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2018/1/5

「2018年 年頭挨拶」(各社)

 不動産および住宅会社や関連会社各社のトップは、下記のような年頭所感を述べた。(順不同)

三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏
三菱地所(株)執行役社長 吉田淳一氏
住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏
東急不動産ホールディングス(株)代表取締役社長 大隈郁仁氏
東京建物(株)代表取締役 社長執行役員 野村 均氏
野村不動産ホールディングス(株)取締役社長 沓掛英二氏
森ビル(株)代表取締役社長 辻 慎吾氏
三菱地所レジデンス(株)取締役社長 脇 英美氏
(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 辻 範明氏
(株)大京 代表執行役社長 山口陽氏
日本土地建物(株)代表取締役社長 平松哲郎氏
森トラスト(株)代表取締役社長 伊達 美和子氏
三井不動産リアルティ(株)代表取締役社長 山代裕彦氏
東急リバブル(株)代表取締役社長 榊 真二氏
東京建物不動産販売(株) 代表取締役社長執行役員 加茂正巳氏
大和ハウス工業(株)代表取締役社長 芳井敬一氏
積水ハウス(株)代表取締役社長兼COO 阿部俊則氏
旭化成ホームズ(株)代表取締役社長 川畑文俊氏
積水化学工業(株)代表取締役社長 高下貞二氏
三井ホーム(株)代表取締役社長 市川俊英氏
ミサワホーム(株)代表取締役社長執行役員 磯貝匡志氏
トヨタホーム(株)取締役社長 山科 忠氏
住友林業(株)代表取締役社長 市川 晃氏
(株)西武ホールディングス代表取締役社長 後藤高志氏
ポラスグループ代表 中内 晃次郎氏
(株)アキュラホーム代表取締役社長 宮沢俊哉氏
サンフロンティア不動産(株)代表取締役社長 堀口智顕氏
(株)LIXIL住宅研究所代表取締役社長 今 城幸氏
(株)さくら事務所代表取締役社長 大西倫加氏

■三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏

 謹んで新年のお慶びを申しあげます。

 2017年を振り返りますと、北朝鮮などでの地政学的リスクの高まりや、欧州における不安定な政治状況とは裏腹に、世界経済は底堅い成長を続けました。日本経済は緩やかな回復が続いており、9月には景気拡大局面が戦後2番目のいざなぎ景気を超え、11月には日経平均株価が約26年ぶりにバブル崩壊後の最高値を更新するなど、比較的好調に推移した一年であったかと思います。

 そうした中、当社グループでは、国内外で進めていた事業が昨年も着実に進展しました。国内では「ららぽーと甲子園」、「ジャズドリーム長島」をリニューアル・増床オープンしたほか、秋に3 物件が開業した新ブランド「ザ セレスティン ホテルズ」については、宿泊者から大変ご好評いただいております。また昨年は、このような街づくり事業に加えて、多様化する働き方に対応した法人向け多拠点型シェアオフィス「WORKSTYLING」や、リアル施設とも連携するECサイト「&mall」の開設など、新しいサービスも開始いたしました。

 海外においても米国マンハッタン最大級のオフィスビル開発となる50ハドソンヤードへの参画を決定したほか、欧米・アジアで新たな商業施設、住宅、ホテルの事業機会を獲得し、海外事業の飛躍的な成長という目標に対しても、確かな手ごたえを感じております。

 今年は、ミクストユース、ハードとソフトの融合、周辺地域・施設との共生、そして「経年優化」という当社の街づくりの理念の象徴ともいえる「東京ミッドタウン日比谷」が2月に竣工、3月にグランドオープンを迎えます。2018年3月には現在の中期経営計画「イノベーション2017 ステージII」が最終年度となりますが、まずはその目標を確実に達成し、それを基盤として新しい未来を切り拓いていく年にしたいと思っております。

 事業環境は変化していますが、当社グループは顧客の価値観やニーズの変化を捉え、またICTの活用を徹底的に進めながら、既存事業を進化させるとともに、新しいビジネスを開拓し、不動産業そのものをイノベーションしてまいります。

 最後に、皆様のこの1年のご健勝とご多幸をお祈り申しあげます。

■三菱地所(株)執行役社長 吉田淳一氏

 昨年は、金融緩和が下支えとなり、民間企業設備投資と個人消費が対前年比で緩やかながら上向くなど、堅調な経済成長を辿った。日経平均株価についても年間を通じて上昇基調を維持し、10月には歴代最長の16営業日連続上昇を記録するなど、改めて景気回復を実感する1年であった。米国大統領選挙やBrexitなどによる世界経済への影響が懸念されていたが、結果的に比較的良好なトレンドで、2018年においても東京オリンピック需要も相まって引き続き堅調な経済成長が期待されている。

 オフィス賃貸市場は、東京都心5区の空室率は約3%を維持しており、賃料も2016年から引き続き緩やかに上昇を続けるなど、堅調であった。今年も好調な企業業績や、生産性向上を目的とした事業所の拡張・移転ニーズを背景に、引き続き堅調に推移していくことが予想される。

 分譲マンション市場は、交通利便性を基礎条件として、好環境・大規模・タワー・複合開発等の特徴を備えた物件は堅調に推移している。消費者の物件を選別する目が厳しくなっているなか、「立地の見極め」や「当社グループならではの企画力」がより重要になっていると感じている。

 訪日外国人客の増加は今後も継続することが想定されるが、消費動向は「モノ消費」から「コト消費」へ移行しつつあり、選好が多様化している。当社グループの商業施設・ホテル事業は堅調に推移しているが、こうしたニーズをしっかりと掴み、高品質な商品・サービスを提供していきたい。

 三菱地所は新年より新本社へ移転し、社内コミュニケーションを活性化させ一層イノベーティブな職場環境づくりを目指していく。さらに、新本社を通じ、当社自ら先端オフィスの在り方を考え・発信していくことで、他社にはない当社ならではの強みを発揮するだけでなく、社会のニーズや環境変化を先取りし、グループとしての競争力を一層高めてまいりたい。

■住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年は、戦後2番目に長い景気拡大が続いたおかげもあり、当社グループの足元業績は、ビル事業、分譲マンション事業を中心に業績を伸ばし、最終年度を迎える「第七次中期経営計画」の達成に向け着実に進捗した。

 然しながら、事業環境は刻々と変化しており、この好況が続くとは限らない。全役職員においては、各々が事業環境の変化を見極め、既成概念に捉われることなく、柔軟かつ多面的な発想で仕事に取り組んで欲しい。

 今年も一年間、明るく元気に全社一丸となって頑張ろう。

■東急不動産ホールディングス(株)代表取締役社長 大隈郁仁氏

 新年あけましておめでとうございます。

 今年度は、2020年度までの4ヵ年にわたる新たな中期経営計画の初年度ですが、中期経営計画で掲げたグループの3つの成長戦略「ライフスタイル提案型の街づくり」「循環型再投資事業の領域拡大」「ストックの活用強化」について、順調に進捗しています。

 1つ目の「ライフスタイル提案型の街づくり」においては、代表的プロジェクトである渋谷駅周辺の再開発が順調に進んでおり、渋谷にはベンチャー企業やスタートアップが多数集結しています。

 当社グループの将来のありたい姿である「価値を創造し続ける企業グループ」の実現のためには、このようなベンチャー企業やスタートアップなど外部の有力なパートナーとの連携、いわゆるオープンイノベーションが不可欠です。

