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2018/1/5

「2018年 年頭挨拶」(業界団体等)

 国土交通大臣および住宅・不動産業界団体トップが発表した年頭所感は、以下の通り。(順不同)

国土交通大臣 石井啓一氏
(一社)不動産協会理事長 菰田正信氏
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 伊藤 博氏
(公社)全日本不動産協会理事長 原嶋和利氏
(一社)不動産流通経営協会理事長 榊 真二氏
(一社)全国住宅産業協会会長 神山和郎氏
(独)都市再生機構理事長 中島正弘氏
(一社)マンション管理業協会会長 岡本 潮氏
(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 末永照雄氏
(一社)賃貸不動産経営管理士協議会会長 末長照雄氏
(一社)住宅生産団体連合会会長 和田 勇氏
(一社)プレハブ建築協会会長 樋口武男氏
(一社)日本ツーバイフォー建築協会会長 市川俊英氏
(一社)日本木造住宅産業協会会長 市川 晃氏
(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 髙木 茂氏
(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏
(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 熊谷隆治氏

■国土交通大臣 石井啓一氏

 平成29年の新春を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。

 今年も国土交通行政に対する皆様の変わらぬご理解とご協力をお願い申し上げます。

 さて、昨年は、4月の熊本地震、8月から9月にかけての北海道や東北への度重なる台風の上陸など、大きな自然災害が発生しました。犠牲となられた方々に対して謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。被災地の皆様が、1日も早く元の暮らしを取り戻していただけるよう、引き続き総力を挙げて取り組んでまいります。

 東日本大震災から3月で6年が経過し、被災地では復興への確かな歩みが見られますが、今なお多くの方々が避難生活を続けておられます。本年は「復興・創生期間」の2年目に当たります。基幹インフラの復旧・復興や、住まいの確保などに引き続き取り組みながら、被災地の自立につなげ、被災地が地方創生のモデルとなるような復興の実現に未来志向でしっかりと取り組んでまいります。

(中略)

 我が国の人口は 2008年の約1億2,800万人をピークに減少が始まっています。少子化は深刻で、高齢化も極めて速いペースで進んでいます。当面、生産年齢人口が減少していくことは、もはや動かしがたい事実です。しかしながら、働き手の減少を上回る生産性の向上により、潜在的な成長力を高め、新たな需要を掘り起していくことによって、経済成長を続けていくことは十分可能です。現在、政府はGDP600兆円の実現を目指していますが、ビックデータやICTといった新技術の活用や既存インフラの徹底活用などの取組を通じて生産性向上を図り、この目標達成に貢献していきたいと思っています。こうした観点から、昨年を「生産性革命元年」と位置付け、生産性向上に向けた先進的な取組として20の「生産性革命プロジェクト」を選定してまいりました。今後は、できるだけスピーディーにこれらのプロジェクトの具体化を進め、本年を生産性革命「前進の年」にしたいと考えています。あわせて、生産性向上の意識を国土交通省の様々な施策分野に浸透させてまいりたいと思っています。

 社会資本整備には、移動時間の短縮等を通じて生産性を高めて民間投資を促進する効果、災害リスク等を低減させる効果、国民生活の質を向上させる効果といった「ストック効果」があります。厳しい財政制約の下、こうした社会資本本来の効果を最大限発揮させることが重要です。このため、異なる分野の事業を一体的に実施したり、既存施設に小さな投資を行うことでその施設の機能を大きく高める取組など「賢く投資」する取組や、ビッグデータや新技術の活用によって利用効率を向上させるなど「賢く使う」取組を全力で推進してまいります。

 昨年の訪日外国人旅行者数は、年間 2,400万人前後となり、過去最高となったほか、訪日外国人旅行消費額は4兆円も視野に入る勢いで増加し、引き続き好調に推移しました。昨年3月に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づき、「観光は真に我が国の成長戦略と地方創生の柱である」との認識の下、「2020年訪日外国人旅行者数 4000万人・訪日外国人旅行消費額8兆円」などの新たな目標の達成に向け、「観光先進国の実現」に取り組んでまいります。

(中略)

 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、東日本大震災から復興した力強い日本の姿を示すとともに、世界を代表する成熟都市になった東京を発信する絶好の機会です。大会まで4年を切りましたが、その準備とスムーズな運営に国土交通省を挙げて対応してまいります。

■(一社)不動産協会理事長 菰田正信氏

 新年を迎え、今年は経済の好循環に向け成長を加速できる年となるよう期待したい。

 我が国の経済は、緩やかな回復を続けているが、行先きは世界情勢の不確実性等、不透明な面もあり、今後さらに力強い成長を促し、経済の好循環を実現するためには、官民総力をあげて都市・地方ともにさらなる活性化を図ることが必要だ。

 本年は都市再生プロジェクトのより一層の推進を図るとともに、AIの活用等、急激な時代変革を先取りするまちづくりに向けた取り組みを展開していく。少子化・高齢化や世帯構成の変化等に伴い、多様化するニーズに対応する住宅のあり方等について理解を深めることも大切である。

 環境への取組みや国際化への対応を進めるほか、事業環境の整備について物流不動産の開発等も対象として幅広く取り組む。また、働き方改革の推進が求められる中、新たなオフィスのあり方等、不動産業としても前向きに考えていく。

 当協会としては、優れた都市づくりや質の高い住宅の供給により、真に豊かさを実感できる社会の実現に貢献していきたい。

■(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 伊藤 博氏

 決意を新たに次なる50年に向けてこれからも地域と住まいを守り続けます!

