(一財)澄和(理事長:村石久二氏)は27日、東京都千代田区の学士会館において「第2回澄和Futurist賞」表彰式を開催した。
同賞は、「自然と調和し、和む世界を目指す」とする同財団の理念に沿い、平和な未来への想いを持って活動している個人・団体を毎年表彰するもの。2017年は、映画監督・山田洋二氏、建築家夫妻・津端修一氏・英子氏、女優・神田 さち子氏の3組が選ばれた。
山田氏は、1961年の監督デビュー以来、「男はつらいよ」「幸福の黄色いハンカチ」など、人々に夢や希望、幸福感を与える数々の国民的人気映画作品を発表。また、「母べえ」「母と暮らせば」など、旧満州での終戦、引き揚げ体験を基に平和への想いを込めた作品を制作し続けている。
津端夫妻は、愛知県春日井市で、「自然と共生するまち」を理想とし、40年かけて自宅敷地に里山さながらの雑木林を育て、居住するニュータウン内で菜園生活を実践している(修一氏は2015年逝去)。
神田氏は、中国残留婦人の生涯をテーマにした一人芝居「帰ってきたおばあさん」を、21年間、国内のみならず中国のハルビン、長春、大連などで、通算190回以上上演してきた。
受賞にあたり、山田氏は「素晴らしい賞をいただき、名誉に思う。作りたい映画と作らなければならない映画があるものの、なかなか思うようにいかないのが現状だが、この賞をいただいたことで、これからも体の続く限りいい映画を作っていきたい」と語った。
津端(英子)氏は「一生懸命に暮らす、主人のことを第一に考えて暮らす、それだけを考えてこれまで生きてきた。このような賞をいただき驚いている」、神田氏は「ICANがノーベル平和賞を受賞したが、長崎、広島だけでなくこの世界から戦争がなくならなければ平和にはならない。この賞はこの活動をこれからももっとやり続けていけというエールだと思う」と感謝の言葉を述べた。
村石理事長は「グローバルな資本主義経済が猛スピードで進む現代だが、経済ばかりではなく、文化や自然をもっと大切にするべきだ。澄和の理念が社会に浸透していくことで、スピード重視ばかりの価値観が変わっていけばと願う」と挨拶した。
会場には、同財団の活動や村石理事長に所縁のある経済界、政界、スポーツ・文化界、芸能界、メディアなどの関係者が多数参加し、各氏の受賞や財団の活動を讃えるメッセージを発信した。