 2つ目の「循環型再投資事業の領域拡大」では、再生エネルギー事業や物流、インバウンド対応のホテル事業などの投資機会が拡大しており、積極的にこれに取組んでいきたいと考えています。

 3つ目の「ストックの活用強化」では、特にストック関連のビジネスを行っている東急コミュニティーや東急リバブル、東急住宅リースなどが積極的に事業拡大を図っており、それぞれ業界でのリーディングカンパニーを目指してまいります。

 中期経営計画の成長戦略を推し進めることはもちろんのこと、当社グループの持続的な成長、いわゆるサステナビリティ実現のため、基盤であり事業チャンスともなるESG(Environment=環境、Social=社会、Governance=企業統治)にもしっかりと取り組んでいきたいと考えていますし、各業においても意識して取り組みたいと思います。

 2018年が当社グループにとって一段ギアが上がり、変革・革新の年になるよう、グループ経営を進めてまいりたいと考えています。本年も東急不動産ホールディングスグループをよろしくお願い申し上げます。

■東京建物(株)代表取締役 社長執行役員 野村 均氏

 企業業績が回復基調にある中、政治の安定もあり、国内経済は引き続き持続的な成長が期待される。一方、海外に目を移すと、アメリカを中心に中国、アジア諸国など、世界経済の好調ぶりは日に日に力強さを増している。ただし、地政学的な不安要素もあり、今年も国内外の動向には注視が必要である。

 現在、不動産業界は、国内景気の回復に伴う旺盛なオフィス需要と堅調な住宅ニーズに支えられ、引き続き好調な業績を維持している。また、低金利等を背景とした不動産投資市場も活況を呈しているが、一部には過熱感もみられる。

 当社は、今年、5年に亘るグループ中期経営計画の4年目にあたり、2019年の目標達成に向けた重要な年となる。少子高齢化の進行やライフスタイルの変化など、先行き不透明感が漂う事業環境下では、既存のビル・住宅等事業の更なる創意工夫とともに、新たな海外展開、コンセッション事業等への積極的なチャレンジも必要である。これらの取り組みを通じて、マーケットが変化しても一定の利益をあげられる「稼ぐ力」をさらに強化しなければならない。

 働き方改革が注目される昨今、グループ社員一人ひとりが業務の生産性・効率性を高め、自身の視野や見識を広げる時間を作り、人として一層成長していくことが求められる。個々人の成長を会社業務にも活かし、お客様により良い商品・サービスを提供するプロ集団として、「次も選ばれる東京建物グループ」であり続けたい。

■野村不動産ホールディングス(株)取締役社長 沓掛英二氏

 私は2018年の念頭に当たり、3点申し上げたいと思います。

 第1には多くのエコノミストが予想するように好調な企業業績をベースに適温経済・適温マーケットが継続、堅調な経済・不動産市況が続くと考えられます。

 世界経済では欧米の金融政策の正常化の進展、原油・金利・為替の安定が予想されます。それらを受けて日本経済は、結果として堅調な株価や資産効果、賃金上昇、デフレからの脱却の方向性が強まってくるものと思われます。

 この環境認識のもと我々はしっかりと目標設定を行い、ビジネスに戦略的に向き合っていきたいと思います。

 2番目は安定した自民党・安倍政権のもとで日本が構造転換に向かう機運が強まり、様々な法案、政策が決定され、進捗していくと考えられます。

 IR法案をはじめ、2019年10月からの消費税のアップ、2019年5月からは、平成から新たな元号のもとで新しい時代が動き出します。そして、19年のラクビーワールドカップ、20年のオリンピック・パラリンピックへの期待値は更に高まるものと予想されます。また、長期的にポストオリンピックに関しての不安と議論の高まり、少子高齢化や課題大国と言われるような、様々な202X年問題が活発に議論されると想像されます。

 私たちは、イベントはもとより、政策や制度変更のみならず、その背景や構造的な変化、それらが与える、経済やライフスタイルへのインパクトに、しっかり目を向け準備と対応、ビジネスへの落とし込みをしていく必要があります。

 3番目はリスク認識です。まず、大きなリスク要因の一つは、北朝鮮を中心とした地政学的リスクとトランプ政権の運営に象徴されます。また金融緩和のもとで、世界経済が同時に拡大し成長した昨年に比べ、アメリカ経済における金利上昇、欧州経済の堅調な回復は、いわゆる金融緩和の出口政策に関しての議論がより進む環境となり、FRB、欧州共に難しいかじ取りを強いられ、大きなリスクトリガーとなりえます。世界は日本の変化よりかなり速いスピードで動いていると自覚すべきです。

 2018年、野村不動産グループは「社会の変化や将来を見据えた変化対応型の企業」である意識を更に強く持ち中長期経営計画フェーズ1の締め括りの本年、目標達成に向けて、着実にて前進したいと考えます。

■森ビル(株)代表取締役社長 辻 慎吾氏

 2018年は森ビルにとって「変革の年」だ。

 これまでの数年間で森ビルの未来にとって重要な大規模都市再生プロジェクトのレールを敷き、企業ブランドやヒルズブランドを強化してきた。ここからは、かつて経験したことがない数の大規模プロジェクトを現実の都市として生み出すべく、具体的かつ詳細に詰めていく段階だ。

 「虎ノ門ヒルズエリア」は、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」の実現に向けて重要な局面を迎えている。「ビジネスタワー」と「レジデンシャルタワー」の建設は順調に進捗しており、「ステーションタワー」はいよいよ今月都市計画決定を迎える。

 一方、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」は、2019年の着工を目指してラストスパートだ。立地、地型、地権者数など、いずれをとっても大変難しいプロジェクトであり、間違いなく森ビルにしかできないプロジェクトである。「六本木5丁目プロジェクト」も、引き続き計画と方針の策定に取り組んでいく。

 次のステージに飛躍するためには、今までと同じ考え方や仕事のやり方をしていてはいけない。AIやバイオなどの技術進歩や熾烈化する競争など、我々を取り巻く環境も年々変化のスピードを増している。これほど変化と競争の激しい時代に、変革することなく同じポジションにとどまり続けることは不可能だ。

 森ビルらしい思想、ビジョン、姿勢はこれまで通り貫きつつ、今年は仕事のやり方や体制など、いろいろなことを大胆かつ柔軟に変革し、次のステージを目指していく。

 社員ひとりひとりにも、自分自身の変革を図ってもらいたい。都市づくりで一番大事なのは人である。

 強い「個」の集合体こそが、強い「組織」だ。今の森ビルには、強い「個」として成長する場とチャンスがたくさんある。臆することなく困難なことに挑戦し、チャンスを活かして次世代リーダーへと成長してほしい。

 今日から、次なるステージに向けた「変革の年」が始まる。今年もますます森ビルらしく、新たな地平に向かって共に走り抜こう。

■三菱地所レジデンス(株)取締役社長 脇 英美氏

 2017年の分譲マンション市場は、堅調・軟調の二極化が鮮明となる中で、交通利便性を基礎条件として、好環境・大規模・タワー・複合開発等の特徴を備えた物件を中心に堅調に推移し、当社においては3,300戸超を供給した。

 直近で集客を開始した「ザ・パークハウス 恵比寿南」「グレーシアタワー三鷹」「ザ・パークハウス オイコス 赤羽志茂」などの新規物件の引き合いも順調で、都心郊外を問わず立地とニーズに適う物件を提供すれば堅調な需要が存在することを感じている。