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、米国トランプ政権発足による政治的混迷や相次ぐ北朝鮮のミサイル実験等極めて国際情勢が不安定なものでした。一方国内では、いざなぎ景気を抜き戦後2番目の景気継続と株価の高騰があったものの中小企業等には実感が乏しいものでありました。このような中、全宅連50周年、全宅保証45周年の節目の年を迎え、過去を振り返るとともに、「ハトマークグループビジョン2020」を策定しこれからの本会の進むべき道標を示しました。

 さて、既存住宅流通市場の活性化が喫緊の課題となっている中、宅建業法、住宅セーフティネット法、不動産特定事業法、民泊新法など新しい施策が施行されつつあります。

 本会としては、昨年、空き家等の低額物件の流通を促進する観点から、媒介報酬の見直しの要望活動を行いました。その結果、報酬額告示が改正され、本年より400万円以下の物件を対象に、現地調査等の費用を売主側の報酬の上限に加算できることとなりました。会員の皆様の空き家・空き地対策の一助になることを切に願うものです。

 また、平成30年度の税制改正においては、買取再販に係る特例措置の敷地への拡充措置及び土地の固定資産税の負担調整措置が認められ、今後の既存住宅流通活性化及び地域創生への足掛かりになるものと期待されます。

 本年4月には改正宅建業法の「建物状況調査」が施行されます。我々宅建業者は、既存住宅流通活性化の要のプレイヤーとして、地域の課題解決や経済活性化の役割を担い、活力あるまちづくりを牽引する役割を果たさなければなりません。

 本会においては、次なる50年に向け、ハトマークグループ一丸となり「地域により添い、生活サポートのパートナー」である会員の皆様の経営基盤の強化・業務支援を展開するとともに、国民の皆様の住生活環境向上と安全安心な不動産取引の実現のため、種々の事業を実施してまいる所存です。

 「みんなを笑顔にするために」会員各位のますますのご繁栄とご健勝をお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(公社)全日本不動産協会理事長 原嶋和利氏

 年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、全日創立六十五年の節目の年、瑶子女王殿下のご臨席を賜り、全日六十五周年、保証四十五周年の記念式典を挙行し七十年に向けての歩みを進めました。

 そして、多くの公益事業、会員支援事業を推進し念願の正会員数3万社を達成することができました。

 これも日頃より本会の運営に対し多大なご理解、ご支援をいただいている会員の皆様のお力添えのお陰と心より感謝申し上げます。

 現在、我が国が抱えている本格的な人口減少時代にあって、政府は経済成長や国民生活の向上をはかる施策として、土地の有効的な利活用に向けた「最適活用」・「創造的活用」・「放棄宅地化の抑制」を打ち出しています。

 そんな中、平成29年の地価公示では、住宅地、商業地ともに前年度に比べ上昇傾向を示し、同年11月の「月例経済報告」においても個人消費や設備投資の持ち直しが見込まれ、景気は穏やかな回復基調にあると言われています。

 しかしながら、国民の多くが実感として抱いている景況感との間には、依然として距離感があることから、政府与党におかれましては、引き続き、更なる景気浮揚に向けた政策の推進を期待するものであります。

 さて、このような社会状況の中、我が国では、昨年6月、120年ぶりに民法改正が公布され、同じく「住宅宿泊事業法」が公布、観光立国を目指し、本年6月より施行され、いよいよ民泊サービスが本格化するほか、インターネット時代に対応すべく、昨年10月から賃貸仲介においてIT重説がスタート、さらに不動産取引においてもICTの利活用が見込まれます。

 また、少子高齢化の進展等により増大する「空き家」の流通促進という観点から低廉な空き家等物件に対する媒介報酬の見直しが行われ、本年1月より施行されました。

 平成30年を迎えるにあたり、私たちは、公益団体としての永い歴史の重みを実感しながら、これからの時代の変化に柔軟に対応できるよう、3万社会員とともに本会組織の抜本的な改革と拡充強化及び活性化を推し進めるとともに、消費者保護の徹底と国民の安心安全な住環境に寄与するため、公益目的事業を積極的に適正かつ確実に進めて参ります。

 そのため、私たちは、昨年4月の『宅地建物取引業法の一部を改正する法律』の施行により、事業者団体に対し宅地建物取引従事者への研修を充実させるための努力義務が課せられたことをふまえ、従業者の資質向上を図るべく、「全日ステップアップトレーニング」を更に深化させ、取引の専門家としての実務知識とコンプライアンス意識の向上を図って参ります。

 また、先にも触れた「空き家問題」を含む既存住宅流通市場の活性化に向けて、本年4月から施行される既存住宅建物状況調査(インスペクション)と新たな「安心R住宅」制度への対応に加え、会員サービスをトータルで支援する「ラビ-ネット」の利便性の拡大と利用促進に積極的に取り組んで参ります。

 これらの取り組みを通じて、全国組織の不動産業者団体として常に会員そして国民から信頼される組織とすべく努めて参りますので、会員の皆様には、本年も引き続き本会の運営にご理解ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 そして、本年が会員の皆様にとってすばらしい年になりますよう、皆様のご健勝とご発展を祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(一社)不動産流通経営協会理事長 榊 真二氏

 我が国経済は、「いざなぎ景気」を超えて、戦後二番目となる息の長い成長が続いている。海外経済の不確実性が懸念されるものの、世界経済の拡大を追い風に、雇用・所得環境の改善や政策効果等もあり、景気は緩やかな回復が続くものと期待される。

 昨年の不動産流通市場は、成約件数、成約価格ともに一年を通して堅調に推移した。足元でも、既存住宅への底堅い需要を実感しており、本年も、金融緩和や住宅取得に対する税制優遇措置等の政策のもと、高水準な取引が続くものと思われる。

