(公社)全国宅地建物取引業協会連合会の会員で構成する(一社)全国賃貸不動産管理業協会の会長に就任した佐々木 正勝氏((公社)宮城県宅地建物取引業協会会長)が11日、専門誌記者と会見。事業戦略等について語った。
佐々木会長は「実務に精通した会長として、会員のため、オーナー・入居者のため、そして社会のため役立つ具体的なノウハウ、ビジネスモデルを提供していきたい。われわれ中小企業には、地域密着でオーナー・ユーザーに寄り添い、そのニーズを把握している強みがある。これは大手企業にはない強みだ」として「日本の賃貸管理のスタンダードモデルを作り上げ、堂々と大手企業に対抗したい」と抱負を述べた。
同協会は、2014年6月に「賃貸不動産管理標準化ガイドライン」を策定しており、このガイドラインを、現代に求められる賃貸管理業務のスキルを盛り込み、ブラッシュアップしていく。
「賃貸管理業務支援システムや、原状回復処理ソフトなどのツールは、他団体に負けない、それ以上のものを用意している。一方、会員各社をみると、督促処理文章ひとつとってもまだまだ千差万別であり、ひとつ業務を間違えれば訴訟沙汰になることもある。社員1~5名の会員業者の業務の底上げを支援していくため、相続や事業承継など賃貸管理全般に求められる実務ノウハウについての知識を身に着けた会員を“マスター”として認定する制度の創設を、今年度から検討していく」(佐々木会長)。
賃貸不動産管理業の適正化については「他団体は管理業法を求めているが、規制法は必要ない。賃貸不動産管理の標準化を図ったうえで、我々がオーナーの資産をどう管理・維持・保全し、ユーザーの安全安心をどう図っていくかについて、どのような役割を持つべきかという“適正化法”が必要。他団体と胸襟を開いて話し合っていく」(同氏)とした。
また、社会的な問題となっている「民泊」については「歓迎できるものではない。一棟まるごと民泊とするならいいが、個別住戸の民泊運営はどう管理していくか、原状回復をどうするかなど問題が多い。国のガバナンスや自治体の対応が一本化されていない以上、推奨できるものではないし、今のままではいい結果を生まない。ただ、これらの課題が解決できれば、空き家対策としての民泊運営を求めるオーナーには協力する」との見解を示した。