 資産形成コンパクトマンション事業として展開している「ザ・パークワンズ」ブランドでは、好評裏に完売した第1 弾物件に続き、今年は同ブランド初の港区での供給となる「ザ・パークワンズ 芝公園」を販売する。既に反響を多く頂いているが、今後も様々なニーズに応える商品を提供することで、消費者に選ばれ続ける存在となることを目指す。

 2018年度が2年目にあたる三菱地所グループの中期経営計画では、「時代の変化を先取りするスピードで、競争力あふれる企業グループに変革する」ことを目指している。

 昨年は、お客様のニーズを商品企画にダイレクトに反映させる為、職制や業務フローの見直しを行ったが、グループとして成長しバリューチェーンを強化すべく、住宅事業各社と密に連携しながら、今後の事業戦略を策定し、変革への歩みを進めていく。

 「一生ものに、住む。」というモノづくりにおける当社の原点に今一度立ち返り、「ザ・パークハウス」ブランドの供給・サービスの提供を通じて、引き続き、魅力的なまちづくりに貢献していきたい。

 また、国内分譲住宅事業のみならず、賃貸マンションブランド「ザ・パークハビオ」の開発、リノベーション事業、タイでの住宅事業が10,000戸を突破した海外事業、再開発事業や建替え事業など、フルラインナップで積極的に事業展開を進めていく。

 2018年は、元号が変わる2019年という節目を目前に控えた年である。本年は三菱地所グループの中期経営計画同様、時代の変化を先取りしながら、より競争力あふれる企業グループへの変革を目指す中で、新しい時代を迎えるための準備の年としたい。

■(株)長谷工コーポレーション代表取締役社長 辻 範明氏

 新年明けましておめでとうございます。

 昨年を振り返ると、2012年12月から続いているとされる景気回復局面が高度経済成長期の「いざなぎ景気(1965年11月~1970年7月)」を超え、戦後2番目の長さとなりました。少子高齢化や人口減少に伴う国内市場の縮小などにより景気回復の実感が乏しいとの声もありますが、五輪関連工事なども含めて建設投資額は高水準で推移しており、長谷工グループにとっては良好な環境だったと思います。

 マンション市況も、立地・商品・価格等の条件で売れ行きにばらつきがあるものの、新規供給戸数は概ね昨年並みとなっており、全体的に堅調だったと思います。その中でも、夫婦共働き世帯やシニア世代などのニーズをしっかり捉えたマンションについては、販売も順調だったと思います。

 このような状況下、当社の連結経常利益は16/3期に673億円、17/3期に888億円、そして18/3期も950億円(予想)と3期連続の最高益を見込んでおります。単体の受注についても期初目標の4800億円達成のための材料も揃い、さらに受注の先行指標であるオプションも高水準で推移しております。これは、営業、技術が一体感をもって業務に取り組んでいるからこその結果だと思います。

 今年のキーワードは“謹厳実直”とします。辞書には「きわめて慎み深く、まじめで正直なさま」と記載されておりますが、ここ数年の好業績は、謹厳実直に一人ひとりが真摯に業務に取り組み、積み上げてきた結果が形として現れたもので、皆さんを大変誇りに思います。また、昨年は誰もが知っているような大手企業の不祥事がたびたび報じられました。決して他人事ではなく、これらを他山の石とし、過信・慢心などによる安全・品質の問題やサービス低下がおこらないよう、謹厳実直に、最良の品質と最善のサービスを提供するための絶え間ない努力を怠らず、取引先・顧客・協力会社との信頼関係を構築していく必要があります。

 昨年、長谷工グループは創業80周年を迎えましたが、次の節目の90周年、100周年と発展し続けるために、常々「大企業ではなく、大いなる中小企業を目指そう」と言っています。「経営方針・経営状態に関心をもち、その上で自分のやるべきことを考える」、「組織・会社の壁を越えて、グループ全体のために行動する」、こうしたことを全グループ社員が実践できれば創業100周年への道が拓けてくると考えています。大きく時代が変わり始めていることを実感しています。新しいことにも積極的に挑戦していきましょう。

 最後に、忙しい状況が続いていますが、心身の健康管理に十分に留意し、皆が明るく元気な毎日を過ごせるよう、今年一年も頑張っていきましょう。

■(株)大京 代表執行役社長 山口 陽氏

 昨年、製造業で品質への信頼を裏切る不祥事が発生し、交通機関でも人命に関わる重大な事案が発生しました。我々にはお客さまに安心・安全を提供する責任があります。だからこそ、業務を常に見直し、その品質に磨きをかけなければなりません。

 また、テクノロジーの進展は、新たなビジネスを生み出す一方、既存ビジネスを急速に衰退させる可能性があります。不動産業界にとっても例外ではなく、我々もスピード感をもって新たなテクノロジーを取り入れたいと思います。

 世の中は想定以上のスピードで変化しており、我々も変わっていかなければなりません。昨年、ネット通販社会にいち早く対応した宅配ロッカー「ライオンズマイボックス」が脚光を浴びましたが、お客さまのニーズやウォンツを具現化するアイデアが次々と生まれる企業カルチャーを築いていきましょう。

 そして、常に変化しながら成長を続け、最高のパフォーマンスをお客さまに提供するとともに、日本の社会的課題解決に貢献する企業を目指しましょう。

■日本土地建物(株)代表取締役社長 平松哲郎氏

 不動産市況は、不動産投資市場への多様な資金流入が続くなか、不動産価格や工事費の高止まり、仲介・流通件数の減少傾向、オフィス賃貸市場の2018年問題、分譲住宅における需要変調の兆し、用地仕入の厳しさなど、東京五輪に向けた期待感や足元の順境のみをもって楽観視はできない。

 今期の基本方針は「中期経営計画達成への強い意識と長期ビジョンを見据えたプラスαの創出」として、将来の成長を見据えた更なる基盤強化に取り組む。収益力はもとより組織力や個々人の領域を一段高い水準へ向上・拡大させ、成長の礎となる事業基盤や収益基盤をより強固なものにしていきたい。

 我々役職員は、目標達成に拘りをもち、「生産性」を強く意識することに加え、「現状維持は衰退の始まり」と肝に銘じ、知恵を絞り、仲間と一緒に考え、10年先、20年先の大きな成長の種となるイノベーティブな取り組みに「挑戦」を積み重ねていく。

■森トラスト(株)代表取締役社長 伊達 美和子氏

 昨今、企業の経営戦略が規模の追求から新たな価値の創造へと転換し始めたことに伴い、企業のあるべき姿が変化してきています。また、昨年は訪日外国人旅行者数が過去最高を記録し、日本の観光市場が一層拡大するなど、さまざまな環境の変化により、オフィスやホテルに求められる価値観も変わりつつあります。このような時代の変化に適応するため、新コーポレートスローガン『Create theFuture』を策定し、各事業においても新たな戦略を掲げて推進するなど、森トラストとして、新たな一歩を踏み出した年になりました。

 不動産事業では、新たなオフィス事業戦略『Creative First』を掲げ、2020年の完成に向けて建設中の「東京ワールドゲート」に加え、2024年度完成予定の「(仮称)赤坂二丁目プロジェクト」が始動しました。2020年東京五輪を通過点と捉え、東京の国際競争力強化に資する次世代を見据えたビジネス拠点づくりを推進しています。