 国は、平成28年に住宅政策の指針である「住生活基本計画」を定め、既存住宅流通市場倍増に向けて、種々の施策を検討・具体化してきている。不動産流通市場が大きな変革期を迎えている中、本年も流通市場活性化に向けて、消費者、そして営業現場の視点からスピード感を持って意見具申していく。

 現下の重要課題は、今年4月に施行される建物状況調査に係る改正宅建業法への対応である。昨年は、実際の取引の際の具体的対応について説明会を開催するなど、会員への周知を図ってきた。本制度が営業現場において円滑に運用され消費者の安心に繋がるよう、万全を期して臨みたい。

 高齢化社会の到来、あるいは情報技術の高度化を背景に、消費者のライフスタイルが多様化するなか、昨年はニーズの変化を的確に捉えるべく調査研究に力を入れてきた。本年は、さらに調査を深化させるとともに、その成果や提言について、オピニオン誌「FRKコミュニケーション」等を活用し、積極的に情報発信をしていく。

 また、益々高度化する消費者の要望に応えるべく、専門講座の充実を図るなど研修事業にも引き続き注力し、営業担当者のコンサルテイング力の向上に努めていく。

 内需の柱である住宅・不動産市場において、既存住宅の流通に期待される役割が益々増大するなか、不動産流通業界の一層の発展に向けて、本年も、会員相互の結束のもと、対処すべき課題に鋭意取り組んでいく。

■(一社)全国住宅産業協会会長 神山和郎氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年7月、福岡県と大分県を中心とする九州北部豪雨により、河川の氾濫や土砂崩れによって多くの人的被害、建物被害が発生しました。被災されました方々に心からお見舞いを申し上げます。

 我が国経済は、企業業績や雇用環境が改善するなか、個人消費は緩やかな回復基調にありますが、若年層を中心に消費性向の低下が続いております。本格的な消費者マインドの活性化のためには、将来不安を払拭する社会保障の整備と確実な可処分所得の増加が期待されております。

 住宅・不動産市場は、新設住宅着工戸数がほぼ前年度並みの水準で推移しているものの、実態は相続税対策によって喚起された貸家の供給によるところが大きく、分譲マンションは需給ともに低調な状況が続いております。加えて、建築費が高止まりにあること、事業用地の取得が厳しい状況にあることなどから、一次取得者層を対象とした安定した住宅供給が危惧されております。

 また、1992年に生産緑地として指定された多くの土地が期限を迎え、宅地として一気に住宅・不動産市場に供給されることによって地価の暴落が懸念されておりましたいわゆる「生産緑地2022年問題」への対応につきましては、昨年5月生産緑地地区の買取り申出期日を10年延長できる特定生産緑地制度の創設や面積要件の引下げなどを内容とする生産緑地法等の改正が行われたことによって、安定した住宅・不動産市場の形成が図られることになると思われます。

 さて、本年4月から宅地建物取引業法の一部改正により、既存建物取引時に、宅建業者が、専門家による建物状況調査(インスペクション)の活用を促すことで、売主・買主が安心して取引できる市場環境を整備する規定が施行されます。われわれは不動産取引のプロであることを自覚し、新たな措置内容を着実に履行することによって、既存住宅流通の促進に重要な役割を果たしてまいります。

 現在、空き家、空き地対策については、空き家等対策の推進に関する特別措置法の施行から2年半が経過し、地方公共団体や専門家団体などによる様々な取組みが行われているところです。このような諸活動を踏まえつつ、不動産業界としても積極的な取組みを行う必要があり、特に宅建業者の媒介業務の役割は重要です。しかし、空き家等の低額物件の媒介には現地調査等に費用がかさむことが重荷となり、物件の取り扱いを避ける傾向にありました。こうした状況に鑑み、昨年9月、空き家等の流通を促進する観点から、低額物件を媒介した際の宅建業者の負担の適正化に関する要望書を他団体と連名で国土交通大臣へ提出しました。その結果、本年1月から改正報酬告示が施行され、現地調査等の費用を要するものについては、現行の報酬額の上限に加えて、費用相当額を合計した額を受け取ることができることとなりました。今後、空き家等の流通が活発に促進されることが期待されます。

 一方、喫緊の課題として、特にマンションの空き家問題が懸念されております。建築時期が古いマンションほど空き家率が高く、適切な維持・管理機能が低下し防災・治安・衛生面等の問題が顕在化しスラム化の進行が危惧されています。大規模修繕が困難なマンションは、建替えを促進することが必要ですが、建替えが円滑に進まない理由の一つに多額の費用負担が上げられます。区分所有者の費用負担を軽減する方法としては、容積率の特例制度(ボーナス)の創設やリバースモーゲージの活用方策について本格的な検討が望まれます。

 昨年12月には、平成30年度税制改正大綱が公表になり、新築住宅に係る固定資産税額の減額措置の延長、買取再販で扱われる住宅の取得等に係る登録免許税の特例措置の延長及び不動産取得税の特例措置の拡充、居住用財産の買換えに係る特例措置の延長、既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化リフォームに係る固定資産税の特例措置の延長、土地等に係る不動産取得税の特例措置の延長などが実現したことは、良質な住宅への円滑な住み替えの促進に大きく寄与するものと思われます。

 いうまでもなく安全・安心で良質な住宅を供給することは、われわれ事業者の責務であり、国民の豊かな住生活を実現するため、全力で取組んでまいる所存です。

 最後になりましたが、皆様方のますますのご発展とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(独)都市再生機構理事長 中島正弘氏

