三菱地所(株)は13日、開発を進めていた「大手町パークビルディング」(東京都千代田区)を報道陣に公開した。
同プロジェクトは、皇居に隣接する街区で「大手門タワー・JXビル」「大手センタービル」と共に「大手町ホトリア街区」として開発・整備を進めていたもので、同ビルの竣工により、街区全体が完成した。
今回竣工した「大手町パークビルディング」は、敷地面積約9,300平方メートル。建物は鉄骨造・鉄骨鉄筋コンクリート造地上29階地下5階塔屋2階、事務所・店舗・サービスアパートメント等で構成する複合ビル。延床面積は約15万1,700平方メートル。地下1階を店舗、1階をエントランスとし、2階はオフィスサポートフロア、3~20階をオフィス、21階の機械室を挟んで22~29階をサービスアパートメントとする。
同日会見した同社代表執行役執行役専務の合場直人氏は「こういったビルで働きたい、という願いを込めて、国の進める働き方改革に資する仕掛けを盛り込んだ」と語った。
隣地の大手門タワー・JXビルの敷地と併せて約3,000平方メートルの緑化空間「ホトリア広場」を設け、エントランス内の壁面緑化などで、皇居の緑を大手町中心部へ“つなげる”効果を演出。ホトリア広場では、生物多様性に配慮した樹種構成や巣箱の設置などで、生物の住み処を創出。さらに、無料Wi-Fiや約60席分のベンチを設けて緑に囲まれた空間で仕事ができる環境も整備した。
オフィス部分は、約1,030坪の整形無柱空間を確保。天井高は2,850mmとしてフレキシブルなオフィス環境を整備した。また、皇居に面して約50m、長手方向に約110mのワイドスパンとするなど、開放的な空間を構成した。7階部分には、創業期から一歩進んだ拡大期にある新興企業を対象とした受付や会議室などのサービス機能を付与した小規模オフィス「The Premier Floor Otemachi」を設置。ワンフロアを45~220坪の18区画に区割りし、中小規模オフィス需要に応えていく。
2階のオフィスサポートフロアでは、テナント専用ラウンジや事業所内保育所等を設置。皇居に隣接する立地を生かし、皇居ランナー向けのシャワールームやフィットネスルームなども設けてワーカーの多様な働き方を支援する。
「大手町初の住機能」を打ち出したサービスアパートメント「アスコット丸の内東京」は3月30日に開業。シンガポールに本社を置くアスコット社の最上級ブランド「アスコット」の日本初出店。全室を客室面積38平方メートル以上とし、家具・家電等を備えたゆったりとした空間を提供する。外国人ビジネスマンの中長期滞在をメインターゲットとして、会議室やプール、フィットネスルームなどを設け、職住近接の環境を整えた。
宿泊料金は、3月30日~6月30日の期間はオープニング価格として約39平方メートルのスタジオタイプの部屋が1泊3万5,000円、1ヵ月45万円、約91平方メートルの1ベッドルームプレミアタイプが1泊5万5,000円、1ヵ月75万円。それ以降はスタジオタイプが1泊5万円・月65万円前後、1ベッドルームプレミアタイプが1泊6万7,000円・月93万円となる予定。
竣工時稼働率は約6割。小規模オフィスは18区画中10区画の入居が決まっている。賃料は非公表。合場氏は、「当社が進めている大手町連鎖型再開発による機能更新により、国際ビジネス拠点としての多様な機能が揃ってきた。今後も大手町では再開発が進行中だ。大手町において“国際金融都市”を確立させていきたい」と述べた。