国土交通省は19日、「流通促進に寄与する既存住宅の情報提供制度検討会」(座長:深尾精一氏・首都大学東京名誉教授)の第1回会合を開いた。
今年6月閣議決定された「日本再興戦略2016」に盛り込まれた、既存住宅流通の市場規模を10年間で倍増(2025年までに8兆円)させるための施策の一つ「プレミアム既存住宅(仮称)登録制度」の創設に向け、その中身を検討するのが目的。インスペクションや既存住宅売買瑕疵保険などを活用しながら、消費者が住みたい・買いたいと思える「新しいイメージの既存住宅」を構築、その情報を的確に消費者に伝えることで、市場拡大を図る。
今回の会合では、同制度構築のための論点整理が行なわれた。既存住宅流通のネックとなっている「不安」「汚い」「分からない」を払拭するために(1)品質をどこまで求め、それをどのように検査・証明・保証するか、(2)汚いイメージを払拭するためのリフォームプランやリフォーム経過年数の定義、(3)既存住宅を選ぶための特有の情報、消費者に分かりやすく伝えるための情報開示ルール、商標の付与、制度名称のあり方について検討していく。
「品質の保証」については、既存住宅売買瑕疵保険や不動産流通会社の自社保証などの検査をベースにし、「見た目」のきれいさ等以上に、見えない部分の性能評価などを重視していく。市場や消費者のトレンドを踏まえ、認定要件を引き上げ、既存住宅の質の向上を図るほか、評価にあたっては、品確法や長期優良住宅制度等、既存の制度との連携も図る方針。また、「プレミアム既存住宅(仮称)」という呼称については「最高の品質の既存住宅」という誤解を招く恐れが指摘されていることから、制度名称についても改めて検討する。
同省大臣官房審議官の伊藤明子氏は「古い・汚い・不安が付きまとってきた既存住宅のイメージを変え、流通市場倍増を図りたい。売る側にとってはデッドストックをフロー化でき、買う側にとっても若い人たちがいい住宅を手に入れられる、WINWINの関係が構築できる新たな既存住宅のあり方を検討していく」と語った。
同検討会では、1月23日に開く2回目の会合で不動産流通会社や広告会社などへのヒアリングを実施。同時に制度骨子をまとめ、2月28日開催予定の3回目会合で制度案を示す。