 明けましておめでとうございます。平成30年の新春を迎えるに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。

 振り返りますと昨年は、2012年に始まった今の景気拡大の長さが高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さとなりました。また、有効求人倍率が過去最高水準となる一方で、多くの企業が多様な働き方の実現など働き方改革に取り組んだ1年でもありました。

 当機構としてもこのような経済・社会環境の変化を注視しつつ、第三期中期計画(平成26年度~30年度)が終盤にさしかかる中で、東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な実施、都市機能の高度化及び居住環境の向上を通じた都市の再生、超高齢社会に備えた医療福祉拠点の整備、大規模災害が発生した場合における復旧・復興支援等、その政策的役割の実現に引き続き努めてまいりました。

 また、当機構発足以来の課題である経営基盤の確立については、繰越欠損金の解消と賃貸住宅事業の収益構造の改善を最優先課題として、経営改善計画の取り組みを着実に実行してまいりました。

 昨年の具体的な取り組みを申し上げますと、東日本大震災の被災地においては、岩手県大槌町町方地区や福島県いわき市薄磯地区における宅地の引渡し完了、建設要請を受けた災害公営住宅の約9割の完成・引き渡しなど、早期生活再建に向けた支援を着実に行ってまいりました。その他にも原子力災害からの復興を進めている福島県大熊町、双葉町、浪江町から復興拠点の整備を受託したほか、昨年5月の改正福島復興再生特別措置法の施行に伴い、大熊町の特定復興再生拠点区域における計画検討の業務を受託するなど、被災地域の復興に向けた支援に注力しております。

 また、平成28年熊本地震に伴う災害公営住宅の整備に向け、宇城市、御船町、嘉島町及び益城町の4市町と災害公営住宅の整備に係る基本協定を締結し、円滑な整備に向けた支援に取り組みました。新潟県糸魚川市における糸魚川市駅北大火、岩手県岩泉町における平成28年台風10号被害に伴う復興まちづくり支援についても、それぞれ取り組んできたところです。和歌山県海南市では、高台移転した新市庁舎前の防災拠点機能を有する公園整備を当機構が受託し、事前防災の取り組みを行っております。

 賃貸住宅事業においては、超高齢社会に対応した多様な世代が生き生きと住み続けられる住まい・まちづくりを推進しており、昨年までに120団地でUR賃貸住宅の地域医療福祉拠点化の取り組みに着手致しました。その他にも団地のバリアフリー化、高齢者世帯や子育て世帯向け住宅の供給、見守りサービスの提供などに取り組んでおります。

 今後は役職員一丸となって地方公共団体や民間事業者の皆様との連携を強化し、これまでに培ってきた経験やノウハウを遺憾なく発揮しながら、政策的、社会的ニーズに対応した業務を確実に実施するとともに、平成31年度から始まる新たな中期目標に向け、皆様の期待に引続き応えてまいる所存です。現在の当機構の業務の柱は、都市再生事業、賃貸住宅事業、震災復興支援事業、ニュータウン事業ですが、さらに今後当機構が何をするべきか議論を進め、当機構がどのような価値を提供できるかを考え、実行してまいります。

 具体的には、被災地の復興支援については、復興市街地整備・災害公営住宅の建設及び譲渡を計画通り推進・完了させるほか、福島の原子力被災地域における復興支援を着実に進めてまいります。

 都市再生事業においては、地方公共団体や民間事業との適切な役割分担の下、民間事業者との連携を一層強化してまいります。都市の国際競争力強化のためのプロジェクトを推進するとともに、都市のスポンジ化などの課題に対応した地方都市におけるコンパクトシティ実現や賑わい拠点形成、密集市街地等における防災性の向上等、政策的意義の高い事業を推進してまいります。

 賃貸住宅事業においては、引き続き住宅セーフティネットとしての役割を果たしていくとともに、昨年10月の改正住宅セーフティネット法の施行を受け、人口減少、少子化、超高齢社会といった課題に対応し、地域医療福祉拠点化等の取り組みをより一層推進してまいります。

 また、我が国の成長戦略・国際展開戦略の一環として、官民が連携して進める都市開発の海外展開に必要な技術・ノウハウ等の支援をより一層推進してまいります。アジア新興国を含め、民間企業だけでは進出が困難な国において、政府と連携して外国政府との関係を構築するとともに、我が国の都市の魅力や将来像等を一体的に発信する等の取り組みを推進してまいります。ニュータウン事業については、事業の完了に向け総仕上げの段階に入ってまいります。

 また、こうした取り組みと合わせて、コンプライアンスの遵守を含めて、内部統制のより一層の充実を図ってまいります。これまで当たり前に行ってきたことに修正すべき点はないか、もっと効率的に行えることは無いかなど、役職員一人ひとりが日頃から意識して取り組んでまいります。

 最後に、当機構の業務につきまして、日頃から格別のご理解・ご協力を賜っております関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、本年の皆様方の益々のご発展とご健勝を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

■(一社)マンション管理業協会会長 岡本 潮氏

 新年おめでとうございます。

 昨年を振り返りますと、社会環境や世界情勢の変動が益々激しくなっていることを痛感します。米国の「米国第一主義」、欧州での「EU離脱志向」や「移民排斥思考」など、世界規模の内向き志向が、政治や経済の混乱、安全保障に関わる課題の拡大等を生じさせています。北朝鮮からの弾道ミサイル発射も国際的大規模紛争の大きな懸念要素です。

 わが業界に目を向けますと、建物の高経年化と居住者の高年齢化が一層スピードを早めています。老朽化の進む膨大な社会資本ストックとしてのマンションに、永く快適に住み続けることへの環境づくりはより重要性を増し、居住者の高齢化の進行に対しては、きめ細かなサービスの提供が従来以上に求められます。

