不動産ニュース / IT・情報サービス

2017/6/22

リバブル、ITで重説作成を変革

ソリューション事業本部がホールセール物件の
重説作成に導入した新システムによる現地調査風景。
現地のスタッフが調査している光景がリアルタイムで東京へ送られてくる。
本部スタッフは、その映像やグーグルアースのデータを見ながら、
現地スタッフへを助言や要望を出し、調査精度を高めていく。
調査で得られた内容は、即座に重説本文へと反映され、
調査と同時並行で重説作成が進む

 東急リバブル(株)は、ソリューション事業本部が手掛けるホールセールの売買仲介に係る重要事項説明書作成に、専門チームによるITを活用した新たな業務フローを導入した。

 同社のソリューション事業本部は、同一クライアントから数十件単位の仲介を依頼される「バルク取引」をはじめ、全国各地の多種多様なアセットを取り扱っている。そのため、作成業務の効率化と調査精度の向上を目的に専門チームによる分業化を進めてきたが、担当者が1人でインスペクション(物件調査)から重要事項作成までを行なう従来の方式では平均6~7日を要し、また成果物のチェック体制の複層化を進めても、精度向上には限界があった。そこで、重説作成業務フローの見直しに、昨春から着手。IT機器を使った重説作成の効率化と、複数スタッフが1つの重説を作成・チェックする体制により、調査精度の向上と品質の均一化を図った。

 現在、重説作成を担っている審査部インスペクショングループのスタッフ23名を、3~4名でチーム編成。1つの重説をチームで作成する体制とした。東京・丸の内の同事業本部オフィスに、高精度モニターや重説作成用のPCなどを集約したブースを設置。同所を拠点に重説を作成する。

 あらかじめ、重説作成に係る調査事項などをチームで議論し、調査担当者が現地を訪問。担当者は、専用のカメラとタブレット等を使い、調査のライブ映像をブースへリアルタイムで送信。ブースのスタッフが適時質問や指摘をしながら調査を進め、その場で重説文言に反映させていく。複数スタッフの知見を取り込むことでより深い現地調査を実現し、また単独作業によるヒューマンエラーを排除する。

 遠隔調査と重説同時作成で、出張に係るタイムロスをなくせるほか、同一県内や近隣複数物件の現地調査を集中させることで、重説作成にかかる時間を30~40%削減しながら、調査精度を高める。これまで作成した重説では、6~7日の作成日数を、最大4日まで短縮させる実績をあげている。今後は、現地調査用のIT機器をより高精度なものへとブラッシュアップしながら、業務フローの練度を高め、さらに作成時間の短縮と精度向上を図り、事業本部が作成する年間1,000件余の重説へ全面的に導入していく。

 今回の重説作成フロー見直しを主導した、同社ソリューション事業本部審査部長の橋本明浩氏は「業界では、重説に起因するトラブルの数はここ数十年にわたりまったく減っていない。また、ある種の職人的作業である作成手法も大きな進化がなかった。こうした実態を、ITを利活用したイノベーションで打破したいと考えていた。これまで重説作成の分業化を進め、作成スタッフ個々の調査能力を高めてきたが、重説を1人で作成するスタッフは大変な重圧であり、どうしても事故は防ぎきれない。チームの知を集積することで、より良い重説としながら、現地調査スタッフの負担も軽減し、効率化によって生み出された時間を顧客とのコミュニケーションに充てていきたい」と抱負を述べている。

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重要事項説明書

宅地建物取引業務における重要事項説明に当たって、取引の相手となる当事者に対して交付して説明しなけばならない書面をいう(「重要事項説明」についての詳細は当該用語を参照)。 重要事項説明書には説明を要す...

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