 ホテル&リゾート事業では、『ラグジュアリー・ディスティネーション・ネットワーク』の創造を掲げ、日本各地の豊富な魅力をつなぎ、富裕層のニーズを満たす周遊ルートの形成を目指しています。東京の虎ノ門と銀座での「エディション」、沖縄・宮古諸島での「イラフSUIラグジュアリーコレクションホテル沖縄宮古」、さらに沖縄・瀬底島では「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」と中長期滞在型のタイムシェア・リゾートを運営する「ヒルトン・グランド・バケーションズ」を誘致するなど、立地に合わせた様々なバリエーション展開を行い、日本の観光先進国化に貢献すべく、インバウンド需要の受け皿拡大を進めていきます。

 投資事業では、「城山トラストタワー」において、オープンイノベーションサポート機能を充実させたコミュニティスペース「dock-Toranomon」を開業すると同時に、「スタートアップベンチャーエコシステム」の構築、CVC活動の推進、VC出資を3本柱とする新イノベーション投資戦略が始動しました。総額200億円の投資枠を設け、不動産に関連する「Re-Tech」や観光・ホテルに関連する「Hospi-Tech」を重点投資先とし、森トラストグループのオープンイノベーションを推進しています。

 本年は、2020年以降まで見据えた複数のプロジェクトを着実に推進するための『自律・分散・協調』型の組織基盤を整える年となります。各事業を担う、クリエイティブかつ生産性の高い人財育成を目指し、業務環境の整備に一層注力し、プロアクティブな組織の構築を目指してまいります。森トラストグループは、新たなスローガンの下、社会の潜在ニーズを捉え、時代の変化に適応しながら、柔軟な発想とアプローチで新しい未来の創造を目指してまいります。

■三井不動産リアルティ(株)代表取締役社長 山代裕彦氏

 年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年の日本経済は、米国との金利差拡大の影響を受けて円安で安定した為替相場と、堅調な世界経済がもたらす外需による好調な企業業績が、株価の上昇や企業の設備投資に繋がり、昨年10月の有効求人倍率が1.55倍と高水準になるなど、緩やかな回復基調となりました。

 不動産仲介マーケットは、上向きになる日本経済のもと、住宅ローン金利が低水準で継続し、都心部での好調を維持しながら、郊外、地方への波及が進みました。当社においても売買仲介取扱件数が前年を上回り、物件価格も上昇し、良好な業績をあげることができました。

 駐車場事業においては、運営管理台数が22万台を突破し順調に拡大しました。また、カーシェアリング事業は、昨年4月にカーシェアリング・ジャパン株式会社を吸収合併し、首都圏・関西を中心に駐車場事業との相乗効果で事業を拡大しました。

 人口減少や少子高齢化などの社会の変化により、不動産との関わり方が多様化しています。当社は、社員一人ひとりが、お客さまの高度で複雑な課題と誠実に向き合い、プロとしての知見により、最適なソリューションのご提供に努めてまいります。また、デジタル活用が進む中で、ICT技術を活用して、多様なニーズに対し多くの物件から最適な情報をリアルタイムにご提供する仕組みや、当社とのやりとりを円滑に進めることができる新しいコミュニケーションツールをご提供してまいります。駐車場やカーシェアリングの分野においては、デジタル活用を進めることで、お客さまの利便性を向上させる先進的な取り組みやサービスのご提供に積極的に挑戦してまいります。

 当社は“すまい”や“くらし”といった事業フィールドで、人や社会に必要とされるような新しい価値を常に生み出し、質の高いサービスを提供してまいります。

 最後になりましたが、本年も皆さまの一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、本年が皆さまにとって実り多い一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

■東急リバブル(株)代表取締役社長 榊 真二氏

 昨年は、北朝鮮情勢の緊迫化など不安な出来事もありましたが、低金利下での世界的な好景気、株価の上昇が継続し、国内の不動産流通マーケットも概ね堅調に推移いたしました。

 このような外部環境の中、当社では2020年度までの新たな中期経営計画を策定し、計画初年度の活動をスタートさせました。各事業とも概ね順調に推移するとともに、複数部門での協業機会も増加し、当社のありたい姿として、新たに掲げた「不動産情報のマルチバリュークリエーター」に向けた取組みにも着手することができました。全社が一つのベクトルに沿って進んでいることを実感しています。そして、こうした時こそ慢心することなく、社員一人ひとりが自身の役割を認識して行動していくことが重要です。

 業界を取り巻くビジネス環境は、IT、AI、ロボティクスという新しい技術の革新により、変わっていく可能性があります。変化の激しい時代には、我々自身も変わることを恐れずに、常に新しいことに取組み、進化していく必要があります。既存サービスに新しい価値を取り入れることで、消費者の評価を得て成功している事例もあり、それらから学ぶべき点も大いにあります。既成概念に囚われない価値を、常に創出していくことは、多様化するお客様ニーズに応え、お客様評価の向上とブランド価値の向上に繋がっていくものであり、常に心がけていかねばなりません。

 今年も、外部環境の風を上手く掴んで、業績を伸長させ、独自のビジネスモデルをもった不動産流通企業へと、さらに進化させていきたいと思います。

■住友不動産販売(株)代表取締役社長 田中俊和氏

 明けましておめでとうございます。

 昨年の不動産流通市場は、価格が上昇しつつも、回復の続く景気や税制、低金利の追い風により好調を維持し、当社の上期仲介実績は 件数、取扱高、手数料の全てで中間期での過去最高を更新いたしました。この4月に最終年度を迎える中期計画達成のためにも、残り三カ月間、気を引き締めて一緒に頑張っていきましょう。

 私たちをとりまく経済環境は、かつてない早さで変化しています。我が業界もニュースや新聞等で不動産関連のニュースを見ない日が無いほど注目されており、一年前は新鮮だったことが、今や既に当たり前になっている程のスピードです。今までやってきたことを漫然と続けていたのでは、取り残されてしまいます。

 そこで、今年は「自ら率先して、新たなトライをする年」としたいと思います。失敗を恐れて現状でとどまっていたり、言われたことをやるだけではなく、社員一人一人が、お客様のニーズを新たな視点で拾い上げ、次に繋がる一手に「トライ」して、お客様満足度の更なる向上をはかり、変化の激しい環境を勝ち抜いていきましょう。

■東京建物不動産販売 代表取締役社長執行役員 加茂正巳氏

 昨年は、「東京建物グループ全体のCRE戦略支援窓口」として、CRE営業を一層推進したことや、アセットソリューション機能を活用した取得・売却等により、グループシナジーを最大限発揮するためのハブ機能を果たし、新たな事業機会を創出することが出来た。

 本年は、東京建物グループの中期経営計画の最終年度(2019年度)の目標達成を確実なものとするために、当社の独自性のある機能を更に拡充して収益機会の獲得を図ること、グループシナジーを更に追求することに注力し、グループ全体の機能を活用した収益機会を拡大していきたい。

 また、東京建物グループの最前線として、顧客ニーズの変化やシステム技術の進歩に迅速に対応し、顧客視点に立った提案営業をすることで、顧客との信頼関係構築を目指していきたい。

■大和ハウス工業(株)代表取締役社長 芳井敬一氏

 平成三十年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年の日本経済は、企業収益の改善により緩やかに拡大しましたが、一方で個人消費の盛り上がりに欠け、近隣諸国の動向により世界情勢が混沌とするなど、先行きの見えづらい状況で推移しました。住宅業界では、年前半は賃貸住宅の需要に支えられましたが、戸建住宅に関しては依然、力強さに欠く厳しい状況が続きました。