 その一方、事業者サイドでは人手不足が深刻となり、管理組合や居住者の要望に応えることへの難しさが増してきています。さらに、大規模修繕工事発注の際に管理組合の利益に反する設計コンサルの存在指摘など、課題が山積しています。

 当協会は昨年、管理業務範囲の「見える化」・「明確化」を推進するため、「マンション管理業務共通見積書式」を策定し公表しました。お客様の要望に対し管理会社が提供できる業務内容を整理することにより、双方の認識差をなくし、業務サービスへの納得感を深める一方、管理会社は業務効率化を図り、管理品質の向上につなげることが期待できます。お客様と管理会社の間の信頼関係の深化という最も大事な課題に向けた大きな一歩であり、 協会をあげて業界全体に浸透させたいと考えています。

 マンション管理業に関連する法令面では、住宅宿泊事業法(民泊新法)への対応があげられます。事業届出受付が開始される3月15日前までに、全ての管理受託管理組合が総会で民泊の可否を意思決定するよう提案するための「マンション管理組合の民泊への対応」を発信し全国で説明会を開催しました。また、昨年5月に改正個人情報保護法が施行され、個人情報を取り扱う「事業者」に管理組合も該当することとなったことから、各般の資料及び法令集を発行、全国主要都市で説明会を開催し管理組合における個人情報保護法への対応の普及に努めました。今後も関連法令の動向を注視し業界に寄与するよう努めて参ります。

 高経年マンションでは建物・設備の老朽化による修繕工事の増加に加え、居住者の高齢化に伴う費用負担の問題が深刻化する中、良質なマンションストックを維持していくことは国民の中長期的な経済的負担を軽減するものと考えられます。これを踏まえ、資産価値の維持や管理組合の円滑な運営の確保に向けた税制改正等について国土交通大臣に要望しました。

 管理会社社員がいきいきと働き続けられる「働き方改革」をキーワードに、やりがいや誇りをもって業務に当っていることを共有・共感し、称えあう場とすると共に、人材確保と人材育成、更には社員のモチベーションアップを目指し、「マンションいい話コンテスト(管理会社編)」など、管理会社社員にフォーカスした「マン活動トレンド発表会2017」を昨年12月に開催しました。並行して開催した「マンションいい話コンテスト(居住者編)」では、426のエピソードから、課題解決に向けた取り組みや成功事例を協会ホームページや「マンション暮らしのガイド」で紹介するなど、広報活動を通じてノウハウなどの共有を図って参ります。

 認知症高齢者対応に向けた施策として、本年、医療や介護、法的側面、マンション管理実務など広範な視点から課題の検討を行う勉強会を当協会に設置する予定です。また、管理業務の適正化に向けた法令遵守とコンプライアンス体制整備の更なる強化に向けて、新モニタリング制度の徹底運用を本年も継続して参ります。

 マンション管理業の社会的意義は、居住者の資産価値と居住価値を将来に亘り維持・向上させることであり、管理会社は、管理組合、マンション居住者に常に寄り添う最も身近なサポート役として、建物・設備を守り、安全・安心・快適な生活環境を守り、末永くマンション価値を上げていくという重要な社会的役割を負っています。この社会的役割を広く深く認識していただく努力を継続し、マンション管理業への「高い評価と厚い信頼」を得ていくことが求められます。そしてこの実現には、マンション管理業が「人的資源」で成り立つ業であることを考える時、業界従事者の成長・モチベーションの向上が喫緊の課題として考えられます。

 当協会は、協会活動の基本目標として「マンション管理業の成長発展・社会的評価の向上」、「業界従業者の処遇改善・評価の向上」を2つのミッションとして掲げ、「中期事業計画2018-2022」の策定に着手いたしました。この中期事業計画については、今年度中に確定の上公表していく方針です。

 最後になりましたが、会員の皆様のご活躍と、当協会のさらなる発展のために、引き続きご支援とご指導をお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。 

■(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 末永照雄氏

 当協会は本年も賃貸住宅市場の整備・適正化を目的とし、全国約1,530社の会員と一体となって、賃貸住宅管理の法制化と賃貸不動産経営管理士の国家資格化の実現に向けて全力で取組む。

 現在、業界3団体等で組織する「実務検討会」において、3月末頃までに経営管理士の国家資格化について最終取りまとめを行う。経営管理士のあるべき姿を定め、国家資格化の道筋を付ける。

 国土交通省の改正住宅セーフティネット法の普及促進にも取組む。住宅確保要配慮者が入居できる民間賃貸住宅の登録を増やしていくため、会員を通じて家主等の啓蒙を図り、周知に協力する。

 近年、ITによる管理実務の改善やシェアリングによる空室の有効活用等が注目される中、4月にIT・シェアリング推進事業者協議会を設立し、賃貸住宅市場のイノベーションを促進する。

■(一社)賃貸不動産経営管理士協議会会長 末長照雄氏

 新年明けましておめでとうございます。

 当協議会は、賃貸不動産経営管理士のあり方について、構成3団体の意見をまとめ、国土交通省と連携を図り、国家資格化への道筋を示します。

 国土交通省「賃貸住宅管理業者登録制度」が7月1日に全面施行されることもあり、昨年の受験者数は1万7千名と増加しました。経営管理士が果たす役割に対する期待は今まで以上に高まっています。賃貸住宅管理業者登録制度に登録する事業者の支援に取り組むと共に、更に多くの経営管理士を輩出して参ります。

