不動産ニュース / 開発・分譲

2016/4/21

京町家イメージした新築賃貸物件が竣工/八清

「ゑびす小路」の外観。手前に見える建物が今回竣工した建物(夷川通りから見て)
「ゑびす小路」の外観。手前に見える建物が今回竣工した建物(夷川通りから見て)
敷地内には幅員2mの路地を石畳で整備
敷地内には幅員2mの路地を石畳で整備
床材にはパイン材、梁にはエイジング加工した木材を採用し、味わいのある空間に仕上げた
床材にはパイン材、梁にはエイジング加工した木材を採用し、味わいのある空間に仕上げた

 京町家のリノベーション事業等を展開する(株)八清は、京町家をイメージしてつくられた新築賃貸物件「ゑびす小路」(京都市左京区、総戸数7戸)を竣工した。同社が新築の京町家風賃貸物件を開発するのは初。

 敷地面積529.8平方メートル。延床面積359.18平方メートル。木造2階建て。地下鉄東西線「三条京阪」駅徒歩約8分に立地。市街地環境に有効な公開空地を確保することで、容積率の割増しや斜線制限の特例を受けることのできる「総合設計制度」を活用している。

 開発地は1960年より同社が保有しており、長らく公設市場が建っていたが、2年程前に閉鎖が決定し、物件開発に至った。夷川通りと二条通りの2つの通りに面した、間口が狭く細長い土地を有効活用するため、戸建てタイプ(1棟以外連棟形式)の賃貸住宅が最も効果的と判断。これまでの京町家再生での経験を生かし、本格的な京町家の雰囲気を演出しつつ、間取りや設備機能を現在のライフスタイルにあわせたものに仕上げた。

 建物は京町家風のファサードにこだわり、屋根の軒を深くしたほか、窓には格子を設置。建物前面には京町家ならではの石畳の路地を整備した。格子下にはLEDを埋め込み、夜間に路地の石畳が浮き上がるように照らしている。
 内装は、床材や建具等には使うほどに味わいが出る無垢のパイン材を、梁にはエイジング加工を施した木材を採用。壁紙も左官仕上げ等の柄を採用するなど、和風の雰囲気に仕上げた。
 運営面では、入居者が早期に地域に馴染めるよう、町会参加を必須としている。地域住民からは、景観やコミュニティの面で好評を得ているという。
 
 全7戸のうち、5戸(間取り2LDK・3LDK、専有面積68.41・90.02平方メートル、15万~18万円)は14年10月に竣工しており、募集開始からすぐに全戸入居者が決まった。
 今回募集する2戸の間取りは1LDK+S、専有面積58.09・58.73平方メートル。賃料は13万5,000円。相場は中心エリアの京町家フルリノベーション賃貸物件とほぼ同等。16日に一般向け内覧会開催および募集開始したが、当日中に入居者が決定した。
 先の5戸を含め、いずれの入居者も30歳代のファミリー層で、県外からの転居者や同社シェアハウス元入居者など。先の入居者は、京都らしい住空間はもちろん、地域の祭りに参加するなど、コミュニティのある暮らしに満足しているという。

 なお、同物件は「平成26年度 京都景観賞 建築部門」奨励賞を受賞している。同社は今後も適切な立地やロケーションなどがあれば、京町家風賃貸物件の開発を手掛けていきたい考え。

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