 そのような中、皆さんの弛まぬ努力により、「第5次中期経営計画」の最終年度計画を上方修正するなど、売上高4兆円に向けた歩みを着実に進めることができました。

 新体制での新年を迎え、持続的発展とさらなる成長を実現するために、役職員全員にお願いしたい事が4つあります。

 一つ目は各事業でのシェアナンバー1の奪取です。当社は住宅・建設・不動産業界においてトータルでの売上高は1位ですが、各事業でナンバー1はありません。そのため、今一度、原点に立ち返り、世の中に必要とされる商品やサービスの提供とお客様目線に立った商品開発を他社に先んじて取り組み、首位を奪取してください。特に、役職員全員が「住宅営業員」であるという気概を持ち、コア事業である住宅事業を中心に全事業部門で改革を推し進めてください。

 二つ目は行動第一主義の徹底です。近年は事業規模の拡大に伴い、お客さま情報を数多くいただけるようになりました。しかしながら、本当に肝要なのはお客さまのもとに直接出向き、お客さまのご要望をお聞きし、夢を叶えることです。「頭でっかちで足腰の弱い人間」にならないよう、「熱意と足」で受注に結びつけてください。

 三つ目は海外事業の拡大です。2017年度の海外売上高は2,000億円、2018年度には2,500億円超を目指して事業に邁進していますが、その目標達成には人財が不足しています。そのため、皆さんはいつでもすぐに海外で活躍できるよう、日頃から「精神力」「経営感覚」を養うことはもちろんのこと、「日常英会話の能力」「世界中で活躍できる姿勢・意欲」を持ってください。

 四つ目が人財育成です。当社は2055年に創業100周年を迎えますが、その時に社長としてこの場に立っているのは、今の若手社員かもしれません。創業者の夢の実現に向けて、「このメンバーならば創業100周年に売上高10兆円を達成できる」という人財を育ててください。

■積水ハウス(株)代表取締役社長兼COO 阿部俊則氏

 新年明けましておめでとうございます。

 今後、数年を見通しますと、消費増税、東京五輪開催に向けたインバウンド需要の拡大等、国内経済、住宅産業を取り巻く事業環境は大きく変化するものと考えられます。そうした変化への備えを盤石のものにしてまいります。

 近年、ESG経営に注目が集まっており、「環境経営」「社会性向上」「ガバナンス」が企業価値を測る重要な材料になると考えております。

 当社はネット・ゼロ・エネルギー・ハウス「グリーンファースト ゼロ」の普及に取り組み、既に戸建住宅に占める割合は74%を超え、同時に省エネリノベーションにも注力しています。これらを通じて、温暖化防止だけでなく、ヒートショックなどの家庭内事故の予防や健康寿命の延伸にもつなげます。また、当社は2040年までに事業活動に使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指し、世界の主要企業が参画する国際イニシアチブ「RE100」に加盟しました。

 当社の強みである「技術力」「顧客基盤」「施工力」の“中身”を改めて見直すと「働き方改革」と大きく関係しています。企業の成長は、それを支える人の成長なくして成り立たちません。お互いの成長、みんなの幸せのために「働き方改革」はあると考えています。労働時間や労働生産性という表面的な数字だけに目を奪われず、「わくわく ドキドキ 心躍る職場づくり」をテーマに掲げて、本年も強力に「働き方改革」を推進してまいります。

 積水ハウスグループは、2017年3月、「BEYOND 2020に向けた“住”関連ビジネスの基盤づくり」を基本方針に、2020年を最終年度とする第4次中期経営計画を発表いたしました。「請負型」「ストック型」「開発型」そして新たに「国際事業」を加えた4つのビジネスモデルを軸とし、地球温暖化や高齢化などの社会課題に対応。また成長戦略の核としてインバウンドに対応するホテルの建設など、新たな事業領域の拡大にも、グループ一丸となり積極的に取り組んでまいります。構造改革やグループ連携強化により、各事業の収益基盤が確立してきた結果、利益成長を4つのビジネスモデルでバランスよく支える体制が整い、第4次中期経営計画初年度も過去最高の決算が視野に入ってきました。本年もさらなる成長へ向けて前進する所存です。

■旭化成ホームズ(株)代表取締役社長 川畑文俊氏

 昨年の国内景気は緩やかな回復基調が続き、加えて低金利政策の継続などによって、住宅購入検討者にとって有利な取得状況が続きました。一方で賃貸住宅着工数が減少に転じ、戸建て住宅着工も低位な水準にとどまっています。加えて次の消費税増税後の市場縮小の到来も予想され、大量の既存住宅ストックの更新が停滞する事態が強く懸念されます。

 このようななか当社は、都市部における建替えを中心とした建築請負・不動産・リフォームなど中核事業領域の拡大に注力しました。加えて中高層建築や海外・シニアビジネスなど新規事業領域において業務提携や新技術の開発など積極的な取り組みを展開しました。ロングライフ住宅の提供を目指してきた当社は、今後も日本の住宅ストックの質的改善に向け、時代の要請に応じた事業の在り方を積極的に追求して参ります。

■積水化学工業(株)代表取締役社長 高下貞二氏

  2018年、世界経済は引き続き堅調とみられるが、2019年以降、国内での消費税増税後の需要反動減やオリンピック需要の剥落、そして世界経済の調整局面が想定されることをふまえると、景気拡大のラストステージだ。

  積水化学グループにとっては、2018年度は中期経営計画「SHIFT 2019 -Fusion-」の中間年であり、核となる年。中計に掲げる「未来への成長投資」と「たゆまぬ構造改革」を進めるとともに、ESG視点で経営基盤を磨き上げ、新次元の成長に向け「SHIFT」を加速する年にしたい。Accelerate the SHIFT!

 具体的に取り組むべきことは3つ。

1.働き方改革

 「業務改革」「人事制度改革」「就業環境改革」の3つの改革に取り組み、限られた時間で成果を最大化する生産性の高い働き方を追求する。そのために今後2年間で100億円を投資していきたい。これにより積水化学グループが目指すダイバーシティマネジメントを推し進める。

2.現場力の磨き上げ

  積水化学グループの「際立ち」は、技術力であり、製品力であり、現場力だ。人手不足や品質問題など、いま、世の中で現場力が試されているが、経営幹部と現場がFusionし、一緒になって現場力を磨き上げていきたい。

3.ガバナンス強化

 M&Aなどで我々の仲間がグローバルに増えている。各地域の文化や歴史をふまえ、積水化学グループのCSR、ESGを世界のグループ会社の隅々に行き渡らせ、涵養していく。

■三井ホーム(株)代表取締役社長 市川俊英氏

 平成30年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

 昨年の国際経済は、地政学的リスクや中国・アジア新興国の経済の先行き、金融資本市場の変動等に対する警戒感は存在したものの、全体としては緩やかな回復基調となりました。

 国内景気も好調な企業業績を背景に緩やかながら回復基調が継続し、株価についても、概ね上昇傾向で推移しました。

 このような状況下で個人消費も底堅く推移する一方、注文戸建て市場では未だ住宅に対する需要は力強さを欠いた状況に終始し、賃貸住宅市場においても、空家問題や将来への供給過剰懸念などによるマインド低下の影響が生じたことで、全般的に厳しい受注環境となりました。

 この様な事業環境の中、当社は強みであるオーダーメイドの家づくりを引続き推進し、ブランド力の向上に努めるとともに、優れた建物性能を訴求する事で、更なる競争力の強化を図りました。