 借主が安心・安全な住生活を送り、貸主が安定した住環境を提供できるよう、賃貸不動産管理業の確立と、賃貸不動産経営管理士の国家資格化を更に推し進めます。

■(一社)住宅生産団体連合会会長 和田 勇氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 国内景気は、緩やかながらも回復基調が継続しておりますが、国民一人一人がその豊かさを実感できる状況には至っておりません。基幹産業の一つと言える住宅は、広域な関連産業を擁する内需の柱であり、力強い経済実現のためにも多角的な住宅関連投資が活発に行われる環境整備が必要と考えております。

 国内では、人口減少、少子高齢化、地方再生などの社会課題を抱えておりますが、「環境」は全世界に共通する喫緊の課題であります。

 国際会議において議論の高まりを見せている「パリ協定」での温室効果のガス削減目標にあたって、我が国がその目標を達成するためには、家庭部門における新築住宅のZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)化だけでは到底達成には至らず、既存住宅ストックの省エネ化を含め官民連携のもと真剣に取り組んでいかねばならない課題と考えております。

 住団連では、新築・既存を含めた住宅の省CO2化対策において、関係3省(国土交通省、経済産業省、環境省)が連携することを昨年来強く要望してきた結果、来年度の予算案では、ZEH整備のための補助制度について対象を拡充するなどの充実が図られることとなりました。今後は予算・税制だけにとどまらず、啓発活動や機器のコストダウンなど様々な視点で推進される『国家的プロジェクト』となるよう訴えていきたいと考えております。

 住宅の量の充足、質の向上が進む中、既存住宅ストックは今後多様な形で活かしていく時代となります。耐震性や断熱性などの性能向上リフォームやライフスタイルの変化に合わせたリノベーションによって、コストを抑えた住宅の良質化が可能となります。国ではいよいよ『安心R住宅制度』が始動致しますが、本制度によって質を高めた既存住宅が適正な資産価値を維持し、購入者にとっても性能などにおける不安が払拭されることで流通市場が喚起され、あらゆる住まい手、特に若者が良質な住宅を持てる社会への第一歩となることを期待しております。

 環境やストックにとどまらず、様々な社会課題は住生活と密接なつながりがあります。IoTやAIなどの先端技術も導入しながら「国民生活のプラットフォームである住宅から社会課題を解決する」という視点で考えれば様々な発想が出てくるはずであり、新しい年を迎えるにあたり、私は改めて住宅産業の無限の広がりを感じております。

■(一社)プレハブ建築協会会長 樋口武男氏

 平成30年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年の国内経済は、企業業績が堅調に推移し、株価も26年ぶりとなる2万3,000円台を記録するなど、景気はアベノミクス効果により、持続的な成長基調となりました。先行きについても、海外情勢や金融市場の変動など留意する部分は残しつつも、各種政策効果による雇用・所得環境の改善が続くなかで、引続き緩やかに成長するものと期待しております。 

 当業界におきましても、住宅着工戸数は、消費税引上げ時期が延期されたことから、需要の変動はほとんどみられず、一昨年と同水準に留まりましたが、消費税が8%に増税される前年度(平成25年度)の水準には未だ回復していません。われわれの提供するプレハブ住宅につきましても戸数・シェアともに弱含みの状態が続いております。当協会としましては、これまで以上に、耐久性や居住性に加えて省エネや健康配慮など安全・安心な住まいづくりに真摯に取り組み、業界全体の価値向上を目指していきたいと思います。

 このような状況のもと、平成30年度の税制改正につきましては「新築住宅の固定資産税の減額措置」に代表される期限切れとなる特別措置の延長や、「買取再販に係る不動産取得税特別措置」が敷地部分に認められるなど、新築だけでなく既存住宅の流通活性化にも寄与する、住宅業界にとって重要な各種税制の延長・拡充が行われることになりました。

 一方、消費税率10%への引き上げは、いよいよ来年10月に予定されています。わが国が持続的に成長し、より豊かな住生活を実現するためにも、住宅に係る多種の税制が、将来の景気減速と住宅市場の大きな変動をおこさないよう、取得時の増税分を吸収できるような負担軽減措置を含む住宅税制の見直しが必要となっております。

 昨年の住宅政策に関する動向としては、1月に「住宅団地再生」連絡会議が開催され、人口減少・少子高齢化の状況下で、空き家の増加などの問題が生じている郊外住宅団地の再生を図るため、地方公共団体や民間事業者等の関係者が意見交換を行いました。また12月には、「中古住宅」のマイナスイメージを払拭し、既存住宅の流通を促進するため、「住みたい」「買いたい」住宅としての「安心R住宅」を取扱う事業者の登録申請受付が開始されるなど、今後を見据えた住宅ストックに関する政策が次々打ち出されており、たいへん心強く感じております。ただストックの現状をみると、耐震性や断熱性の不十分な住宅やバリアフリー化がされていない住宅が未だに数多く存在しています。これらを性能・品質の優良な住宅ストックに建替え、あるいはリフォームをし、安全・安心で快適なストックへと導くことは重要な課題です。

 当協会では、長期優良住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの良質な住宅供給を積極的に行っておりますが、さらにIoT・AIやロボットなど新技術の導入によって、良質な住宅ストックの増加、ひいては既存住宅流通市場の活性化を目指していかねばなりません。今年も関係各方面に働きかけ、国民の皆様の豊かな住生活の実現に寄与していきたいと思います。

 一方で、当協会の重要な任務である応急仮設住宅の供給体制の整備に引き続き取り組んでまいります。今後、南海トラフ巨大地震や首都直下地震をはじめ、各地で自然災害の発生が予想されています。万一、大規模災害が発生した場合、迅速な復旧・復興に貢献できるよう、協会として会員相互の協力体制の構築に一層尽力したいと考えております。

