一体となって懸命に努力し、今年の後半には将来に向けた光明を見出せる、そのような年となることを期待しております。またぜひそうなるよう、業界を挙げて努力をしてまいりたいと存じますので、会員の皆様のご協力をいただきたいと思います。

 最後になりましたが、不動産業界発展のため、諸課題の解決のために邁進するとともに、会員相互の結束のもと協会活動の一層の充実を図っていく所存です。

■(社)不動産流通経営協会理事長・岩崎芳史氏

 年頭にあたって謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 不動産流通市場においては、比較的堅調であった郊外の既存住宅を除き、価格上昇が続いていた都心部等においては、所得の低迷に株価下落等による資産価値の減少が加わり取引は減少に転じました。不動産投資市場においても、金融機関の融資の厳格化による取引の急激な収縮に加え、企業業績の先行き不安による設備投資の減少により、取引は大幅に減少しております。特に、分譲業界においては、資材価格の高騰等による販売価格の上昇に実需が追い付かず、在庫は増加し、事業者の資金繰りを圧迫するなど、不動産を取り巻く環境は厳しさを増してきております。

 このような経済環境のもと、昨年末発表された税制改正大綱におきまして、当協会の重点要望事項でありました「住宅ローン減税の延長及び拡充」等については、要望に沿って過去最大の控除額に拡充され、そのほかにも「住宅用家屋についての登録免許税の特例の延長」や「不動産取得税の特例措置の延長」などについても適用期限の延長が図られました。これらは、低迷する住宅流通市場に好影響を与えるものと期待されます。

 不動産流通市場の円滑化、活性化に向けた政策面では、ストック型社会における豊かな住生活の実現にむけた「200年住宅ビジョン」のもと、「長期優良住宅普及整備促進法」が公布され、「住宅履歴書」の整備を始め長期にわたり住宅が維持され流通するに際しての具体的な方策の検討が進められております。また、社会資本整備審議会不動産部会おいて、より安心安全な不動産取引及び既存住宅を中心とする不動産流通市場の活性化その他時代の要請に応えるための宅地建物取引制度のあり方について、りじちょうりじ不動産流通業界にとって流通市場の整備・拡大につながる影響の大きい課題が審議されております。

 このように、住宅について量から質への転換が求められ、また省資源や環境などの観点からも、既存住宅流通市場の更なる成長が期待されている中、当協会では、「既存住宅フロー予測及び流通促進施策検討研究会」を新たに立ち上げました。少子高齢化による住宅需要が減少する一方、ライフステージに応じた住まい方のミスマッチや住生活の向上へ向けての住み替えニーズを予測し、これを顕在化させるための方策について議論を進め、既存住宅流通市場の活性化に向けた具体的な提言を取りまとめてまいりたいと考えております。

 当協会では、昨年8月、「ホームナビ」のリニューアルを行い、消費者が安心して物件が探せるよう、利便性の向上と不動産取引にあたっての知識・情報の提供機能を充実させました。「ホームナビ」の特長である信頼性を維持し、消費者に支持されるサイトとして一層の認知度の向上を図るべく、皆様のご協力をお願いいたします。

 我が国経済は、企業業績や雇用情勢など予断を許さない状況にあり、不動産市場においてもこのような経済情勢を反映した変化が予想されます。本年は、これらの変化を的確に捉え、消費者の視点を踏まえた政策提言など活発な事業展開を行ってまいりたいと存じます。皆様方のご理解、ご協力のほど、引き続きよろしくお願いいたします。

■(財)日本賃貸住宅管理協会会長・北澤艶子氏

明けましておめでとうございます。

 バブル後最悪とも言われる不動産市場において、家主の健全な賃貸経営をサポートし、入居者に安心・安全・快適な住生活を提供するためには、高品質な賃貸管理業務の提供が不可欠です。賃貸住宅に対する入居者ニーズも多様化し、柔軟かつ、きめ細かいサービスの提供が求められております。

 当協会は国土交通省、協力団体とともに、高齢者・外国人・子育て世帯等の入居をサポートする「あんしん賃貸支援事業」の推進に取り組んでおります。都道府県各地で実施する説明会、外国人入居円滑化ガイドライン作成等、制度の構築・推進を通じて入居が難しい方の支援を行っております。賃貸住宅管理を通じ豊かな国民生活の実現を図ります。

 当協会は本年も、賃貸住宅市場の健全な発展を目指します。皆様方のご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

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