 本年は、当社の強みである「デザイン力」に更なる磨きをかけるとともに、高い耐震性や耐久性、高気密・高断熱などの優れた基本性能をより一層訴求し、お客様の多様なニーズに応えていくよう努めてまいります。

 また、木の持つ様々な優れた特性から「木造建築」に対する評価は高まっており、住宅以外の医療・福祉・文教・商業施設等の木造大規模建築の拡大が進んでいます。更にはツーバイフォー工法における2時間耐火構造の大臣認定取得を経て、木造建築は新たなステージを迎えつつあります。新たな技術の研究や性能の進化を通じて、地球環境と人に優しい木造による大規模施設系事業の一層の拡大に努めてまいります。

 皆様の引き続きましてのご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

■ミサワホーム(株)代表取締役社長執行役員 磯貝匡志氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年10月、当社は創立50周年を迎えました。また、トヨタホームとの新たな資本業務提携の締結や新中期経営計画「First Step For NEXT50」の策定など、これからの50年を見据えた取り組みも進め、社員一同、未来に向けて気持ちを新たにした一年でした。

 これからの住宅業界は、気候変動リスクへの対応や暮らし方の多様化、少子高齢化といった課題への対応が必要不可欠です。当社は、これまで培ってきたパイオニア精神や「住まいを通じて生涯のおつきあい」という経営理念、いわば会社のDNAを大切にしながら、変化する未来に向けて変わり続けていく所存です。その中で、ZEHをはじめとした環境配慮型住宅や新しい住宅取得スタイル「ミサワライフデザインシステム」の普及促進、AI・IoTを活用した暮らし方の提案、コンパクトシティ型不動産開発の促進など、さまざまな取り組みを進めてまいります。

 当社にとって大きな節目である創立50周年を機に、これまで多くの方々からいただいたご支援にあらためて感謝すべく、今年の年頭標語は「感謝」といたしました。これからも社会に役立つ企業であり続けるために、感謝の気持ちを大切にしながら、先端技術を活かした商品開発や街づくりで貢献してまいります。

■トヨタホーム(株)取締役社長 山科 忠氏

 2018年の住宅市場は翌年の消費増税を控え、一定の駆け込み需要が見込まれるものの、その後の反動を考えれば、引き続き、厳しい環境が続くものと予想されます。長期的には人口減により新設住宅着工戸数の減少は避けられず、住宅会社は今後、生き残りをかけた競争を強いられることになります。

 私どもトヨタホームはブランドビジョン「Sincerely for You~人生をごいっしょに。~ 」を掲げ、お客様に“三つの安心”をお届けすることで、お客様の信頼を獲得し、この先の難局を乗り切ってまいります。

 三つの安心とは高い品質に裏打ちされた「建てるときの安心」、長期保証による「建てたあとも安心」、そしてトヨタグループとしての企業力による「支える安心」です。

 トヨタホームは「三つの安心」とともに常にお客様に寄り添い、良い住まいづくりに取り組む所存です。

 また、当社は中期計画をスタートさせ、CSの向上とともにブランド力、商品競争力、住関連事業の強化に取り組んでおります。本年は経営基盤を一層強固にし、多様化するお客様のご要望にお応えできるよう努めてまいります。

 社内においてはTQM活動を強化します。TQM活動を通じ、お客様に満足いただくための仕組みを構築し、そして仕事のプロセスの明確化、人材育成等について、全社横断的な改善活動を進めていきます。TQM活動は全員参加が原則です。全社一丸となって、お客様の満足のために、何ができるか考え、実行に移してまいります。

■住友林業(株)代表取締役社長 市川 晃氏

 明けましておめでとうございます。ご家族ともども健やかな新年を迎えられたことと思います。

 年始式に当たり、ひとことご挨拶申し上げ、皆さんと気持ちをひとつに、この一年にチャレンジしていきたいと思います

(中略)

【今後の社会情勢と当社グループが向かうべき方向】

 さて、今年も国内外の政治、経済の情勢は混沌としており、新たな変化が生まれて来ることを覚悟しておかねばなりません。しかし、変化は今に始まったことではなく、いつの時代においても予想もしない事業環境の変化が数多く起きています。

 ダーウィンは“生き残る種とは、最も強いものではなく、最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。”という名言を残していますが、まさしく、いかなる時代、いかなる環境にも的確に対応していくことこそが、持続可能な企業の姿であるといえます。

 今、我々を取り巻く社会環境は大きな転換期に入ってきました。特にIOTを始めとするテクノロジーの進歩は予想を上回る速度で進んでおり、第四次産業革命といわれるように、産業構造や社会システムの仕組みそのものが変わろうとしています。また、多様な価値観が国境を越えて交錯する一方で、地球が抱える問題に世界の注目が集まり、投資家もESG(Environment,Social,Governance)への関心を高め投資行動を変えようとしています。

 このような状況下で注目されているのがSDGs(Sustainable Development Goals)という取り組みです。日本語に訳すと「持続可能な開発目標」となりますが、これは国連で採択された、途上国にも先進国にも共通する世界的に取り組むべき社会課題のことで、17の目標が定められており、民間企業や市民社会も実施主体として位置づけられています。つまり、社会問題解決のためには政府だけでなく、企業や市民が自らの課題として取り組むことで初めて解決できるというものです。国により法律や制度、経済状況等の違いはありますが、企業として、事業活動を通して社会問題の解決に繋げていくというものであり、この考え方はまさしく1691年の創業以来引き継がれてきている住友の事業精神と1894年の大造林計画以来脈々と受け継がれている住友林業グループのDNAと重なるものです。

 企業活動は収益を伴わなければ成り立たないものですが、大切な事はビジョンであり事業精神です。SDGsはその方向性を示したものであるといえます。当社グループは住友の事業精神の下、これまで同様、社会やお客様の課題解決に向けての事業を推進していきますが、大切な事は社員一人ひとりが我々の事業の持つ意義と自分の仕事の重みをしっかりと認識する事です。その為には、我々の仕事は誰のためにあるのか、何のためにするのかという事を常に意識しておかねばなりません。

 日々の業務を行う中で迷う事があれば、「お客様にとってどうか」、「社会にとってどうか」、ということを考えてください。そうすれば、おのずと判断が出来るはずですし、自信を持って仕事を進めていけると思います。仕事はマニュアルだけで出来るものではありません。皆さん一人一人の判断の積み重ねで進められていくものです。

 そのためには、仕事が「無機質」にならないようにしてください。「無機質」とは自分の仕事の意味を深く考えない、あるいは仕事に心がこもっていないと云う事です。仕事に対して意欲を持つこと。上司からの指示待ちで仕事を進めるのではなく、自らがイノベーション、改善、改革を推し進めるという気概が必要です。心をこめた仕事は輝きを放ちます。そして、その基本となるのは「お客様のために」という視点です。全てはお客様の満足と笑顔、そして有難うの言葉を頂くためにあるという事です。直接お客様と接する人も、間接部門にある人も、製造現場に携わっている人も、全ての仕事はお客様に繋がっています。

 だからこそ、皆さん一人ひとりの仕事に輝きを持たせていただきたいと思います。

【中期経営計画について ~中計目標必達と次のステージに向けた準備~】

 今年は3年前に発表した中期経営計画の最終年度を迎えます。この計画で掲げた数値目標を最低ラインとして必達を目指します。また同時に、持続的な成長が実現できるよう、引き続き収益源の多様化を進めていきます。