 最後になりましたが、皆様のご健勝とご多幸を心からお祈り申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。

■(一社)日本ツーバイフォー建築協会会長 市川俊英氏

 新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 さて、新設住宅着工は昨年4月~10月までの累計で持家、貸家ともに前年比で減少となりました。年率換算では93万戸のペースですが、先行きは楽観できる状況とは言えません。また、来年には消費税率の引き上げが予定されています。我が国が持続的に成長し、より豊かな住生活を実現するためにも、住宅に係わる恒久的な負担軽減や取得支援措置が必要であると考えます。

 我が国は高齢化がますます進展しており、国民がそれぞれのライフステージやライフスタイルに応じて豊かな住生活を営むためには、良質な住宅ストックを形成して行くことが必要であり、国の重要な政策課題となっております。ツーバイフォー住宅は我が国に導入されて以来、精緻な基準による耐震性をはじめとする高い性能で消費者の信頼を得てきておりますので、そうした信頼に応えストックの時代にふさわしい住宅・建築として引き続き発展させていきたいと考えております。

 ツーバイフォー工法は住宅以外の福祉施設や商業施設などの施設系建築においても、公共建築の木造化の機運の高まりや工期面・コスト面のメリット、「木の建築」としての評価の高まりなどにより採用が拡大してきております。本年は「ツーバイフォー6階建て実大実験棟」における検証結果などを踏まえ、積極的に中高層・大規模建築の普及を図ってまいりたいと存じます。

 また、今は環境の時代でもあります。ツーバイフォー住宅・建築の供給を通じて、再生可能な循環資源である「木材」の利用を推進し、低炭素社会の構築にも貢献することも重大な役割として果たしてまいりたいと考えております。

 本年もツーバイフォーの高い性能について精力的に情報発信に努めるとともに、ツーバイフォー工法のさらなる進化を図ってまいりたいと存じますので、皆様の変わらぬご支援、ご指導をよろしくお願い申し上げます。

■(一社)日本木造住宅産業協会会長 市川 晃氏

 新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 国内経済は緩やかに拡大し、本年も引き続きプラス基調で推移すると思われます。しかし、個人消費は、所得の伸び悩みと社会保険料の負担増加が足かせとなり、本格的な回復には予断を許しません。とりわけ、将来に対する不安感から、若年層の消費心理の低下傾向に注視する必要があります。

 住宅市場では、超低金利下にありながら、商談が長期化するなど持家需要が依然回復せず、貸家需要も頭打ちとなるなど、新設住宅着工戸数の低下が危惧されます。

 現在、我が国では、フロー型からストック型会への転換が求められ、地球温暖化対策や大規模災害対策等にも直面しております。

 住宅業界では社会基盤となる良質な住宅ストックの整備が求められております。国民がライフステージに応じて住宅が取得できるよう、適切なリフォームや建替えにより、良質な住宅を整備し維持管理すると共に、建物の価値が適正に評価され、適時適所に住み替えができる流通市場の環境整備への取り組みも不可欠です。

 また、働き手の高齢化から技能者不足が深刻な問題となっております。職場環境を改善し、若者が働き易くすると共に、自ら育てる努力が必要です。

 これら重要課題解決に向け業界全体で取り組むと共に、内需の柱である住宅投資を適切に誘発するため、根本となる住宅税制について検討が必要です。住宅消費税の恒久的な負担軽減と併せ、多岐多重な住宅税制について、抜本的な見直し着手を要望して参ります。

 私ども木住協では、多様化、高度化する地域のニーズを的確に把握し、事業活動へ反映を図ると共に、会員サービスの強化と地域への貢献を目指して参ります。

 今、『木』の持つ可能性と価値が認識され、木造建築物にとって追い風が吹いております。良質な木造建築物の普及を図りながら、直面する重要課題解決に向け、全力を尽くして参りますので、ご支援、ご指導をよろしくお願い申し上げます。

■(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 髙木 茂氏

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年10月に第4次安倍内閣が発足しましたが、引き続き日本経済が持続的な成長を遂げていくよう、新たな有望成長市場の創出、生産性革命を実現するための規制改革や制度改革の実現、人づくり革命、働き方改革の推進、人工知能やIoTなどを活用したイノベーションの創出といった重点施策に、スピード感を持って取り組んでいってもらいたいと強く願っています。

 ビル業界をみると、働き方改革や知的生産性向上のため、オフィス空間のあり方が大きく変わろうとしています。フリーアドレス席やオープンなミーティングスペース、リフレッシュスペースなどが求められるようになり、オフィス以外に在宅勤務やサテライトオフィスなどのニーズが増えてきています。これまで、オフィスは企業の知的生産性を支える「経済インフラ」であり、都市の防災機能や魅力ある景観を形成する「都市インフラ」であると指摘してきましたが、今後は多様化・複雑化する社会ニーズに応えるオフィスビルへとさらに進化していかなければなりません。

 また、インバウンドの拡大と再来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、日本の都市は、とくに東京は国際都市として更なるバージョンアップを図っていかなければなりません。魅力ある都市やまちには、洗練されたオフィスビルや住宅、商業施設、医療施設や育児施設、教育施設、ホテルなど働きやすく、生活しやすい多種多様な機能が求められてきます。そういった観点から都市づくり、まちづくりに果たすわれわれ業界の役割は非常に重要になってきます。

