国土交通省は15日、国土審議会計画推進部会「稼げる国土専門委員会」の7回目となる会合を開催。17年度の委員会のとりまとめ骨子案を提示した。
経済成長を支える「稼げる国土」の形成を進めるために講ずべき施策のあり方について検討することが目的。2017年度は「地方都市を中心とした地域発イノベーション」をテーマに、魅力的な人材が集まる知的拠点施設や、地方と大都市の事業者の連携および、新たな人の流れを創出する仕組みについての事例研究を進めてきた。
骨子案は、「大都市圏の整備を通じた地方都市等との重層的な連携」がテーマ。17年度に行なった取組事例の調査結果を3つのセクション「大都市の知的対流拠点」、「ヒト・モノ・カネ・情報の流れを生み出すしくみ」、「大都市圏と地方都市等との連携」でまとめる方針。
「大都市の知的対流拠点」については、利用企業の競争力向上のみならず地域の魅力アップにもつながる施設であり、さらなる推進に向けて、施設利用のキーパーソンとなる人物を設置する等、運営上で重要なポイントに焦点をあてつつ民間企業、公的企業の取り組み事例を紹介する。
「ヒト・モノ・カネ・情報の流れを生み出すしくみ」については、“大都市圏同士”、“地方都市圏同士”、“大都市圏×地方都市圏”の3タイプに分けて事例を紹介。公共機関が介入することで生まれる新たなイノベーションの可能性を示しつつ、働き方改革の推進などに合わせた人材派遣や、IoTを駆使した物流など、民間企業が得意とする手法についての分析結果をまとめる。
「大都市圏と地方都市等との連携」は、大都市圏と地方都市圏の連携により新たな産業を創出する手法について事例を紹介。地方の資源を地域外にアピールするためのネットワークの構築手法について、他のセクションの事例と合わせて総合的に検討した結果を示す。
委員からは「大都市圏と地方都市圏の連携」のとりまとめ方針について、多く意見が出された。「大都市と地方の違いはアテンション・エコノミー。素材同士を組み合わせ、加工し、ブランディングして発信するという知恵は、都市部に集積している。これを地方につなげる手法も取り上げては」、「地方のリソース・特性には汎用性がないため、多様な事例・手法をあげ、多くの選択肢を提示する必要がある」など。
最後に、野村正史国土政策局長が、「同推進部会下の“住み続けられる国土”・“国土管理”専門委員会も、17年度のとりまとめの局面にあるが、取り上げる事例がオーバーラップしている。最終的にはそれらを重ねて、それぞれの関係性も整理していきたい」とまとめた。
次回の委員会は4月12日。とりまとめ案を発表する予定。