 今年は、ステークホルダーにコミットした目標達成を確実なものとし、次期中期経営計画と次のステージを見据えた施策を展開する重要な年となります。

 昨年11月に対外発表した今期の業績予想は、売上高は前期比9.6%増の1兆2,200億円、数理差異を除く経常利益は1.2%増の535億円です。

 好調な海外事業を背景に全体業績は比較的堅調に推移していますが、国内においては、住宅関連事業は厳しい状況にあるといえます。

 住宅市場の停滞は、消費税増税や景気動向だけではなく、人口動態や生活スタイルの変化、さらには、お客様のニーズの多様化が絡み合っていますが、市場がなくなっている訳ではありません。外部環境を分析し、やるべき事をすべてやり切れているかということを確認して下さい。そして、全ての戦略の基本を「お客様最優先」においてください。業績とはお客様の満足の積み重さなりの数字とも言えます。これは全ての部門に意識してもらいたいことです。

 今期も残すところは第4四半期のみとなりました。ラストスパートをかけると共に、来期の中期計画を確実にし、その次のステージに向けてのチャレンジを重ねる年にしたいと思います。

【今年取り組むべきこと ~本物の力をつける~】

 また、今年は危機に備える年として、地力をしっかりとつけることにも取り組んでいきたいと思います。

 国内外の状況は多くの不安定要素に囲まれており、リーマンショックを引き起こしたサブプライムローンのように全く予想のつかないところが震源となって世界経済に大きなインパクトを与える事も考えられます。

 変化に対応するということは危機を乗り切るということでもあります。

 当社グループは過去においても幾多の危機を克服してきました。今後も、いかなる状況変化にも対応し、いかなる危機も乗り越えていかねばなりません。そして、そのために必要となるのは地力即ち“本物の力”です。

 事業領域や業績は拡大していますが、そこに本物の力が備わっているかという事を、我々は常に検証していかねばなりません。

 “本物の力”をつけるために必要なことは、しっかりと考え、しっかりと汗をかくこと。即ち、基本に忠実に日々努力し、実行を積み重ねていくことです。

 ボーイスカウトのスローガンに“備えよ、常に/Be Prepared”という言葉がありますが、我々一人ひとりがこの先の未知なる危機に備えて、たゆまない努力とともに“本物の力”の向上を図っていきたいと思います。

(中略)

 住友林業グループは、今や「森林」や「木」をバックボーンに様々な生活関連事業を手がけるユニークな企業グループであり、その発展の可能性は無限に広がっていますが、その未来を作っていくのは、我々一人ひとりの思いであり行動であるということをしっかりと共有しましょう。

 そして、2018年が皆様と住友林業グループにとって大きな飛躍にむけた年となりますように、「失敗を恐れず、全員でCHANGE&TRY」という決意を胸に、力強い一歩を踏み出したいと思います。

 どうか、皆さん、健康第一にそして心豊かな一年を過ごしてください。

■(株)西武ホールディングス代表取締役社長 後藤高志氏

 皆さん、あけましておめでとうございます。

・世界経済は「3つのL(低成長、低インフレ、低金利)」

 日本も含め世界的に共通しているのは、「低成長」「低インフレ」「低金利」という「3つのL(Low)」である。長い景気の回復過程、あるいは成長過程にあるにも関わらず個人が実感を持てない状況である。加えて日本においては少子高齢化や人口減少という大きな課題があり、今からそれらに備えておくことが重要。

・長期的で大胆なゴールを設定し、新たな視点でスピード感を持って、イノベーションに挑戦

 今後、西武グループさらには日本が成長するための鍵がイノベーションになることは間違いない。長期的で大胆なゴールを設定し、新たな視点でスピード感を持って、イノベーションに挑戦していく。「スピーディー」と「イノベーション」と「チャレンジ」を組み合わせた西武グループの造語である、「スピーディノベーション&チャンレジ」を実行する。

・西武グループの2018年は開拓期

 2017年の西武グループは、東京ガーデンテラス紀尾井町が収益への貢献を開始し、これまで仕込んできたプロジェクトが開花した。一方、2018年は、所沢駅では東口の駅ビル「グランエミオ所沢」が3月上旬に完成し大変賑やかになる。2019年以降も今年以上に続々とプロジェクトが完成していく。一例では、2019年春に(仮称)西武鉄道池袋ビルが完成する。メットライフドームエリアでは180億円をかけた改修計画に着手する。まさに2018年は、次の収穫期に向けた、開拓期である。

・働き方改革、生産性向上の両立と持続的な成長の実現へ

 西武グループでは約10年先の長期的で大胆なゴールとしてChallenge Targetを設定している。2018年はChallenge Target達成に向けて何ができるかを考え、各種施策を実行してほしい。そのため各職場で、働き方改革と生産性向上を両立させ、こういう時期だからこそ、長期的な視点を持ち、持続的な成長を実現してもらいたい。

 最後に2018年が皆さんにとって、また皆さんのご家族にとって、明るく輝かしい一年となることを願って、年始の訓示といたします。力を合わせて共に頑張りましょう。

■ポラスグループ代表 中内 晃次郎氏

 消費者目線ではあまり実感はありませんが、政府の景気判断よると約5年間に及ぶ好景気が続いております。北朝鮮の核ミサイル開発など、不安定要素が存在する国際情勢ではありますが、突発的な事象や大きな変化などが無ければ、本年も引き続き景気の良い年となりそうです。しかし、来年2019年は消費税の10%への増税や東京五輪に向けた一つのピークの年になると考えられ、その後は厳しい状況が訪れると予想されます。ですから当社では、来たるべき増税による反動減などのマイナス局面に備え、しっかりとした土台作りをする年にしたいと思います。

 本年は『先義後利』をキーワードとして事業運営を行います。「当然あるべき道、商売における正しい道を優先させ、利益を後回しにする」という意味ですが、社訓や経営理念等の考え方にも通じるもので、当社の原点を再認識することともいえます。これを推進することで、創業時から培ってきた「地域密着」・「顧客密着」・「社員密着」を徹底し、(1)お客様に喜んでいただき、(2)地域から感謝され、(3)世の中全体に感謝され、(4)社員がいきいきと働ける、存在価値の高い企業グループとして成長を遂げたいと考えております。

 そして来年に控えた創業50周年、さらにはその先の半世紀をも、持続的に発展する強固な企業基盤を全社一丸で構築してまいります。

■(株)アキュラホーム代表取締役社長 宮沢俊哉氏

 新年あけましておめでとうございます。2018年の年頭にあたりご挨拶を申し上げます。昨年アキュラホームグループは様々なことに挑戦しました。例えば、中大規模木造建築物として埼玉北支店に続き、つくば支店の”住まいと暮らしサロン”を完成させました。中大規模木造建築の技術を様々な人から学ばせていただくとともに、デザイン面でも評価をいただきました。まちづくりも、住まい手の深層心理を考え、理想の暮らしを実現できるつくり手になることが重要だと考え、現在取り組んでいます。創業40周年の節目となる今年は、それらが各地で具現化される年になると考えています。

 企業の未来を語る上では、イノベーションやチャレンジという言葉がよく使われます。しかし、めずらしいものや変わったことを行うことが主になってはいけないと思います。古い固定概念を打ち破るイノベーションも良いのですが、私は温故知新の考えがとても大事だと思います。日本にはすばらしい文化や伝統、学ぶべき歴史がたくさんあります。生きていく中での本質的なものは過去から学ぶことが多くあります。その学びの中から新しい技術などを進化させながら、働き方までもが大きく変化しようとしています。

