不動産ニュース / イベント・セミナー

2018/1/26

民法改正による不動産実務の変化について議論

パネルディスカッションの様子。ディベロッパー、仲介業、管理業、家賃保証業などそれぞれの立場で意見を交わした

 (公社)不動産学会は25日、セミナー「民法改正で不動産取引はこう変わる―実務への影響と対応」を開催した。

 冒頭、慶応義塾大学大学院教授の松尾 弘氏が「大陸法から英米法へ―民法改正の意義」と題して基調講演。改正民法の特徴は「契約の効力強化」であると解説した。

 続いて、「民法改正が不動産関連実務に与える影響」をテーマにパネルディスカッションを実施。ディベロッパー業界から三井不動産(株)総務法務グループの望月治彦氏、不動産仲介業界から野村不動産アーバンネット(株)代表取締役兼副社長執行役員の榎本英二氏、賃貸管理業界から(公財)日本賃貸住宅管理協会理事の関 輝夫氏、家賃保証業界からSBIギャランティ(株)代表取締役の石黒裕章氏、弁護士の吉田修平法律事務所代表弁護士の吉田修平氏、基調講演を行なった松尾氏が登壇し、「瑕疵担保制度が変わるとによる宅建業法への影響」や、「民法改正を契機とした新ビジネス」などさまざまなテーマで議論した。
 中でも、「日本の契約意識のあり方」についての議論では、関氏は、「民法改正により、日本も契約社会に突入したと感じる。契約書のあり方も根本的に変化し、想定できることは全て契約書に記載することが求められる」とし、「日管協では、建物の一部滅失による賃料の減額について、部位ごとの免責期間や、減額のパーセンテージなども、すべて特約に記していくということを全員に周知していく考え」と今後の方針について話した。
 榎本氏は、「法や契約に対する民度の熟成を受けての改正であると考えている。仲介の現場では、これまで社会通念として暗黙の了解されてきた点も、ユーザーの考え方の多様化により通用しない場面が増えてきた。契約書の内容もかなり個別化・明瞭化するのではないか」と述べた。
 一方、望月氏は、「契約に書くことと、社会通念で許されることのバランスがある。民法改正により突然契約主義となるのではなく、改正後の判例等を見つつ、徐々に対応をとっていく姿勢が良いのではないか」と話した。

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