 そうした重要な役割を果たしていくためにも、全国19協会の会員の英知とノウハウを結集しながら、充実した協会活動を展開していきたいと考えています。

■(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏

 わが国経済は、世界経済の回復を背景に、内外需がバランスよく景気を牽引し、緩やかな拡大を続けている。

 昨年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」は、わが国が抱える構造問題の解決に取り組むものであり、GDP600兆円経済の実現に向け、政府の具体的施策が着実に実行されることを期待している。

 こうしたなか、不動産投資市場は着実に成長を続け、上場・非上場を併せたリート市場の資産規模は約19兆円に達した。

 当協会は、投資対象の多様化、投資家層の拡大、投資環境の整備等を通じて不動産投資市場を拡大することで日本経済に寄与してきた。

 特に物流・ホテル・ヘルスケア等への投資拡大は、投資エリアの全国展開により幅広い地域での開発投資と新規雇用を創出し、政府の掲げる地方創生に大きく寄与している。

 また、昨年はインフラ分野への取組方針を決定し、空港施設や客船ターミナル等を取組領域とした。不動産証券化分野で培ってきたノウハウを活用し、優良な社会資本形成に貢献していく所存である。

 公的年金等の大型機関投資家による不動産投資も本格化しつつある。不動産証券化に期待される、社会的ニーズと投資家ニーズとを結びつける資金仲介機能の重要性が一層増しており、その機能強化も重要な課題である。

 本年は、2020年度までの3か年を対象とする第6期中期事業計画のスタートの年である。当協会の目標である「Jリート等の資産規模30兆円」の実現を目指すとともに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催後もわが国の不動産投資市場が持続的に成長し、グローバルな投資市場として確固たる地位を築いていけるよう、使命感を持って諸課題に取り組んでまいりたい。

■(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 熊倉隆治氏

 新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 今年もこれまで同様、社会の変化に的確に対応し、社会に根ざした持続的な不動産鑑定評価制度はどうあるべきか?皆さんと共に追求し、連合会の活動を進めてまいります。我が国の社会構造は大きく変わっていかざるを得ないことは誰もが認めるところです。そして世界は、ICT、IoT、AI、ビッグデータなどの技術によって第4次産業革命が急速に進行しています。このような嘗てない社会変化の影響は、不動産鑑定評価制度のあり様にも及ぶところです。士業と言われる法律によって規定されている専門職業は、我々と同様に変革の嵐に見舞われています。後継者の問題や、地域の格差拡大、仕事の減少、そして新技術による資格消滅の危機など、状況は一様ではありませんが対処を迫られていることは変わりありません。

 連合会の基本方針は、新規の業務分野の開拓による業容の拡大と、業務の持続可能な報酬の確保です。不動産鑑定の業務を考える時に、2つの側面があります。第1に、依頼者の分類による業務区分です。依頼者の区分として、政府等の公的セクター、株式会社などの法人セクター、そして個人という3区分があります。従来、不動産鑑定では、公的セクターと法人セクターが中心でした。個人の依頼は、期待される報酬水準と取引の手間とが引き合いにくいということで敬遠されてきました。しかし、他士業で個人のニーズにうまく適合したサービスを開発している例も見られます。ニーズに見合うサービスをいかに求めやすいかたちで提供できるかではないでしょうか。

 もうひとつの業務区分は、資産評価の対象の分類によるものです。不動産であっても、鑑定法の対象と対象外があります。また、不動産以外の資産も対象外とされています。しかし、これ等鑑定法の対象外の資産は、不動産鑑定士が資産評価を行うことは可能です。このような観点から、一昨年来鑑定法52条の改正を目指した取組みを行ってきました。さらに事業用の不動産や再生可能エネルギー施設の評価などに、一体としての機械・設備を対象とすることも既に手掛けられていますので、これを対象範囲として明確にすることも同様の問題認識です。

 我が国は、既に住宅ストックは数量的には十分です。最も、その質において問題の有るものがあり新築を全否定するものではありませんが、ストックの充実・維持・活用に精力を注ぐ時代になってきました。このことは、我々のコンサルティング力を発揮して国民経済へ貢献をするチャンスと考えるべきです。これから、AIを利用した様々なサービスが住宅ストック市場に提示されるでしょう。どのようなサービスがニーズにあったものなのか?うまく活用して生産性を高め、ビジネスモデルを作れるよう取組むことが大事です。

 不動産鑑定法の改正は継続課題となりましたが、農地の評価は指針作成と研修の実施による実務遂行能力の普及に取組み、国交省支援も得ながら不動産鑑定士の農地評価の有用性を訴求していきます。実務のもう一段の引き上げにより、鑑定法の改正への機運を高めることになると考えています。

 昨年の年頭挨拶において熊本地震の活動紹介とともに、自然災害に対する不動産鑑定士の担う役割が大凡認識されてきたので、今後は士協会と連携して的確な行動を速やかに取れるよう規定の制定などの体制の整備が必要であると申上げました。その柱は、自然災害による被災者の債務整理に関する特定調停制度への参加と、住家被害認定業務支援です。前者は制度も明確となり評価指針もできており対処できる状況にあります。後者について、定款の改正や規定策定などの制度つくりと、実際に業務支援に当たれるように業務研修体制をつくり、活動できる鑑定士を養成することが重要です。昨年より、熊本県での支援業務の中心を担った方々が、総務財務委員会の検討チームに参加して、制度作りに取組んでいただいています。本年の定時総会には定款の変更をお願いすることになると思います。

(中略)

 不動産鑑定評価制度を社会の変化に的確に対応させ、国民にとって欠かせない制度インフラとして持続性を確保するために、会員各位と共にこれ等の諸課題に取組んで参ります。皆さんのご理解とお力添えを頂きますようお願いいたします。

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