 外部環境を考えると、今年の大発会では日経平均株価は26年ぶりに高値を記録するなど景気の回復が顕著になっています。その一方で急速な少子高齢化、消費増税が控えています。2020年には世帯数の減少により個人消費も減少し、働き手も減ると言われています。さらに医療費問題、年金問題、介護問題と、ある意味では住まいどころではないと思うこともあります。そのような中で今までの常識や価値観も変わり、時代革新、科学も進歩して、AIやIoT浸透し、様々なものが人からロボットやITに入れ替わっていくことでしょう。

 しかしながら我々は、理想の住まいづくり、まちづくりを提唱し、建てた後も住まい手と永く関わっていく“永代家守り”を進め、人の輪を広げていくことで、大きな環境の変化があっても乗り越えることができると思っています。そしてチームワークの力をもって、本質を見極めることができれば、人々の暮らしを豊かにするとともに、働く人たちもやりがい、生きがいを持ち、豊かな人生を歩める模範の企業となることができると考えます。本質、理想、あるべき姿を追求し、日本の住環境を豊かにする一助となれればと思っています。

 この新しい年が、皆様にとって素晴らしい一年となりますことを祈念して、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。

■サンフロンティア不動産(株)代表取締役社長 堀口智顕氏

 あけましておめでとうございます。

 旧年中のご厚情、ご指導に深く感謝申し上げます。

 2018年の世界経済は、引き続き緩やかな成長が続くとみられております。国内においては、雇用情勢の逼迫、訪日外国人の着実な増加、日経平均株価がバブル後最高値を更新などがみられるなか、長期安定の安倍政権による経済財政政策及び日銀による粘り強い金融政策の推進が効果を発揮していくことで、日本経済がさらなる成長への歩みを進めていくものと考えております。

 不動産業界においては、都心オフィスビル市場では2018年以降、新築ビルの竣工が多く見込まれていることから、需給面で先行きに慎重な見方があるものの、堅調な企業業績を背景に、新規供給予定オフィスでのテナント内定が進んでおり、企業の拡張意欲は底堅く推移することが期待されています。不動産投資市場では価格の高止まりによる警戒感がありながらも、低金利環境等を背景に、高原状態の継続が見込まれます。

 一方で世界に目を転じれば、欧米での金融政策の変動による影響、共産党大会後の中国経済の減速懸念、中東や北朝鮮情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりがみられます。

 そのようななか、当社グループにおきましては、未来に対する危機感を共有した全員参加の経営を推進し、内部管理体制を強固にしながら、強い意志を持って、フロービジネスとストックビジネスを両立させたビジネスモデルへ進化を遂げてまいります。

 当社は、ビルオーナー様やお客様お一人おひとりのご希望を丁寧に伺い、お客様視点で不の解消を現場で研究し、真のお困りごと解決と高い付加価値作りに誠実に取り組んできたことにより、お客様から特命にてご依頼いただける管理不動産の増加へと繋げて参りました。そのことが安定的な事業基盤と付加価値向上の取組みとなり、テナント様の真に求めるニーズを実現する不動産再生事業へと展開することで、高いご支持をいただいております。加えて近年では不動産事業のオペレーション力を活かしたホテル開発からホテル運営事業を加速させると共に、アジアにおける住宅分譲事業へと展開しております。

  本年もお客様視点での「品質の向上」と「果敢な挑戦」による事業の深化と拡大をさらに加速させてまいります。そして、「利を求むるに非ず、信任を求むるにあり」という明確な方針の下、お客様の幸せの為に私たちが高まり続けることで、お客様から愛され、選んでいただけるパートナーとなってまいる所存です。

 当社は、日本とアジアの幸福と繁栄に貢献しながら、国益に資する事業をもって立つ企業として、「世界一お客様に愛され、選んでいただける不動産会社」というビジョンの実現に向け、これからも全社一丸となって精一杯取り組んでまいります。

 本年も旧に倍するご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。そして、皆様にとりまして、素晴らしい一年となりますことを心より祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます

■(株)LIXIL住宅研究所代表取締役社長 今 城幸氏

 新年明けましておめでとうございます。

 皆様におかれましては、心新たに新年を迎えられたことと存じます。年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。

 2017年は、年始めから寒波の影響により日本海側で大雪被害が発生し、東北地方では東日本大震災の余震もいまだ発生しています。また、7月以降は、九州北部豪雨などの大雨や台風による被害が相次ぐなど、多くの自然災害が発生しました。

 日本経済においては、景気は緩やかに持ち直し傾向にあるとともに、個人消費も緩やかな回復基調を維持しているとの見方がされており、この動きは、引き続き2018年も続いていくと考えています。

 住宅業界においては、個人消費が回復にあることと合わせて、低金利が続いていることから、2017年の住宅着工棟数は、前年と大きな変化は見られないと思われ、2018年度住宅着工棟数は、引き続き堅調に推移していくものと考えています。また、2019年10月に消費税増税が予定されていることから、2018年下期には駆け込み需要が発生すると考えています。

 当社では、2015年から新築住宅を起点として「ワンストップハウジング」戦略を掲げて取り組んでまいりました。新築事業においては、2017年に主力商品は全てZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を標準仕様とし、さらには2020年以降のZEH標準化を見据え、将来価値の高い、快適でレジリエントな住宅開発を進めてきました。また、社内組織体制を見直し、経営の効率化を図り、事業の柱となる新築事業のフランチャイズ加盟店様向けサービスの「質の向上」を図ると共に、リフォームなどの非新築住宅事業の強化に取り組みました。2019年の消費税増税、2020年の省エネ基準義務化などの課題に向け、順調に準備が進められ、取り組みの成果は着実に出てきていると考えます。さらに、ホームページの見学予約システムの強化など、来店時にお客様の意向に沿ったご対応がしやすい環境をつくり上げ、お客様サービスの質の向上を図りました。

 2018年は、「ZEH」や「レジリエンス」の取り組みを基本性能として取り組むとともに、引き続き「ワンストップハウジング」の取り組み強化を進めてまいります。また、将来の成長に向けて“生涯顧客化”を念頭に、よりスピード感を持って、新築からリフォーム、転居・住み替え、相続などあらゆる住生活ニーズに対応できる商品・サービスの強化を図ることを目的に事業領域拡大を進め、引き続き、お客様に「豊かで快適な住生活をお届けする」ことを目指してまいります。

 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

■(株)さくら事務所代表取締役社長 大西倫加氏

 今年春からいよいよ、既存住宅取引において仲介事業者にインスペクションの説明義務が課されます。おそらく加速度的に一般の方々によるインスペクション認知度は向上し、既存住宅取引における大きな課題であった情報の非対称性も、一定解消が進むでしょう。テクノロジー進化もあいまって一般の方々のリテラシーはさらに高くなり、リスクヘッジ志向やその手段も増加すると考えられます。

 当社では今年から、仲介事業者向けに建物知識をつけていただく研修コンテンツや各種インスペクションサービス提供、熟練のインスペクターの見識をより安全でトラブルのない取引に活用していただくためのプラットフォーム構築を進める所存です。
 またインスペクションに求められるスキルや倫理観、アドバイス力やサービス全体での利便性、スピードもより高度なものとなることは想像に難くありません。インスペクター育成・品質向上のための研修メニューや情報共有を一層充実させ、ICT活用によるスピード強化を図ります。豊富な実績と技術力を誇るインスペクターを人柄まで可視化、セカンドオピニオン利用しやすい検索サイトもスタートさせます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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